「職場いじめ」の問題は、男性・女性を問わず会社内で理不尽な対応をされたり、一人だけ仲間はずれにされるなどのいじめが各地で起きています。
分別のある大人の集まりである職場で、なぜこのようなことが起こるのか?…職場いじめ自体がニュースなどで取り上げられるようになったのが21世紀に入ってからであることから、対処法や解決策はいまだ整っているとはいえません。
しかし、今現在職場でのいじめに悩んでいる人はたくさんいるはずです。そこで今回は、職場いじめが起きる原因や、対処法について解説していきます。
いじめは立派なセクハラ・パワハラに当てはまることも多いのですが、一人で解決するのはむずかしいことも多いです。ただ悩むのではなく、あなた自身が解決できる方法を見つけることが大切です。
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「職場いじめ」の意味とは?|内容と実態
仕事をするうえで最も悩みがちなのは「人間関係」ですが、ただ馬が合わない、上手く付き合えないといった軽い人間関係の悩みだけではなく、陰湿ないじめを受けている方も多いのが現状です。
あなたも、そんな「職場いじめ」を受けている一人でしょう。
ただ、「これくらい我慢できる」とこれまで考えて来た方も多いのではないかと思います。
しかし、あなた自身が我慢するだけでは、いじめが解消されることはありません。
まずは、どのようなことがいじめと呼べるのかについて知るために、職場いじめが具体的にどのようなものなのか、その定義をおさえておきましょう。
職場いじめとは、同僚や上司から仕事中に嫌がらせや不当な扱いを受けること全般を指す言葉です。
職場いじめ(しょくばいじめ)は、職場における同僚や上司などによるいじめのこと。タイプによってモラルハラスメント(精神的ハラスメント)、パワーハラスメント(和製英語)、セクシャルハラスメントと呼ぶこともある。
パワーハラスメント(パワハラ)、セクシャルハラスメント(セクハラ)も、職場いじめと同じように行われることがあります。
職場いじめを受けている人の割合
大手転職サービス「リクナビNEXT」の調査によると、比較的新しい気風を取り入れやすいIT業界だけを見ても、「職場いじめ」が横行していることが分かります。
調査会社から「社内でいじめを受けたことがあるか」と幅広くエンジニアに問いかけ、「ある」と答えた回答者から300人を絞り込んだのです。「ある」は3163人中861人で、約2割(右のグラフ)。
引用:これは壮絶!エンジニアの“職場いじめ”【実態編】 – リクナビNEXT Tech総研
上記記事からは、おおよそ5人に1人のエンジニアが「職場いじめを受けたことがある」と回答していることから分かります。
職場いじめの種類
Wikipediaでも参考資料として掲載されている「2017年12月13日の産経新聞の記事」では、日本産業カウンセラー協会が行った職場いじめのアンケート調査が発表されています。
そのアンケートによると、調査対象の約8割でいじめ相談が存在し、そのいじめ内容の8割は「パワハラ」に該当するものであることがわかっています。
また、「上司と部下」の間でいじめが発生していることが8割以上と多く「罵る・怒鳴る・威嚇する」が最も多い行為、次点で「仲間外れ」が挙げられています。
職場いじめが原因による精神的な疲労・精神疾患
職場における悩みは、精神的な疲労や精神疾患の原因になることが多いです。中には、気づかないうちに精神をやんでしまい、回復するのに時間がかかってしまうケースもあります。
また、一人で悩むことが多いぶん、自分自身の責任でいじめが起きていると思い悩んでしまう人も多いのが現状です。
職場いじめにより精神的に患ってしまう場合、下記のような症状に見舞われることがあります。
適応障害
適応障害とは、特定の状況やできごとを辛く感じることで、憂鬱な気分が続いたり、不安感が強くなったりする精神的な病です。
仕事におけるストレスが原因でなるイライラや過剰な心配症、無断欠席などが起きるため、さらに働く状況が悪くなってしまい、悪循環に陥ることがあります。
パニック障害
パニック障害とは、不安障害のひとつです。突然胸の苦しさを訴えたり、吐き気や震えが起きるなどの突発的な発作が起きる精神的な病です。
パニック障害は様々な事柄が原因で起きますが、その原因の一つとして職場で与えられるストレスが挙げられます。
うつ病・双極性障害などの気分障害
気分障害とは、感情が変化することによって苦痛を感じたり、日常生活に支障が出るレベルで生活習慣が崩れてしまう精神的な病です。
うつ病や双極性障害は気分障害と呼ばれており、仕事でのストレスが原因でうつ病や双極性障害になってしまう実例も増えています。
うつ状態はやる気が出ないといった症状から、食欲がない状態や、眠れないなどの身体的な不調が見られることがあります。
双極性障害は、気分が鬱になっている状態と、気分が高まり躁状態になっているときの両方の状態が極端に現れるものです。
ここまで、職場いじめの意味と実態、いじめが原因で抱えてしまう危険がある精神疾患について見てきました。
職場いじめは、上司と部下の関係におけるパワハラが多いですが、中には同僚どうしの陰湿な仲間外れなどが起きていることもあります。
加えて、一対一のいじめ・いじめられの関係ではなく、1人に対して組織的にいじめをおこなうことも特徴です。
「自分はまだ大丈夫」と思えている時期から対策を練ることが重要になります。
「職場いじめ」の具体的な内容・パターンとは?
