仕事のミスは誰にでもあること。失敗やミスは確かに精神的につらく、自分に自信がなくなることもしばしばあります。
精神的な疲れや、ストレスの解消をすることも、「明日からまた頑張る」ために必要なことです。しかし、ミスをした原因を追究して、それを解決しなければ、また同じことの繰り返しになってしまいます。
感情的につらくても、私たちはしてしまった「失敗」「ミス」を減らすために私たちは”ロジカル”な解決力を身に着けなければいけません。
そこで今回は、シゴトで失敗したり、ミスをしてしまったりしたとき、その原因を見つけて改善するための方法を5つご紹介していきます。
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”ミスの繰り返し”を回避するロジカルな解決法5つ
(1)ミスした理由の「仮説」を立てる
「あなたはなぜミスをしたのか」 これをミスした直後に考えることが大切です。原因追及は、できる限り早くすることが鉄則ともいえるでしょう。
その際、理由を見つける際には、きちんと「仮説」を立てましょう。ミスや失敗には、様々な理由が考えられます。たとえば、「忘れ物」。
あなたは、会議に必要な書類を会議直前になって準備していないことに気づきました。結局、デスク上の書類に埋もれていたのを発見します。
そこで立てるべき仮説には以下のようなものがあるでしょう。
「忘れ物をなぜしたのか?」の仮説
・「いらない書類を捨てるべきだったが、していなかった」
・「必要な書類をあらかじめリストアップしていなかった」
・「会議のための準備時間を設定できていなかった」
もしかすると、会議のための準備時間を確保していなくても、資料さえ見やすい場所においておけば、今回のミスは防げたかもしれません。しかし、同じ失敗でも原因には様々なものがあるということは、「仮説」を考えたことで初めて理解することができます。
あらゆるシチュエーションでそのたびに一つのことだけに気づくのではなく、あらゆる可能性を「仮説」として考え、改善していくことが必要です。
(2)ミスしたことは「内部」にあるのか、「外部」にあるのかを判断する
ミスといっても、「あなたの注意不足」なのか、「周りの影響によって発生したミス」なのかで、その後の改善のための行動は大きく変わってきます。
たとえば、あなたは「営業先に遅れた」というミスをしてしまいました。でも、それがあなたがただ単に直前までその予定を忘れていたのか、それとも「直前まで終わらせなければいけない業務が多かった」のかで、改善するべきポイントは全然違ってきます。
あなたの「改善ポイント」はどっち?
1.あなたの注意不足(属人的な視点)
2.周囲の環境・状況(構造的な視点)
前者であれば、リマインドを徹底するための行動をする必要がありますが、後者の場合は、そもそも「それだけの業務をなぜあなた一人がやっていたのか?」に問題点をシフトさせなければいけません。
そうした「場合分け」を正確にすることで、ミスを改善する際の判断基準が大きく広がっていきます。
(3)「ミス」してしまったことに明日再チャレンジする
ミスしてしまったとき、もう一度ミスしてしまったことにチャレンジすることには「プレッシャー」や「緊張」が生じます。できれば、時間がたつまで同じことをしたくはありません。
しかし、人は「反復」することでものごとを記憶します。そうであれば、ミスした瞬間からあまり時間がたっていないうちに、同じことに取り組むべきであることが分かります。
たとえば、あなたは電話対応で相手に伝えるべきことを伝えられないというミスをしたせいで、先方に迷惑がかかってしまうという状況に陥りました。
そこで、ミスをして迷惑をかけた相手に謝罪とお詫びをするのは当然ですが、他の相手先にも率先して電話対応を引き受けて、同じ失敗を繰り返さないように「実践」するということもする必要があります。
ミスしてしまって、「もう一度同じことを繰り返さないだろうか…」と心配している場合は、できるだけ近いうちに、「同じことを繰り返す」必要があるのです。
ミスをしてしまった際にすべき行動
1.ミスによる損失を最小限にする(謝罪・フォロー)
2.ミスを繰り返さないために「再チャレンジ」をすぐに行う
同じことを迅速に繰り返し、「改善」のサイクルを回す意識が重要です。
(4)自分の能力を過大評価せず、「現場」と「情報」を見る
ミスをしてしまった理由は、さきほどの「仮説」の段階でその見つけ方をご紹介しました。
なぜ、あなたは今までそのミスをする要因を見逃していたのかを考えてみると「自分に対する過大評価」があったことが分かります。
「この程度のミスはしないだろう」という判断が、ヒューマンエラーを引き起こします。情報社会では、たった一つのヒューマンエラーが、大きな悪影響を及ぼしてしまうこともありますから、注意が必要です。
自分の能力ではなく、ミスをしてしまった「現場」と「情報」をもとに次のミスを回避することを考えるべきでしょう。
ここでいう「現場」とは、ミスした状況のこと。そして、「情報」とはミスをしたときに自分に与えられていた情報です。
あなたが、重要な書類の誤字・脱字をしてしまったというミスをしたとします。誤字脱字は、「見直し」「推敲」の段階で回避できるミスです。そこで、「現場」「情報」の側面からミスを分析すると、以下のようなことが分かります。
「現場」と「情報」の2側面から分析(例:「誤字・脱字のケース)
「現場」:他の仕事を抱えており、見直しをよくしていなかった
「情報」:書面のどの部分が重要で、確認するべき点はどこかを把握していなかった
「現場」と「情報」の2側面から分析(例:「先方への連絡忘れ」のケース)
「現場」:急な来客に追われてしまい、連絡することを忘れていた
「情報」:連絡する旨を記憶に頼っており、書面やメモで残していなかった
この2つからミスの原因を探す癖をつけることで、仮説を立てる際の思考がスムーズになります。
(5)リスクを最大限避ける
ここでいう「リスク」は、「ミスが発生する行動・考え方」のことです。決して、「チャレンジするな」「消極的になれ」ということではありません。
「ミスが発生する行動・考え方」とは「ミスを想定しないこと」のことです。「ミスが発生する行動・考え方」から、「ミスを想定する行動・考え方」へと、意識を変える必要があります。
「ミスを想定する行動・考え方」ためには、いつでも「これをしくじったら、こうなるな」「あれを忘れたら、こういう状況になるな」「誰々に迷惑をかけるな」といった予想・想定をすること。
これを自分のなすシゴト、業務の中で考えることで、ミスを事前に察する習慣が身に付きます。
しかし、あまりに予想を立て過ぎると、自分の行動に過度なプレッシャーをかけることにも繋がります。あくまでも「絶対失敗しない手順を踏んでいるが、それでもまだ何かミスはありうるだろうか?」という自分への批判的な視点を持つことが重要です。
リスクを最大限避けるための「ミスを想定する行動・考え方」
1.「万が一失敗した場合」を想定して行動する
2.プレッシャーではなく、「リスク」に対する具体的な検討(まだミスはあり得るか?)
ミスを悔やむのではなく、ミスを改善すること
ミスは、誰にでもあるもの。特に、若手やその業務になれていないうちは、ミスをしがちなものです。
しかし、それは「継続してミスをし続ける」ということではありません。きちんと分析し、有効な解決策を講じることさえできれば、少しずつ改善していくことができます。
そのためには、ミスをした後もできる限り頭をクールにして、冷静な分析と仮説立てを行うことが重要です。
もし、「そんな冷静な分析はとてもできない!」と感じる方は、下記の記事も参考にしてください。ストレスを解消する方法についてご紹介しています。
ミスは、悔やむのではなく、「改善する」ものです。ミスは成功のもと。ミスをロジカルに解決できた分だけ、成長の”糧”になります。