「斬新なアイディアをどんどん出せる人」「現実に即した魅力的なアイディアを考案できる人」は、会社でも評判が高く、信頼されやすいのではないでしょうか。
こういったアイディアを即座に出せる「アイディアマン」は、意識的にアイディアをすぐ出せるように知識を身に着けている可能性があります。その知識のひとつには「オズボーンのチェックリスト」と呼ばれるフレームワークがあります。
オズボーンのチェックリストとは、ひとつのテーマに関して様々な側面から物事を考え、アイディアを創出するための考え方・フレームワークです。
アイディアを求められて苦労している若手ビジネスパーソンや、より斬新なアイディアがほしいマネージャーの方はぜひ参考にしてください。
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オズボーンのチェックリストとは?
オズボーンのチェックリストとは、アイディアが出ないときや行き詰まりを見せたときに、強制的に視点を変化させることによってアイディアを創出するフレームワーク。
ブレーンストーミングの考案者である、A・F・オズボーンにより提唱されている発想法です。
「発想が飛躍している」とは基本的にネガティブな意味で言われてしまうことですが、現実的にテーマを考えるだけでは解決策が出てこないこともビジネスシーンではよくあるでしょう。
そんなときは、一度飛躍した発想をすると良いです。
一度飛躍できれば、そこから頭を柔らかくしたうえで柔軟かつ現実的な発想が可能になります。オズボーンのチェックリストは9つに分かれているので、まずは下記の表をご覧ください。
9の視点 | 内容 |
---|---|
転用 | ①改善・改良して新しい使いみちは? ②そのままで新しい使いみちは? |
応用 | ①他にこれに似たものはないか? ②過去にこれに似たものはなかったか? ③なにか真似できないか? |
変更 | ①新しいひねりは? ②意味・色・動き・音・匂い・様式・型などを変えられないか? |
拡大 | ①より大きくできないか? ②なにか加えられないか? ③強さ・高さ・長さ・厚さ・頻度・付加価値は? |
縮小 | ①より小さくできないか? ②なにか減らせないか? ③弱さ・低さ・短さ・薄さ・省略・分割 |
代用 | ①他の素材を使えないか? ②他のアプローチはないか? ③他の構成要素にできないか? |
置換 | ①要素を取り替えたらどうか? ②他のパターンはどうか? ③原因と結果を入れ替えたらどうか? |
逆転 | ①後ろ向きにしたらどうか? ②上下をひっくり返したらどうか? ③主客転倒したらどうか? |
結合 | ①ブレンド、品揃え ②目的を組み合わせたらどうか? ③アイデアを組み合わせたらどうか? |
この9つの項目に、今あなたが抱えている悩み、アイディアや解決策を導きたい課題、議論のテーマを当てはめ、アイディアを出していくのです。
オズボーンのチェックリストは商品開発で主に使われるフレームワークですが、商品開発だけではなく様々なアイディア創出に活用することができます。
でも、これだけではオズボーンのチェックリストを活用することは難しいはず。そこで次は、「年間営業成績で1位を獲得する」ためのアイディアを出すことを想定して、オズボーンのチェックリストを活用します。
オズボーンのチェックリストの9の視点を活用!
ここでは「年間営業成績で1位を獲得するためのアイディア」を出していきます。あなたは、とある管理システムソフトウェアを法人向けに新規開拓する営業職として仕事をしています。
最近、あなたの部署では新規開拓営業の比率を増やし営業成績を伸ばす方針を固めています。そこであなたは、その方針に則るように営業成績1位を目指していくと仮定しましょう。
1 転用
転用では「他の使いみち」を探します。
- 改善・改良して新しい使いみちは?
- そのままで新しい使いみちは?