では、どんな好意が職場いじめに当てはまるのかを見ていきましょう。
自分ではいじめだと感じていないことでも、職場いじめに当てはまる場合もあるので、ひとつひとつご自身の状況と照らし合わせながら参考にしてください。
1 失敗やミスをしたときに罵る・罵倒する・大声で怒鳴る・脅す
仕事上での失敗やミスは誰にでもあることです。また、仕事の失敗やミスを指摘してもらい、次回以降の仕事の改善をしていくことも、同じように誰でもする意味があります。
しかし、失敗やミスを皮切りに「大声で罵倒される」「怒鳴られる」などは職場いじめに該当します。また、上司相手の場合はパワハラにも当てはまるでしょう。
そのほか、「○○をしないと首にするぞ」といった脅しもパワハラになります。
頻繁に繰り返されたり、事あるごとに自分だけにこのようなことをしてくる上司がいる場合は、職場いじめを疑うべきです。
2 聞こえるように悪口を言われる
同僚どうしの職場いじめでよくあるのが「聞こえるように悪口を言われる」という職場いじめです。男性間のいじめよりも女性の多い職場によく起こるタイプの職場いじめです。
たとえば、自己主張があまりできない人に対してこれ見よがしに悪口を言ったり、遠巻きから陰口を言われたり…という陰湿ないじめが当てはまります。
3 嫌味なことを言われたり、人づてに悪口を言われたりする
聞こえるようにはっきりと陰口を言われるだけではなく、第三者を通して人づてに悪口を言われたり、根も葉もない噂が社内に広められたり…といったタイプの職場いじめです。
また、仕事でミスをしたときのほか、仕事をそつなくこなす人に対して嫌味を言うケースもあります。
4 自分だけ仕事を多く割り振られる/残業の強要
主に上司の立場である人から、自分だけ仕事を多く割り振られたり、残業を半ば強要されたりといったことも、職場いじめに繋がります。
もちろん、残業や仕事の配分は不満や指示ミスが多いため、すべてが当てはまるわけではありません。
しかし、たとえばあなた一人だけが不当に雑務を任される、嫌味を含めて大変な仕事を一人で任せてくる…といった状況は、たとえ直接的はなくてもいじめに該当する可能性が高いです。
5 揚げ足を取られて指摘される
失敗やミスをしたとき、わかりやすく罵倒されたり人格攻撃をされたりすることは職場いじめに当てはまりますが、それだけではなく「揚げ足を取られること」も職場いじめに発展するケースがあります。
たとえば、ささいな書類の修正点を指摘することを発端にして、過去の失敗やミスを掘り返し人格攻撃をしてくる場合などが当てはまるでしょう。
6 仕事が与えられない/無視される
大量の仕事をわざと任せてくるとは逆のパターンとして、「仕事を与えない」「無視する」といったさらに陰湿ないじめもあります。
社内で暇な状態を創り出し、いじめている対象に孤独感や不安感を感じさせるやり口です。「仕事が少なく暇」であることは良いことばかりではなく、ストレスにもなることがあります。
もちろん、自分から仕事を貰いに行く、手伝えることがないかどうかを聞いておくといった工夫は必要ですが、きちんと業務をこなしているのに「サボり」「気楽でいいな」などと言われてしまうなら、立派ないじめであるといえるでしょう。
7 給料が出ない・減らされる
「給料が出ない」「給料を減らされる」といった、労働法に抵触する観点から「いじめ」を受けるケースも多く存在します。
この場合、いじめを受けている人物の社内でのパワーバランスが極端に少ないことが多く、「理不尽であることがわかっていても、何もいうことができない」という状況になっていることが多いです。
8 セクハラを受ける
セクハラも、上司など文句をはっきり言えない優位な立場であることを利用して行ってくるケースがあります。
セクハラをする側は、「嫌がらせ」「いじめ」「ハラスメント」に当てはまるとはまったく思っていないケースもあり、非常に対応が難しいです。
特に、それを周囲が認識しているのにも関わらず、見て見ぬ振りをされている場合などは、一人で解決するのがかなりむずかしいでしょう。
9 プライベートに口を出される・干渉される
プライベートのことや、周囲に知らされたくないことをあえて嫌がらせのために伝えられたり、口を出される、干渉されることによるいじめや嫌がらせを受けるケースもあります。
こういった「人の価値観によっていじめになるかどうかが判然としない」内容のいじめは、弱い立場の社員から見て相当な不安です。
ここまで、職場いじめの具体的な内容についてご紹介してきました。
あなたが受けているいじめも、上記でご紹介したもののどれかに当てはまるのではないでしょうか?
