今回は、クラシタス株式会社で住宅業・設計に携わる小関大介さんのIKIKATA。
中学生のころから「住宅のチラシを見るのが好きだった」と語る小関さん。営業から設計までありとあらゆる業界のシゴトをこなすプレイングマネージャーとして活躍されています。
小関さんの住宅業への思いと、具体的な業務から「働き方」「考え方」とはどのようなものかを探っていきます。
Contens
具体的な業務
「クラシタス株式会社」で住宅のリノベーション関連のシゴトをしています。私の会社は「暮らしのプロデュース」ということで、去年社名変更もしました。
高齢化などの社会問題を、リノベーションで解決するという考えが会社にありまして「どういった生活、暮らし方をしたいのか?」ということをヒアリングして、その暮らし方にあった住宅を提案する、というシゴトです。
ハコ、つまり建物ではなくて「暮らしを考えよう」というのが、今の世の中の流れなんですね。社内では、営業、設計、マネジメントなど、様々な役割を担当しています。
—ご自身で営業もしつつ、マネジメントもするのですね。
プレイングマネージャー的なところでしょうか。
実は一度、この会社を辞めることがあって、もう一度この会社に戻ってきたという経緯があるんですよ。社長がそういうことを認めてくれる人だったので(笑)
シゴトをしていると嫌なことも見えてしまいますが、今の会社の社長と会社のミッションについて話をして、改めて今のシゴトをすることになったんです。
—マネジメントの部分では、どういったシゴトをしているのですか?
多岐にわたるんですが、入り口から出口までやります。
というのも、たとえば集客であったり、営業資料の作成であったり、CM等の広告・宣伝方法の考案であったりします。宣伝のためのチラシを配布するにしても、その配布はパートの方にしてもらうことになるので、そのモチベーションのケアなどもしていますね。
商品の管理よりも人の管理が難しいですね。モチベーション管理の部分などは特にそうです。
一般的に企業に務めている人は「給料が(はたらく)目的」なので、インセンティブがないと動いてくれませんからね。個人が目指している部分と、会社が目指している部分のすり合わせ、調整は大変です。
「自分でやってしまったほうがはやい」という場合があるのは当然ですが、それでは意味がないので。
—ということは、集客をして、設計もして、お客様のアフターフォローもして…と、全体的には「人」に関してシゴトをするということですね。
お客様は、住宅を購入するために何千万というお金を用意していただいているわけなので、シゴトをする側も、「信頼できる人」が重要ですよね。現場でシゴトをすることもあるわけですが、バックグラウンドに詳しい人がいても、実際に現場で詳しい人がいないとお話にならないわけです。
何をするかよりも、「誰がするのか?」という部分が重要だと思いますね。
今の仕事に就いた経緯・キッカケ
学生時代と「建築」への思い
—学生時代から、建築に興味があったのですか?
中学からずっと建築に携わりたかったんですよ、面白い話ではなくて申し訳ないんですが(笑)住宅のチラシなんかも、見るのがとても好きで。
お小遣いでコンパネを買って自分で何か作ったり、壊した壁を自分で直したり、ということもしていましたね。
就活も3社しかしていなくて、偶然今の会社に入ったんです。実は今の会社が建設業という枠の中でどんなことをしているのか、ということを当時は分かっていませんでした。
でも、人事の方とお話をしていて、「この会社は(自分が)成長できそうだな」と思えたんですね。
—大学では建築を学んでいたのですか?