の2つの観点でアイディアを出していきます。
「年間営業成績1位を目指す」ための転用アイディアとしては、「営業成績1位を目指す過程をゲームにしたら」というアイディアが挙げられます。
新規開拓営業ではストレスが溜まることや嫌な思いをする回数自体が増えるため、毎日モチベーションを挙げるための方法を考え出す必要がありますね。
そのため、「今日は○人の担当者にアポを取れたら勝ち」などゲームフィケーションを取り入れるのも面白いです。
2 応用
応用では、「ほかのものからアイディアを借りる」という手法を取ります。
- 他にこれに似たものはないか?
- 過去にこれに似たものはなかったか?
- なにか真似できないか?
の3つの観点でアイディアを出していきます。
営業成績1位を目指すアイディアに当てはめると、「現在、営業成績1位の人のマネをしたら」「営業成績1位を獲ったことのある上司ならどうするか?」「営業成績一位を同業者はどうしているか?」などの観点があります。
ビジネススキルを磨くためには「マネ」も一つの技法です。また、具体的な営業手法のアイディアでもチェックリストを活用して新たな方法をマネすることができるかもしれません。
3 変更
変更では、「なにかを変える」ことを意識したアイディアを出します。
- 新しいひねりは?
- 意味・色・動き・音・匂い・様式・型などを変えられないか?
の2つの観点でアイディアを出していきます。
たとえば、「営業成績一位の意味を変える」です。契約件数や売上が成績評価に影響することは分かっていても、実際に自分がどの段階で営業成績を捉えているかをチェックするのに役立ちます。たとえば、「営業成績1位=成約率が高い」ではなく、「営業成績1位=アポの件数が多い」かもしれません。
4 拡大
拡大では、テーマの要素を大きくしてアイディアを考えていきます。
- より大きくできないか?
- なにか加えられないか?
- 強さ・高さ・長さ・厚さ・頻度・付加価値は?
たとえば、「営業成績一位を抽象化する」といった方法があります。
一つの課題や目標についてアイディアを出していると、どうしても視野が狭小になってしまいますので、「そもそも営業成績1位を獲って何に成りたいのか?」を考えるのも良いでしょう。もしかしたら、あなたは営業成績1位ではなく給料を上げたいのかもしれません。
また、頻度や付加価値などといった「営業を行う上で自分が改善できること」の範囲を広げることにも、「拡大」という視点を活用できます。
5 縮小
縮小では、今持っているテーマを小さくしてアイディアを出していきます。
- より小さくできないか?
- なにか減らせないか?
- 弱さ・低さ・短さ・薄さ・省略・分割
たとえば、「営業成績一位の地域を狭めたら」といった視点です。このアイディアは、地域を絞ることで顧客候補に深くアプローチすることにつながるかもしれません。
また、「営業成績一位のムダを無くせないか」といった視点もあります。営業成績1位を目指すために不必要な要素や仕事を断るなどの行動基準を作るキッカケになるでしょう。
6 代用
代用では、テーマをほかのもので代用してしまうアイディアを出していきます。
- 他の素材を使えないか?
- 他のアプローチはないか?
- 他の構成要素にできないか?
たとえば、「営業成績一位が移籍したら」と考えてみます。これはアプローチを変えて今の目標を代用してしまう方法になります。
意地悪な方法かもしれませんが、たとえば現在営業成績1位の社員が転勤・転職する予定であれば、営業成績1位のポストを狙える確率は高くなりますね。
また、営業成績1位のために行う営業活動の内「何に力点を置いていくか?」を考えるのにも役立ちます。「今は電話でアポを獲っているけど、最初はメールのほうが効率的なのでは?」といったアイディアもあります。
7 置換
置換は、なにかとなにかを「入れ替え」ることでアイディアを出す方法です。
- 要素を取り替えたらどうか?
- 他のパターンはどうか?
- 原因と結果を入れ替えたらどうか?
入れ替えられるものといえば、目的や時間・配置などです。
たとえば、「営業成績1位を手段にして給料アップができないか?」を考えるとすると、営業成績1位以外の方法で給料アップを目指す方法があるかもしれません。
ただし入れ替えは手段と目的が混同する場合があるので注意が必要です。
8 逆転
逆転は、テーマに関して順当であるものを逆にしてしまうアイディアを出す方法です。
- 後ろ向きにしたらどうか?