職場や具体的な状況によっていじめの内容は異なりますが、社内で起こるいじめのパターンはある程度共通しているものが多いです。
無意識のうちにいじめと同様のケースに陥っていることもあるので、今一度あなたが抱えている仕事上のストレスを振り返ってみましょう。
次は、「職場でいじめられる人」の特徴を見ていきます。
「職場でいじめられるタイプの人」の特徴とは?
「職場でいじめられる人の特徴」をここでご紹介していきます。
しかし、注意してほしいことがあります。「いじめの原因は自分にある」と考えてしまうことは絶対に辞めましょう。
よく、「いじめられる側にも問題がある」という意見がありますが、いじめられる側に問題があることと、いじめが発生することには因果関係はありません。
でも、一方でいじめではないのに「いじめ」と感じてしまう人も多いことも事実です。客観的な判断はむずかしいのですが、下記に当てはまる人は「いじめられやすい」と言われてしまうことが多いです。
1 報告・連絡・相談ができていない
業務を正しく進めるためには、上司への連絡や報告、同僚や一緒に仕事を進めていく仲間との相談は必要不可欠です。
しかし、こういった基本的な情報共有を疎かにしてしまうと、批判されてしまうことが増え、あなたと一緒に仕事をしたいと考える人が減ってしまいます。
もしあなた自身に思い当たるフシがあるなら、まずは「報告・連絡・相談」の3つを必要だと思う回数の倍以上に増やし、改善してみましょう。
情報共有を細かくすると「いちいちそんなことを言うな!」と言われるかもしれませんが、あとから情報が不足していることを指摘されるよりも状況が悪くなりません。
2 繰り返し同じミスをしてしまう
「繰り返し同じミスをしてしまう」という悩みは、特に新入社員や若手のビジネスパーソンの間に多いです。
繰り返し同じミスをしてしまうことから、「自分は精神的に障害を抱えているのではないか?」と不安になっている方も多いと思います。
ただ、仮にADHDなどの症状が本当にあるのであれば、診療を受けて事実がどうなのかを確かめればよく、必要以上に不安を抱く必要はありません。
しかし、ほとんどの場合、くり返し同じミスをしてしまうことで自信を失っているだけであることが多いものです。
また、職場環境が原因で気持ちが萎縮してしまい、明確に行動できないことが原因である可能性もあります。
3 仕事ができるため嫉妬を買いやすい
仕事をそつなくこなせる人や、他人から見て様々なことに対応できる人…いわゆる「できる人」は、人から評価されることもあれば、恨みや嫉みを買うこともあります。
特に、同調圧力が強く、人の目を気にしながら働いている人が多い職場では、できる人や積極的に行動できる人のことを揶揄したり、足を引っ張ろうとする力が働きやすいです。
4 上司に気に入られている
上司に気に入られていることは、働くうえで様々なメリットがあります。特に仕事関係では、指示を仰ぐ上司から信頼されていれば、仕事もしやすくなります。
しかし、それをよく思わずに足を引っ張ろうとする人も出てきやすくなります。
5 自己主張が強い/弱い
同調圧力が強い組織にいると、自己主張のバランスをとることがすごくむずかしいのです。
たとえば、自分の意見を強く言える人は「場を乱す人だ」と評価してくる人がいますし、自分の意見をはっきりと言えない人は「やる気のない人だ」とレッテルを貼られます。
実際に自己主張が強い人/弱い人がいるのはたしかですが、極端に場を乱すわけではないのに、バカにしたり批判したりする人がいることもたしかです。
それがきっかけで、自己主張が強い人や弱い人がいじめの対象になることもあります。
6 愚痴が多い
愚痴が多いタイプの人は敬遠されるだけでなく、新たな不平・不満を呼び起こしがちです。
たとえば、「○○さんは仕事ができないタイプだよね」と周りに言いふらす人のことを信頼できるでしょうか?…きっと、ほとんどの人は信頼することができないでしょう。
そのため、愚痴が多い人は表面的な付き合いこそできるものの、本当に信頼関係を築くのはどんどんむずかしくなってくるのです。
あなた自身に愚痴が多いなら、まずはあなたから愚痴をストップさせることが大切になります。
7 空気を読み過ぎる/読まなさ過ぎる
「空気を読む」ことは、常識として当たり前のこととされています。
たとえば、服装のTPO(Time,Place,Occasion)というものがあります。「お葬式のときは喪服を着用し、大きな声を出さない」など、時と場所、状況を読んだ行動を心がけること。
しかし、空気を読む/読まないはそのときどきの上司や雰囲気で決まることが多く、間違っていることも多いものです。
