コミュニケーションに苦手意識を持つ人は多いでしょう。
しかし、「コミュニケーションとはいったいどんなことを指すのか?」ということを理解している人はそれほどいないのではないでしょうか?
「自分はコミュニケーションが得意だ!」という人も、実は必要な場面でコミュニケーションができていない場合もあるのです。
そこで今回は、コミュニケーションには2つの側面があること、そして、本当のコミュニケーション能力を身に着ける方法についてご紹介します。
本当のコミュニケーションができるように、まずはこの記事を参考にしてくださいね。
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コミュニケーション能力はなぜ求められているのか?
コミュニケーションの2つの側面について触れる前に、なぜ、コミュニケーション能力は求められているのかを把握しておきましょう。
コミュニケーションが求められる理由を知ることで、能力向上の目的がはっきりしてきます。
理由は2つあります。
(1)一人では生きていけないから
古代ギリシアの哲学者であるアリストテレスは、「人間は社会的動物である」という言葉を遺しています。
古代から現代にいたるまで、人類はその社会内での「人との関わり」の中で発展してきました。現代社会は「個人主義」の時代だと言われていますが、個人主義とは、「各個人の意見や多様性をとらえる」ための視点であり、決して「個人だけで人は生きられる」ということではありません。
コミュニケーション能力と関わりのない話に思えますが、そうではありません。私たちはこの個人主義の時代にあって改めて「コミュニケーションとは何か?」を深く考えていく必要があるのです。
(2)「社会の要請」だから
キーワードは、「グローバル人材」と「社会人基礎力」です。
文部科学省が提唱している「グローバル人材」とは、グローバル化の中においても活躍できる能力を持つ人材のことを指します。
「社会人基礎力」は、経済産業省が提唱している、現代社会人に必要なスキルの総称です。
参考記事:社会人基礎力とは?3つの能力と12の要素を知ろう!
この2つに共通することは、「他者とのコミュニケーション能力」にあります。社会に適応でき、その中で活躍する人材になるためには「コミュニケーションとは何か?」をしっかりととらえ、その能力を身に着けることが必要なのです。
コミュニケーション能力が社会から求められている理由
では、実際コミュニケーション能力は社会から求められているのでしょうか?
経団連では、「新卒採用に関するアンケート調査結果」を公表しています。大学新卒の採用活動において、企業がどのような能力を求めているのかが、この資料から分かります。
参考URL:新卒採用に関するアンケート調査結果公表-週刊経団連タイムス
このように、ダントツで「コミュニケーション能力」が求められています。しかし、ここで一つ注意することがあります。ここで指す「コミュニケーション」は、私たちが考えるコミュニケーションとは性質が異なるということです。
コミュニケーション能力の2つの意味とは
社会が求めるコミュニケーション能力と、私たちが一般的に考えるコミュニケーション能力には違いがあります。しかし、どちらかが間違っているわけではなくどちらも「コミュニケーション能力」なのです。
要するに、コミュニケーション能力とされるものには2つの側面があります。以下、それぞれ2つの側面について見ていきましょう。
(1)”コミュニティ構築”としてのコミュニケーション
いわずもがな、あなたにも家族、友人、恋人など、様々な人間関係があります。また、所属している組織や企業内、活動団体、地域などでの関係もありますね。
そこでは、その個人間や組織内での円滑な関わり合いのためにコミュニケーションが行われます。あいさつをしたり、情報を共有したり、雑談をしたりといった、私たちが思い浮かべやすいコミュニケーションです。
しかし、これらは普通に日常生活を送るうえで自然と身につくものですから、意識せずともできることです。
普段はコミュニケーションできているのに、会議や面接など「建設的な話」ができないと感じている方には、この”コミュニティ構築”としてのコミュニケーション能力が備わっていても、次に紹介する能力が足りないということができます。
(2)社会人の”信用構築”としてのコミュニケーション
