プロジェクトメンバーや部署における部下の指導・教育は、自分ができるようになってからではなく突然その機会がやってきます。部下を抱えることになったは良いものの、どうやって部下を指導し、成果の評価や失敗への注意をするべきなのかが 分からなくなってしまった若手管理職やリーダーの方は多いでしょう。
また、部下を持ち長年仕事をし続けている方であっても、いつしか部下の置かれた心境を理解できなくなったり、無意識にうちに部下のモチベーションを下げてしまう指導をしてしまうことが少なくありません。
ここでは、上司によるマネジメントの基礎の部分から、部下を有能な人材にするべくできるマネジメント手法をご紹介していきます。
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理想の上司を諦めてはいけない
あなたが新入社員だったころは「こんな上司にはなりたくない」「こんな上司になりたい」といった理想の上司像を強く持っていたのではないでしょうか?
上司という立場になると、過去に持っていた理想像としての上司は幻想であり、現実的な問題に対処するためには部下に厳しくならざるを得ないと考えてしまう方が多いです。
実際、部下にとって都合の良い上司を目指すだけでは、チーム全体として仕事で成果を出すことは難しいはずです。
たとえば、なんども同じミスを繰り返す部下に対しては厳しく指導する必要があります。また、あなたが想定している成果物を出せない部下には、どこが不足しているのかを伝え改善してもらう必要があります。
しかし、あなたがそのように厳しくすることと、「部下によって理想的な上司であることを諦めること」はトレードオフではありません。
部下の行動を含めて責任を負う上司だからこそ、部下を伸ばすために現実的なマネジメント手法を身につけるべきなのです。
部下を短期間で伸ばすマネジメント5つの手法とは?
1 成果を評価する手法
部下の仕事の成果を適切に評価することには、 複数の目的があります。たとえば、部下の成果物がエンドユーザーの目に直接触れるものである場合は、厳しくチェックする必要があります。
また、次回以降における部下のアウトプットの質を高くするために、現時点でどのくらいの評価になるのかをあなたが知っておく必要があります。
この際、部下を短期間で伸ばすことのできる上司は…
- 前回と比較した成果の向上レベル
- 自分が期待している成果のレベル
という2つの判断軸のうち、「前回と比較した成果の向上レベル」をもとに部下を評価します。
自分が期待している100%レベルの成果を部下に出してもらうことを目的とするのであれば、最初に現状どのレベルまで達しているのかを前回との比較で理解することが求められます。
また、そのうえで「前回よりも〇〇がよくなった」と評価し、次回以降の注意点をフィードバックするのが正しいやり方です。
「こんなレベルじゃ到底認められない」と悪い点だけを注意したり、やり直しをさせたりするだけでは、部下があなたの求める内容が分からず、モチベーションを下げてしまうでしょう。
2 フィードバック手法
部下の成果に対して評価するとは、具体的には注意したり、できていない部分を修正するためのフィードバックを行うことが含まれます。
つまり、良い点ばかりを褒めてばかりはいられない。それは上司がいくら部下に対して嫌な思いをさせたくなくても避けてはならない命題ではないでしょうか。
たとえば、納期が迫っている時やクレームが発生している時、部下が大きな失敗をしたため被害を最小限に抑えるべき時など、上司が取るべき判断は冷静なものである必要があります。
この際には部下に強く指導する必要がありますが、この場合も部下に一言「今回はこういう事態だから(納期が迫っているなど)厳しく指導するので、気分を害さないで欲しい」と伝えておくと良いでしょう。
この一言を添えることで、部下が自分のプライドや周囲やあなたへの申し訳なさといった目先の感情ではなく、事態の収拾のために前向きに行動することができる根拠を与えてあげることができます。
3 強み・弱みの他己分析
部下へ仕事に関するフィードバックを定期的に行うことは、部下のモチベーションを向上させ、強み・弱みを客観的に他己分析し改善していく目的で行えば有意義なものになります。
しかし一方で、やり方を間違えてしまうと部下の能力を制限してしまったり、萎縮させてしまったりといった諸刃の剣になり得るものです。
マネジメントをする側の心理として「0から1に能力をあげる」ことよりも、「-1から0に能力を戻す」ことに注力しがちな点があります。
部下が一定以上の成果を出せるようになることよりも、部下が苦手とする分野をなんとか平均に戻すことを優先してしまいがちです。
なぜなら、すべてが平均であればマネジメントは簡単になるからです。
たしかに、苦手とする仕事や成果の出せない仕事がなくそつなくこなす部下を持つ方が、上司としては被る被害も少ないですし、トラブルも低減するに違いありません。
しかし、その状況を理想とした結果、部下に対して下記のような言葉を投げかけていないでしょうか?