それを正そうとする人や、仕事を円滑に進めるために現状を打破しようとしている人は、職場いじめの対象になってしまうことがあります。
ここまで、職場でいじめられる人の特徴を見てきました。冒頭でも説明したように、いじめられやすい特徴を持っているからと言って、いじめが正当化されることはありません。
ただ、組織の雰囲気や働くメンバーによっては、いじめがささいなことをきっかけにして起きてしまうことも多いのです。
では、何が原因で職場いじめが起きるのか、その原因について解説していきます。
「職場いじめ」が起きてしまう原因とは?
いじめが起きてしまう職場には必ず原因があります。
その原因とは、いじめられやすい人がいるかいないか、ということではなく、組織にいるいじめを起こさせやすい人やできごとがあるということです。
では具体的ないじめの原因を見ていきましょう。
1 自尊心やプライドが高い同僚・上司がいる
プライドが高く、自分をよく見せたいと考えている上司や同僚がいると、そのライバルになる人に対して執拗ないじめや嫌がらせが発生します。
たとえば、会議で強く意見を言ってくる部下に対して必要以上に怒鳴る、指摘する上司などのことを指します。
2 完璧主義の上司や管理者がいる
完璧主義で、自分の思ったとおりに指示が完遂されないと納得できない上司や先輩がいた場合も、職場いじめが発生しやすいです。
実際は管理不足や指示不足などが仕事が指示どおりに進まない要因であることがほとんどなのですが、完璧主義の人はプライドが高いことも多く、部下に必要以上に叱責をおこないます。
3 「上司の好み」で働きやすさが変わる職場環境である
上司や古参の人の好みで働きやすさが変わる職場では、ちょっとしたことを皮切りにいじめが発生する場合があります。
上司や古参の社員・パートの「気に食わない」「生意気だ」といった感情がそのまま職場内で通ってしまうような組織だと、こういった理由でいじめが簡単に起こってしまいます。
4 自主的な退職を勧めるための組織的ないじめ
パートなどの労働形態で起きることはほとんどありませんが、正社員として働いている方へのいじめとして「自主的な退職」をさせるために嫌がらせをおこなうケースがあります。
この場合、部署ぐるみでいじめが起きているので、労働相談窓口などへの相談が必要なレベルになります。また、職場を変えることも早めに検討するべきでしょう。
ちなみに、組織ぐるみでいじめを受けている場合には、会社側が従業員の労働に支障がないように配慮するべきという「職場環境配慮義務」に違反していることになります。
5 社内政治が多い/人間関係が複雑である
社内政治が多く人間関係が複雑な職場では、権力争いや特定の上司への派閥などのほか、職場いじめも頻繁に発生します。
特に、表面上は上手にコミュニケーションしているように見せかけ、裏で陰口を言ったり、印象を悪くするように告げ口をしたりといった、陰湿ないじめが多いようです。
6 会社の組織としての体制が悪い
会社組織は、ただ大人数が一箇所に集まるだけで仕事をすることはできず、適切に管理されている必要があります。
会社組織が円滑に運営されるためには、少なくとも下記の要素が必要になります。また、従業員へのケアができるような仕組みづくりも必要になります。
- 部署・会社全体の方向性と目標
- 雇用の安定性
- 休日や残業時間・残業代などの条件
- 管理職の誠実なマネジメント
- 「権力を振りかざす人」がいないこと
上記のうち、特に職場いじめに関係するのは「権力を振りかざす人」です。たとえば、パート社員として昔から働いている人が新卒入社の社員をいじめるケースなど、事実上の権力者がいじめの主格である場合も多いです。
ここまで、職場いじめが横行する原因をご紹介してきました。ひとつでも当てはまるものがあれば、あなたの職場環境は職場いじめが起きやすい環境であるといって良いでしょう。
職場いじめを受けている人は、いじめ被害に対して適切な対応をしていくべきです。ストレスに押しつぶされる前に、行動していきましょう。
しかし、がむしゃらに行動するだけではうまくいかない可能性があります。まずは、職場いじめ被害を受けたときにやってはいけないことをチェックしましょう。
職場いじめ被害を受けたときに決してやってはいけないこと
職場いじめを受けているときにやってはいけないことを最初に知っておきましょう。いじめに対処するためには、冷静な判断と行動が必要不可欠です。
1 仕返しややり返す方法、撃退方法を第一に考える
「あんなことを言ってきたあの人に目にもの見せてやる!」という感情的な仕返しや撃退は、成功すればたしかにスッキリするかもしれません。
しかし、あなたは本来、職場いじめを受けている現状を変えて、気持ちよく働ける環境を望んでいるはずです。