- 上下をひっくり返したらどうか?
- 主客転倒したらどうか?
たとえば、「営業成績一位の弱みを強みにしたら」という考え方。弱みだと思っている部分を強みにするという逆転した考え方です。
営業トークが苦手と感じている方であれば、むしろ必要以上に押しが強くない営業職を目指すと良いかも知れません。目標を達成するための方法を考えるうえで、逆転した発想を取り入れることができますね。
9 結合
最後は結合です。なにかとなにかを組み合わせることによるアイディアを出す方法です。
- ブレンド、品揃え
- 目的を組み合わせたらどうか?
- アイデアを組み合わせたらどうか?
たとえば、「営業成績1位の今と過去を組み合わせたら」というアイディア。
過去に営業成績1位を獲ったがそれ以降上手く行っていない社員と、連続して現在も1位を獲得している社員。
両者の共通点・相違点はなにかを知ることができれば、時間の流れによって効果的な営業手法も変わってきていることが分かります。
ここまで、オズボーンのチェックリストを活用し「年間営業成績1位を目指す」ためのアイディアを出す方法を例としてご紹介しました。
オズボーンのチェックリストはもともと商品開発でよく使われるフレームワークであるため、テーマによってはアイディア創出が難しいケースもあります。
しかし、見方を9つ提供してくれるフレームワークが頭に入っていれば、複数の見方から悩みや課題、解決策を導き出すことができます。
オズボーンのチェックリストの具体的な実践方法
オズボーンのチェックリストは、実際にアイディアを考え出すときに使うべきフレームワーク。
しかし、ビジネスフレームワークは世の中にたくさんあるのにもかかわらず、それを活用できていない方は少なくありません。
それはなぜでしょうか?
最大の要因としては、実際に仕事で活かせるような準備をしていないことが挙げられます。
アイディアを出すときは、下記の表を参考にしながら頭をひねることをおすすめします。スクリーンショットなどで撮影しておくことをおすすめします!
9の視点 | 内容 |
---|---|
転用 | ①改善・改良して新しい使いみちは? ②そのままで新しい使いみちは? |
応用 | ①他にこれに似たものはないか? ②過去にこれに似たものはなかったか? ③なにか真似できないか? |
変更 | ①新しいひねりは? ②意味・色・動き・音・匂い・様式・型などを変えられないか? |
拡大 | ①より大きくできないか? ②なにか加えられないか? ③強さ・高さ・長さ・厚さ・頻度・付加価値は? |
縮小 | ①より小さくできないか? ②なにか減らせないか? ③弱さ・低さ・短さ・薄さ・省略・分割 |
代用 | ①他の素材を使えないか? ②他のアプローチはないか? ③他の構成要素にできないか? |
置換 | ①要素を取り替えたらどうか? ②他のパターンはどうか? ③原因と結果を入れ替えたらどうか? |
逆転 | ①後ろ向きにしたらどうか? ②上下をひっくり返したらどうか? ③主客転倒したらどうか? |
結合 | ①ブレンド、品揃え ②目的を組み合わせたらどうか? ③アイデアを組み合わせたらどうか? |
また、便利なツールとして「テーマ」を入力することで9の視点でアイディアを出してくれる「アイデア生産工場」というWebサイトがあります。
まとめ|チェックリスト活用でアイディアを出す
アイディアが出ずにいたずらに会議が長引くことに課題感を抱いているマネージャーの方や、上司からアイディアを求められたがうまく思いつかないときなどは「オズボーンのチェックリスト」を活用してみましょう。
もちろん、9の視点をもとに出したアイディアのほとんどは、現実的に不可能であったり、形にするには不十分なものであったりします。
しかし、現状を打破するためには少々飛躍したアイディアでも出してみることが必要です。それは、どのような業界・分野・テーマでも変化しない事実ではないでしょうか。