信用構築とは、相手と「共通の目的」があるコミュニケーションと表現することができます。「周りとうまくやっていく」ことではなく、「同じ目的に向かって建設的な話をする」という意味でのコミュニケーションです。
それが、ビジネスや社会生活の場における「信用」につながっていきます。たとえば、通貨は「信用」が基礎となっています。お互いにその共通の「通貨」を信用していなければ、お金はお金になりません。
それと同じように、信用構築のためのコミュニケーションにおいては、「お互いの目的」が通貨の意味合いを持ちます。
要するに、目指す場所があって初めて可能となるのが、この”信用構築”としてのコミュニケーション能力なのです。この能力を得て、社会人として求められるコミュニケーション能力を身に着けるためには、いくつか意識的に実践するべきことがあります。
”信用構築”としてのコミュニケーション能力を身に着ける5つの方法
では、社会人としての信用を構築するためのコミュニケーション能力を得るためにはどのような方法があるのかをご紹介します。
(1)事実をもとにして話す
信用を得るためには、話す内容に「根拠」が必要です。そして、その根拠は「事実」に基づいている必要があります。
事実をもとにして話をするためには、インプットとアウトプットの両方を日常的にしておく必要があります。また、情報収集が欠かせません。
参考記事:「アウトプット」と「インプット」とは?-情報社会で必須の2つのスキル
(2)質問力・傾聴力を鍛える
「質問力」とは、建設的な話をするために必須のスキルです。また、そのためには相手の話に傾聴する必要があります。言いたいことを話すだけでは、信用構築のコミュニケーションをおこなうことができません。
参考記事:スキルやキャリア形成の極意。「質問力」のためのポイント3つ
(3)自分の話:相手の話=2:8
たとえば、就活や転職活動における企業との面接では、自分の話よりも、相手の話を踏まえた話の比率を多くすることが求められます。相手の話を踏まえた話をできなければ、その場でコミュニケーションをとる意味がなくなってしまいます。
自分の話よりも、相手の話をよく聞くこと、そして、相手と利害の一致した話ができるかといった視点が重要です。傾聴力を身に着けたら、次はこの話の「比率」に注意したコミュニケーションをするように心がけましょう。
(4)「ロールモデル化」と「反面教師化」
「ロールモデル」は、お手本となる人物として相手をとらえることです。また、「反面教師」とは、「悪いお手本」として相手をとらえることです。
建設的なコミュニケーションをとるためには、相手を見る目も重要になってきます。「この人にはどのくらいのレベルで話ができるのか?」「この話をするにふさわしい相手がどうか?」といった冷静な視点も重要になります。
そのためには、まずその相手と話す前に「どんな理由で話をするのか?」「今日のコミュニケーションで得たいものはなにか?」ということを考える必要があります。
また、突発的なコミュニケーションのうえでも、その人の性格や所作、その他の情報を調べておくことが大切です。利害が一致し、共通の目的を持つ相手とは、コミュニケーションをとる目的を明確にする必要があります。
たとえば、採用面接を例にとると、「相手はなぜ自分と面接をしているのか?」をしっかりと考えることです。今までに残した結果ではなく、入社以降の「伸びしろ」を見ているときに、「自分の経験」をたくさん話しても、あまり意味がないことがわかります。
(5)目的を決める
(1)~(4)にも共通して言えることですが、「目的意識」を大切にすることが求められます。
目的を決める、といってもその具体的なケースによりますが、必ず考えることは「自分に何が求められているのか?」「自分は相手に何を求めるのか?」という「自分と相手の目的を考える」という視点です。
たとえば、会議の場では必ず「アジェンダ(表題)」があります。当日扱う課題や議題を解決したい、案がほしいという場合を考えれば、ただ批判することが目的になってしまったり、感情的になることもなくなるでしょう。
本当のコミュニケーション能力を身に着けよう!
今回は、社会から求められているコミュニケーション能力の具体的内容と、信用構築のためのコミュニケーション能力をみにつけるための方法を5つご紹介しました。
コミュニケーションには2つの側面があり、身につけなければいけない能力を明確にすることから、能力の向上は始まります。
明日から、ぜひ5つの方法を実践してくださいね!