必要なら仕返しに当てはまるような行動を取るべきですが、仕返しや撃退を第一に考えるのは辞めましょう。
2 友達や家族に愚痴を言うだけで対策を考えない
「今日こんなことを言われてさ…」と友達や家族に打ち明けることは、一つのストレス解消法になります。自分の置かれている状況を誰かに伝えておくことは、とても大切なことですよね。
しかし、それだけで終わってしまっては、いつまで経っても状況が改善することはありません。
友達や家族に愚痴を打ち明けて冷静になった次の行動が大切であることを覚えておきましょう。
3 無視したり、人間関係を最小限にしようとしたりして職場いじめに耐える
職場いじめを人間関係の問題と捉えることは正しい認識ですが、人間関係を最小限にすることで職場いじめを解決しようとするのはNGです。
多くの場合「無視」「気にしないようにする」という行動は、いじめている側をさらに逆上させる原因になります。
4 裁判の状況証拠を集めようと集中してしまう
あとから解説しますが、裁判や何らかの請求をおこなうなど「職場いじめの証拠」を集めておくことはとても大切です。
理不尽なことを言われたり、不当な扱いを受けていたりすることはきちんと記録するべきでしょう。
ただし、だからといって、目的と手段を逆転させてはいけません。証拠を集めようとするあまり、わざといじめられる状況を作ってしまうのは避けましょう。
5 職場いじめを理由に退職してしまう
「職場に行くのがつらい」と思いつめている方の中は、今すぐにでも退職したいと考えている方も多いはずです。
有給休暇は、取得条件を満たした上で社員が請求すれば必ず取れるのですが、だからといってその期間にとにかく退職してしまうのはリスクがあります。
有給休暇を取得する場合でも、そうではない場合でも、一度冷静にご自身の働き方を考え抜くことが大切になります。
もちろん、転職活動の流れや転職の方法をきちんとおさえたうえで計画的に退職することは間違いではありません。
ここまで、職場いじめを受けているときに絶対にしてはいけないことを解説しました。感情に任せて行動しないようにすれば、冷静に対応することができます。
では、いじめを受けている方に実践してほしいことを解説していきます。
職場いじめを受けているときにぜひ試してほしい対策
職場いじめを受けているときは、冷静に行動することが難しい場合も多いと思います。しかし、一度時間を取って冷静に対処法を知り、ひとつひとつ行動に移していくようにすれば、難しくありません。
ここでは、職場いじめへの対策としてできることを順番に解説しています。自分でできることから試してみましょう。
1 上司に職場いじめについて相談する
最初におこなうべきことは「上司への相談」です。
たとえば、あなたが直属の上司からの嫌がらせを受けている場合、信頼できる上司や人事に相談してみることをおすすめします。
上司に相談するだけでは解決しないことも多いですが、あなたに親身になってくれる上司の場合、下記のような対策を練ってくれるでしょう。
- 直接、職場いじめをしている上司に注意してくれる。
- シフト調整をして、いじめてくる相手と業務がかぶらないようにしてくれる。
- 部署や業務、チームの配置転換をしてくれる。
信頼できる上司が部下であるあなたや、いじめをしている上司の関係を築いていない可能性もあります。上司は基本的に部署や人間関係のケアに頭を悩ませていますから、相談にのってくれることも多いはずです。
2 職場いじめを専門に取り扱う窓口に相談する
「上司に相談してもまともに取り合ってくれない」「相手にされない」というケースも残念ながら存在します。場合によっては、上司に相談したことをいじめてくる相手に知られることもあります。
このような場合、会社内であなたの力になってくれる人を探すよりも、外部の人に助けを求めたほうが良いことがほとんどです。
たとえば、法律の専門家がしかるべき対処法をアドバイスしてくれる「法テラス」や、「労働問題」に関する相談窓口を設けている労働基準監督署への相談です。
3 法的対応のための準備をしておく
法テラスなどに相談すると、場合によっては法的対応になることがあります。あなた自身の意思によってどうするべきかを決めることができます。
法的対応をするためには、受けた職場いじめの内容を記録することが必要になります。また、一回だけではなく、複数回の記録があるとより有利です。
たとえば、下記のような方法で記録しておくことができます。
- ICレコーダーによる録音
- 被害を受けたときの日記(いつ・誰に・どんなことをされたか)