芸術工科大学で建築を学んでいました。でも、今思えば、別に「建築」自体が好きだというわけではなかったんだな、と思っています。では何が好きなのかというと、家具を作ったあとの自分の生活の変化とか、将来の自分の家を家族構成と一緒に考えることでした。
要するに、「暮らし」を考えるのがとても好きだったんですよね。建築や住宅自体に興味がないと言ってしまうのは…こんなことをいってしまってはダメなのですが。
それ自体ではなく、住宅によって変わる「暮らし」が好きなんです。
仕事で工夫していること・考えていること(職業観・ポリシー)
(1)相手の立場に立つために「事実」をとらえる
たとえば、家電売り場にほしいものを見に行ったときに、店員さんに「価格下げますよ」と突然言われるとしますよね。でも買いたいと思って来ている自分は、別にそういうことを聞きたいのではなくて、「商品について知っている人にアドバイスをもらいたい」と思ってきている。そこが見えなくなってしまう場合があります。
—自分たちの常識で、当たり前のことがみえなくなってくるということですね。
お客様のことを考えるときに、「こういう風に考えていると思います」とか、そういう風に自分の意識の中だけで考えてしまうことがけっこう多いんですよね。実際は価値観や考え、年代、環境とあらゆる状況が違うからわからないはずなんですが。
そういった「見えなくなってしまう」ことがないように、まずは「事実」をとらえることが重要です。
(2)「一般的な見方」と「多様性」を知る
たとえば、「主婦の方の意見」であるとか、そういった一般的な消費者の方の意見を汲み取らなくてはいけないということを意識していますね。そういうのが、「商品・サービスを提供する」ということにつながっていきますよね。
また、シゴトの面でも自分の価値観を強く持っている人ばかりではないということをしっかり理解しておく必要があります。シゴトに対する意識や価値観にも多様性があって、たとえば、事務的なシゴトに向いていない人と、向いている人がいます。
そういった人の「多様性」を認めないと、そもそもシゴトができませんよね。一般的な消費者の意見だとか、仕事に対する意識、価値観の「マジョリティ」を汲み取らないといけません。生産者側にまわってシゴトをする以上、しなくてはならないことです。
小関さんのような職種・業種を目指すために必要なスキル
(1)「質問力」:「聞いてからコミットする」
何をしたいかにもよりますが、「相手の気持ち」が理解できていないと何もできません。
住宅業でも、一昔前は、住宅という「商品」があって、それを提供するために「建築・住宅の知識」を持っていればよかった。
でも今はそういう時代ではなくて、ニーズをきちんと把握してそのニーズをもとに商品・サービスを提供していく必要がある。なので、「質問力」が大事ですね。
世の中の流れを知るためにも、まずは「聞いてから」考える必要があります。世の中の流れを知って、そこからいかに自分がコミットしていくのかというのがとても大事で。ただいろいろなものに興味を持つだけではなくて、そういった考え方が大切ですね。
(2)「質問力」:「深いところまで聞く」
たとえば私の業界ですと、建築動機だとか、資金だとかを、「顧客に言われたまま」実行する人が多いと感じます。
そういった表面上のヒアリングではなくて、きちんと聞いて「なぜなのか?」をしっかりと考える。深いところまで聞こうとすることがとても大事です。
自分が言葉で表現できることというのは、限られています。顧客は自分で考えていることをしっかりと表現できない場合がありますからね。
ヒアリングをした結果、「売るべき商品は自分の会社にはない」となった場合は、「売らない」という選択もあり得るということです。
(3)「調整力」
また、質問力を発揮すると、それぞれに妥協してもらわないといけない部分が出てきます。ですが、「調整してください」と顧客にいうわけにはいきません。
たとえば、家を建てるというときに隣近所の方々に対する配慮などもあります。それを調整する必要もありますので、調整力が必要です。
小関さんのような職種・業種を目指す方々へのメッセージ
ネットで調べて得た固定観念を取っ払って、「五感」で感じることがとても大事です。実際に見るということをしているのとしていないのとでは、実際にシゴトをする際に受け取れる「情報量」が全然違います。
「感性」というのがとても重要で、本当に設計が好き!という場合は、設計者に会いに行って、直接話す。どんな手段を使ってでも「人に会う」というのが大切です。
「生き方」という観点からいえば、なにごともすべて「手段」になります。基本的には生きていける世の中であるからこそ、そういった考え方が重要です。
—ありがとうございました!