今回は、仙台のIT企業「株式会社ナチュラル」代表、藤本さんのIKIKATA。
「板前」からIT企業経営者と、特殊なキャリアを持つ藤本さん。IT分野のみならず、どんな分野でも必要な「やりたいことを見つける」「やりたいことを始める」ために必要な考え方の”エッセンス”が詰まったインタビューとなりました。
「東北の活性化」「”食”の分野での活動」にも取り組む、そんな藤本さんの生き方・働き方は、独立志向を強く持つ人、サービス業に従事する人、シゴトに熱意を持ちたい人にとって重要なロールモデルとなります。
具体的な業務
「株式会社ナチュラル」では、主に「Webシステムの開発・管理」をしています。
たとえば、「宿泊施設サイト」や「ECサイト」などの作成や管理です。「Webシステム」といった、いつも見ているWebページの裏側の”仕組み”の部分を開発、管理している、ということになりますね。
—具体的な「Webシステム」の実例としては、どのようなものがありますか?
たとえば、「CMS」(content management system、コンテンツ管理システム)と呼ばれるものを導入することなどが挙げられますね。HTML(Webプログラミング言語のひとつ)を知らない方がWebサイトを更新するために必要なもので、ブログ記事のようなものをどんどん更新していくためには、こういった仕組みが必要です。
他には、最近おこなったものだと、伝統工芸品を販売する「ECサイト」を構築しました。以前はスマホアプリ開発も並行して行っていたんですが、現在は少ないです。
というのも、私の会社は人数が少ないですから、全員が全員バラバラにシゴトをするよりも、Web開発一本に集中しようと考えていまして。
—依頼を受けてWeb開発や管理をするということでした。ケースによっては、とても複雑で難しい案件が出てくると思うのですが、そういう場合はどうされているのですか?
たとえば、Webサイトの仕様に関するご要望はやはり多いですね。サイト管理用の画面に関してその使い方をご説明させていただくことに関していえば、やっぱり実際に「話をする」以外に方法はありませんから。
Web制作に関していうと、もし「この仕様はイメージと違う」という風になれば、それはもう作り直しになります。
そういったこと(Webシステムやサイトの仕様や仕組み)を「伝える」というのはやはり難しくて。お客様に対して、Webシステムの細かいところを説明するためには、「かみ砕く」必要があるわけですね。それは大変といえば大変なのですが、当たり前のことですからね。
(お客様からの)ご要望をどのくらい具体的にWeb上で実現できるか、というところを日々考えています。
今の仕事に就いた経緯・キッカケ
お菓子屋を経て「板前」になる
高校を卒業してからは「お菓子屋さん」を目指していて、岩手県で有名な「胡麻すり団子」を製造している会社で働いていました。手作りと機械でのライン生産と両方を経験しました。
その後、その会社を退社してからは4年間ほど厨房で働いていました。「自分の幅を広げたい」と思うようになって、「板前」になったんですよ(笑) それからはずっと和食を作るシゴトをしていましたね。
ちょうどそのころ、「東日本大震災」があったんです。
震災後、「やりたいこと」を見出しプログラミングを学ぶ
地震が来る前から、「自分のやりたいこと」というのは”漠然”としてカタチで持っていたんですが、地震という大きな災害がキッカケになって、改めて「自分は何をやりたいのか?」を色々と考えるようになったんですよ。
「何かやりたい」と考えていた震災の年に、起業家育成の研修プログラムがありまして、それに参加させてもらって。
—板前としてシゴトをしつつそのプログラムに参加していたのですか?
ええ、独立してからの1年は板前のバイトをやりつつ、プログラミングの勉強をして。独立当初はお世話になった講師の方々からシゴトをいただきながら…という感じでした。
2年間はフリーランスとしてシゴトをしていたんですよ、主にWeb開発と制作を請け負っていました。2012年4月に独立して、2014年に法人化した、という経緯になります。
「やりたいこと」の方向性と現在
—「漠然と(何かを)やりたいという思いがあった」ということでしたが、それはIT分野でシゴトをしたい!ということだったのでしょうか?
僕がやっているようなWeb開発のようなシゴトは、基本的にPC一台あればできますよね。「PCとネット環境があれば、シゴトができる。」それが自分の中で魅力を感じて、webを使って、様々な食の情報を発信したいと考え、始めました。
板前にしても、Webのシゴトにしても「学校で専門的な勉強をしないとなれない」みたいなイメージがありますけど、本当は全然そんなことないんですよ。「やりたい」という気持ちがあればいいんです。
—では「食」に関する(シゴトの)方向というのも考えているのですか?
そうですね、やはりやりたいことは食関連で、現在僕は「全日本薬膳食医情報協会」というところで理事をさせて頂いていて。「薬膳」というのは、病気の予防や回復を目的として作られる食事のことを指すんですが、そういったものを広める活動もしています。