具体的な証拠を残す場合には、一度弁護士などの専門家に対応策を聴きましょう。労働問題を多く取り扱っている専門家への依頼をおすすめします。
4 一時的に休職する
職場いじめで最も被害があるのは、法的な証拠を取るためのコストでも、相談するための費用でもありません。あなた自身の精神的な疲労・摩耗です。
ストレスによる体調不良は、どんなに健康体であっても訪れます。
難しい場合も多いと思いますが、心底疲れ果てるよりも前に一時的に休職するなどの方法を取ることをおすすめします。
転職活動を始めるつもりなら、一度転職エージェントなどに相談しつつ、「有給休暇」を取得して転職活動を始めるとスムーズです。
5 転職活動を始める(実際に転職しなくてもOK)
転職活動を始めてしまうのも一つの方法です。職場いじめを原因として退職する方法は、次の見出しで具体的に解説しています。
今では転職エージェントを通して求人を探すことで、あなたが休みを取らなくても転職活動を進めることが可能です。
そのため、実際に転職するかどうかは求人の条件を見て決めることにしておいて、転職活動を始めるのも良いでしょう。
また、有給休暇を取得して転職活動を進めると、よりストレスなく転職することができます。
職場いじめを原因として退職するときの方法と流れ
あなたが職場いじめを理由として転職を始める場合の流れを解説していきます。
いじめを受け精神的に疲れ切っていると、「とても転職なんてできそうにない」と思ってしまうかもしれません。
しかし、具体的に今の状況を変える方法を知っておくことで、「先行きが見えない」という状況から抜け出すことができます。
1 退職届を辞める1ヶ月前に提出する
「仕事を退職する方法がわからない」という方も多いと思います。できれば、上司に話を通したうえで退職することを許可してもらうことが良いのですが、それがむずかしい人も多いでしょう。
しかし、上司に許可をもらわずとも退職することは可能です。それは「退職届」を出す方法です。退職届を上司に出して退職意思を伝えれば、引き止めにあっても辞めることが可能です。
退職届は会社ごとに所定の様式があるため、人事部などに確認しましょう。また、退職手続きは殆どの企業で2ヶ月前〜1ヶ月前などと決まっています。就業規則を確認しましょう。
退職届を決まった時期に出すことができれば、退職することが可能です。
退職届は直属の上司へ直接手渡すことができますが、それがむずかしい場合は上司と人事へのメールを送ります。また、「配達証明郵便」で会社に送付することもできます。
2 あいさつまわりと仕事の引き継ぎ
退職届を出したあとは、上司・同僚へのあいさつまわりや業務の引き継ぎをおこないます。
あなたがこれまで関係してきた上司や同僚へのあいさつをするとともに、あなたが担当していた業務の引き継ぎのために、マニュアル化されていない資料を準備するなどします。
3 有給休暇を取得する
有給消化の取得についてはむずかしいと感じる方が多いはずです。
しかし、退職と同様に、有給休暇も条件さえ満たしていれば必ず取得することができます。条件とは下記の2つです。
- 雇い入れの日から6カ月が経過していること
- 算定期間の8割以上を出勤していること
また、雇用した日から起算して下記の表通りに有給休暇が与えられます。(正社員の場合)
勤続期間 ※雇入れした日から起算する | 付与される休暇 |
---|---|
6ヶ月 | 10日 |
1年6ヶ月 | 11日 |
2年6ヶ月 | 12日 |
3年6ヶ月 | 14日 |
4年6ヶ月 | 16日 |
5年6ヶ月 | 18日 |
6年6ヶ月以上 | 20日 |
会社ごとに有給所得の方法が定められていますが、原則として社員の有給取得は拒否することができないため、転職活動や一時休職のための方法として活用するべきです。
4 失業保険給付を受ける
転職先が決まったあとに退職できるように進めることもできますが、万が一退職後に転職することになった場合、失業給付を受けておけば経済的余裕が出てきます。
退職手続きを進めると会社から「離職票」を受け取ることができますが、この離職票に「自己都合退職」と書かれている場合でも、失業保険の給付を「会社都合退職による給付」にできることがあります。
失業保険の給付を受けるためにはハローワークでの申請が必要ですが、この際に記録しておいた職場いじめの情報や、精神的苦痛を受けたことで診療した診断書を添付することで、給付額が増える可能性があります。
ハローワーク公式ページで手続方法が掲載されています。退職後の失業期間に備える場合は、下記のページをブックマークして保存しておきましょう。
>>雇用保険手続きのご案内 – ハローワークインターネットサービス
5 労災認定してもらい給付を受ける
