仕事ができる優秀な人は、物事に対して取り組むための行動力・実行力に優れています。ただし、優秀な人は、単純に要領がよく、地頭が良いからという理由だけで「優秀」なわけではありません。
スキルを磨き続けることができるからこそ優秀な人なのです。
優秀と社内外から評価され、実際にビジネスで成功をおさめるためには、幅広く深い知識が必要です。昨今言われている幅広い知識を持った人材像「T型人材」「H型人材」という概念も、こういった優秀な人材をどう育てるかというアイディアに立脚しています。
幅広い知識を得るために常に学習することができる人材こそ、ほんとうの意味で高いパフォーマンスを出せる人物になることができるのです。
そこで今回は、優秀な人なら無意識的・意識的にやっているであろう、「スキルを集中的に学習する方法」について解説していきます。
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優秀な人になるためには何が必要か?
優秀な人になるためには、普段の仕事ぶりやコミュニケーションスキルなどのほか、自分が属する業界に関する知識・スキルレベルが高くなければなりません。
知識・スキルを習得するまでの目安としては、「1万時間の法則」という概念が参考になります。みなさんもご存知かもしれません。
この法則は、フロリダ州立大学のK.アンダース・エリクソン博士により考案されたもので、プロスポーツ選手や音楽家、チェスの名人と言った競争が激しい分野の第一人者を調査することにより導き出されたもの。
この法則はマルコム・グラッドウェル著『天才! 成功する人々の法則』によって詳述されています。
1万時間ということは、5年間もの間ひとつの分野で仕事をし続けることでようやくプロフェッショナルになれるということになります。
しかし、たとえば1万時間かけてルーティンワークをこなし続けても、スキルレベルが上がるわけではありません。つまり、合計1万時間の内訳が重要です。
また、1万時間はあくまで「プロスポーツ選手や音楽家、チェスの名人と言った競争が激しい分野の第一人者」を調査し導かれた数字です。
普段の私たちが高いパフォーマンスを仕事で発揮するためのスキルのほとんどは、それよりもハードルが低いものが多いはずです。
よって、優秀な人物となるために私たちに必要なことは「ただ身につけたいスキルのために時間をかける」ことではなく、「いかに集中的に効果的な学習をおこなうか?」ということと言えるでしょう。
スキルを集中的に学習する方法とは?
フロリダ州立大学のK.アンダース・エリクソン博士は「1万時間の法則」を考案しましたが、その後「意図的な練習(Deliberate Practice)」という概念も作り出しました。
個人のパフォーマンスの特定の側面を効果的に改善する唯一の目的のために、通常は教師によって設計されたもの。
プロスポーツ選手や音楽家などの突出したプロフェッショナルになるためには、1万時間もしくはそれ以上に時間が必要です。
そしてさらに、その時間のうちでどんな学習をしたのかによって、周囲と差をつけるような効果的なスキルを学べているのかどうかが変化していきます。
さきほどの「意図的な練習(DP)」は、フォーチュン誌の編集者であるジェフ・コルビン氏により拡張されています。このDPから、私たちがスキルを学ぶための方法について知ることができます。
1 パフォーマンスを改善するように設計する
DPの本質は、常にパフォーマンスを改善させることができるようにスキルの練習を行うことです。
営業職の仕事で成約率の高い営業を行うためには、単純に「訪問数やアポイントの数を増やす」という施策を打つだけではなく、「成約率の高い営業トークスキル」を学ぶためのインプットが必要です。
2 何度も繰り返す
DPでは、何度もスキル獲得のために練習を行い、それが実際に現場レベルで実行できるようにすることが求められます。
そのためには、身につけたいスキルを一度限りではなく、何度も繰り返してPDCAを回していく仕組みを自分で作る必要があります。
たとえば、成約率を上げるという目標を持つなら、一日だけではなく数週間に渡って同じように実力が試される仕事の機会を増やしていく必要があります。
3 結果に対するフィードバックを受ける
DPで意図的に自分の身につけたいスキルについて学習しているときには、自分の反省点だけではなく周囲の人々やメンター、アドバイスをくれる先達からフィードバック・批判を受け取ることが重要です。
4 スキルの習得は精神的に厳しいものであると知る
スキルの習得は、そもそもが厳しいものであることを知るべきです。
意図的に自分のスキルを向上させるためには、ただ仕事をしているだけでは気づかないようなポイントや、普段なら絶対に手を出さない難しい課題にも対処する必要があります。
また、ほかのスキルに目移りして、今取り組んでいることを途中で投げ出してしまいたくなる誘惑にも勝つ必要があります。加えて、フィードバックを受けるときにも苦しい思いをするでしょう。
5 スキルを身に着けることは困難なことである
新しくスキルを身につけることは、ただ精神的に厳しいだけではなく実際に実行することが難しいものもあります。
「身につくかどうかはわからないけど、将来のために…」とビジネススキルに関する本を読んだは良いものの、実際に活用できない例は世の中に山ほどあります。
楽しむようにスキルを身に着け、ほかの人と差をつけていくことは不可能です。気楽な道のりではないことを知った上でスキルを学習していく必要があります。
6 良い目標を持つ
目標は、スキルを学習し習得するために不可欠なものです。世の中のほとんどの人は、期限や頻度、達成する基準などを目標にスキルを学習していきます。
それとともにもうひとつ重要な視点は、単純な最終結果だけではなく「プロセス」にも目標を設定することです。
たとえば、「3年後までに○○の事業で起業する」という目標があるなら、半年後までに何をしなければならないか、半年後の途中過程の目標に到達するためには1年前から何をしておくべきか、と、逆算してプロセスを可視化することが大切です。
まとめ|優秀な人となるべく身につけるべきスキル学習の方法
優秀な人は、ただ効率的に仕事ができる・人当たりが良い・周りを巻き込むのがうまいという表層のみで優秀さを捉えられてしまうところがあります。
しかし、実際は優秀でない人よりも努力を継続しているのであり、その努力はその場の感情や勢いではなく、今回ご紹介した意図的な学習(DP)のような考え方で取り組んでいるはずです。
あなたが自分の市場価値を高めていきたいのであれば、あなたが属する業界や活躍したい分野で身につけたいスキル・目標を設定し、DPに基づいて学習のロードマップを作成してみましょう。