- 〇〇は良いけど△△に関してはダメ
- 仕事のスピード早いと思うけど正確性がない
弱みとする部下のポイントを是正することも上司の役割の一つです。しかし、順番はもっと後であるという認識でいるべきです。
まずは部下の強みや得意とするポイントを評価し、その後にフィードバックするべきポイントを見つけるのが最良の方法になります。
- 今回の内容は完璧だね。次は時間も10分ほど早められるとなお良いね。
- 仕事のスピードは完璧なので、あとは正確性を意識すればもう教えることはないね。
と、まずは部下の強みがどこにあるのかを伝えた上で、必要となる要素をフィードバックすると、部下の伸び方は劇的に早くなります。
4 報告・連絡・相談のコツ
「なぜ報告してくれないのか?」「なぜ前もって相談してくれなかったんだ」と感じる上司は多いはずです。自分が部下の立場なら絶対に連絡するのに…という状況は多々あると思います。
たとえ同じ仕事・プロジェクト内容・役割の適切な分担がなされていても、組織の中で上司と部下という階層が存在する以上、こういったコミュニケーションに関する問題が必ず発生します。
あなたが上司としてできることは、部下からの「報・連・相」をできる限り受け入れる体制を整えておくことです。
できることは様々なものがありますが、基本的には「あなたから部下に自分の現状・スケジュールを細かく伝えること」にあります。下記はできることの例を示しています。
- 相談や連絡をしっかり聞ける伝える
- 会議などで席を外しているときにわかりやすくメモを置く
- 共通するスケジュール管理の仕組みを整える
- 昼・休憩時間などに部下に声をかける
無理に仕事内容や仕事への姿勢に関して同じ目線を持つ必要はなく、相手が報連相をするときの難易度をあなた側からできる限り避けることが大切になります。
5 目標設定のサポート
1〜4は、部下と上司の日々の業務の中で問題が発生した場合や、仕事を具体的に進める実務の中で活用できるマネジメント手法でした。
しかし、四半期・半年・年度から数年間に到るまで関係を続ける部下・上司の関係である場合、部下に対して上司が持つべき責任は大きなものになります。
上司が持つべき責任の一つは、部下の「キャリア」を正しい方向に導いてあげることです。部下が抱くキャリア目標を達成させるべく上司がサポートすることで、日々の実務における部下へのフィードバックも正確になります。
部下に対して「目標とする理想像はあるか?」と聞いてみましょう。
そうすると、「仕事をそつなくこなせる人物になりたい」「新しいことにチャレンジしていける人材を目指したい」という人のほか、「税務に関して詳しくなりたい」など具体的なキャリアを描く部下もいることに気づくでしょう。
あとは、日々の業務の中で部下それぞれの目標に対してどのようにアプローチしていけば達成できるのかを伝えてあげることで、上司として最大の役割を果たすことができます。
まとめ|優秀なリーダーに部下はついてくる
今回は、「部下を有能な人材にするマネジメント手法」として5つのポイントをご紹介してきました。世の中には様々なマネジメント手法があふれています。それらを参考にすることで、部下から信頼される上司・リーダーを目指すことも可能です。
ただし、日々の業務で注意するべき部下へのアプローチは単純なものです。問題は、部下の目線を客観的に理解しながら徹底して上司としてやるべきことを追求できるかにあるのではないでしょうか。
ぜひ今回の記事を参考に、上司を劇的に伸ばせる上司を目指してくださいね。