職場いじめが原因で退職する場合、雇用保険の給付だけではなく労災認定を受けられる可能性があります。
労災認定を受けると「療養給付」「休業補償給付」を受けることができるため、より失業中の期間に不安を抱く心配がなくなります。
労災認定は、労働基準監督署の窓口でおこなうことができます。雇用保険の給付と異なり条件面では厳しいこともありますが、まずは労働相談窓口で質問してみることをおすすめします。
6 残業代請求をおこなうこともできる
未払い残業代請求は、労働問題を取り扱う弁護士に依頼することで請求することが可能です。
ただ、必ず残業代請求が成功するとは限らない点に注意しましょう。事実とは異なる残業が合った場合にのみ認められることは当然として、集める証拠も多く必要になります。
労働問題に関しては、やはり法テラスに相談することをおすすめします。
転職が不安?リスクなしで転職するための4つのコツ
職場いじめを理由として退職を検討している方向けに、ここでは転職活動を始めるにあたって必ずおさえておくべきことをご紹介していきます。
転職活動というと、下記のようなイメージがあるのではないでしょうか?
- 「失業リスクがある」
- 「これまでに積み重ねた経験・キャリアがムダになる」
- 「転職すると給料が下がる」
- 「新しい環境に慣れるのが大変そう」
しかし、この4つの不安は下記の「4つのコツ」で解消することができます。転職したいと考えているけど、不安を解消できないと感じる方はぜひ参考にしてください。
1 転職活動に失業リスクはない!
転職活動を始めるにあたって最も不安なことは、「転職活動をすると、失業するのではないか?」というものだと思います。
一般に、仕事を辞めたり、退職して他の仕事を始めたりすることには、ネガティブなイメージを持つ方も大勢います。しかし、それは”間違い”です。
大手転職サービスを運営している「リクナビ」が公開しているデータには、こう書かれています。
20代では76%が「転職経験なし」という結果となっています。30代になると「転職経験なし」の割合は一気に減少し、半分以上の人が転職を経験。4人に1人は「転職1回」、そして約3割の人が「2回以上の転職」を経験しているという結果になりました。
20代では「10人中3人以上」、30代では「4人中1人以上」の人が転職活動を経験しています。
つまり、今では転職活動自体はそれほど珍しいことではなく、むしろそれが当たり前になってきているのが現状です。
ではなぜ、転職活動をすることができる人が増えているのでしょうか?理由は大きく2つあります。
理由1 「中途採用を積極的におこなう企業が増えた」
人材市場・転職市場の動向をアンケートをもとに調査しているリクルートワークスが公開したデータでは、近年は中途採用を積極的におこなう企業が増えたことが示されています。
2018年度の中途採用の見通しについては、「増える」(18.6%)が「減る」(4.0%)を大きく上回っている。
つまり、転職市場は「売り手市場」で、人手不足は飲食業界・情報通信業界(IT)・不動産業界を中心に活発に採用活動が行われていることを示しています。
理由2 「転職活動を在職中にできるサービスが増えた」
転職市場が売り手市場だといっても、「実際に自分のもとに内定が来るかは分からない」という不安は残りますよね。
しかし、その点についても心配いりません。今では、「働きながら転職活動をすること」がふつうです。
たとえば、一昔前までは、下記のすべての転職準備を、自分で調べながらやる必要がありました。
- 求人を探す
- 履歴書・職務経歴書を作成する
- 面接準備をして面接日程を応募企業と調整する
- 面接を1次〜3次まで突破する
- 給与条件や入社日を人事側と調整する
- 今の会社を辞めるための退職手続きや保険関係の手続きをおこなう
これだけ見ても、かなり大変であることがわかりますよね。
でも今は、「転職エージェント」を活用することができます。
転職エージェントとは、あなたの代わりに希望条件に合った求人を選び、人事側とスケジュール調整をしてくれたり、履歴書や職務経歴書の添削サポートをおこなってくれたりする無料サービスです。
そのため、転職するために仕事を先に辞める必要はありませんし、会社にバレる心配がありません。また、自分で準備するのは最小限にしたうえで転職活動をおこなうことができます。
…
以上2つの理由から、転職活動にリスクがないことがおわかりいただけたのではないかと思います。転職エージェントについてもっと詳しく知りたいという方は下記記事をご覧ください。
おすすめ記事:転職エージェントとは?おすすめの選び方と比較ポイントを徹底解説!
おすすめ転職エージェントは下記記事でご紹介しています。活用法や利用の流れも解説しているので、「転職エージェントを選びたい」という方はぜひ参考にしましょう。
また、「自分で求人を探したい」「自分のペースで求人を見てみたい」という方は、こちらの「転職サイトランキング」を参考にしてくださいね。
おすすめ記事:おすすめ転職サイトランキング!選び方や登録後の流れ、活用法まとめ
2 これまで積み重ねてきた経験・キャリアは転職で活かせる
転職するときの悩みのひとつとして多くあげられるのは、「これまで積み重ねてきた経験・キャリアがムダになってしまうかもしれない」という不安です。
特に、30代前後である程度長く職場で働いてきた方や、エンジニアや金融・不動産などの専門的な営業をしてきた方は、そう感じることも多いでしょう。
これまで得てきた経験を活かすには、「同じ業界・職種/業種で活躍することができる仕事」を探すことが大切になります。
「同じ業界・職種/業種」で活躍することができる仕事を探すには、「業界・職種/業種に特化した転職エージェントや転職サイトを使うこと」をおすすめします。
あなたの経験・キャリアを正しく評価してくれる職場であれば、今の給料よりも高い金額を提示してくれます。
もしなかったら、そのときは転職をしなければ良いのです。
業界・職種/業種専門の転職エージェントや転職サイトとは、たとえば「IT業界に特化した転職サービス」「広告業界に特化した転職サービス」「看護師・保育士・介護などの転職サービス」など様々です。
業界特化型の転職サービスや、特定業界に強い転職サービスは、兄弟サイト「IKIKATA Database」のTOPページで掲載しています。
どんな経験・キャリアであっても、それを評価してくれる職場は必ず存在します。
もちろん、経験・スキルによって大幅に求人の見つかりやすさや条件は変化しますが、「今の職場に不満を感じている」のであれば、転職活動を始めてみるべきですよね。
3 転職しても給料は下がらない
「転職すると給料が下がる」と何となく悪いイメージを持っている方はいないでしょうか?
それはあくまでリストラなどが行われた過去の話です。今でもリストラの危険性がまったくないわけではないですが、自発的におこなう転職活動で給料が下がることはありません。
それはなぜかといいますと、最初に給与条件を検索できる転職サイトや、給与条件を代わりに交渉してくれる転職エージェントは無数に存在するからです。
特に、あなたの代わりに給与交渉をおこなってくれる転職エージェントに依頼することで、年収アップが可能です。
年収アップ転職をしたいと考えているなら、下記に掲載されている転職エージェントのうち、特に自分に会っていそうなものを順位1位から見てみることをおすすめします。
また、実際に今のあなたの職種・業種の求人が一般的にどの程度の年収なのかを調べることも大切です。そんな方は転職サイトに登録し、職種/業種の条件から求人を探してみることをおすすめします。
おすすめ記事:おすすめ転職サイトランキング!選び方や登録後の流れ、活用法まとめ
4 新しい環境と今の環境の比較はカンタンにできる
転職活動自体はスタートでしかなく、本当に大切なのは「実際に内定をもらい入社したあとに後悔しないか?」という不安を解消することですよね。
「こんな職場に転職するくらいなら、以前の職場にいたほうが良かった…」という後悔をしたくない方は、転職活動に後ろ向きなはずです。
しかし、今の職場に不満を持っている方こそ、転職エージェントを使うべきです。
それはなぜかといいますと、転職エージェントでは応募先企業の内情や上司の情報、会社の雰囲気や残業時間の実態などについて詳しく教えてくれるからです。
あなたは、今の職場に不満を感じているからこそ、「転職先の内情」をしっかり知ったうえで転職したいと考えているのではないでしょうか?
実際に転職するかどうかは置いておいて、今の職場をほかの職場と比較してみることで、あなたが本当に満足できる仕事を見つけることができるでしょう。
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参考資料:職場いじめ – wikipedia