プレゼンやスピーチなど、ビジネスパーソンには「人前で話す」機会がたくさんあります。大人数、少人数問わず、自分の伝えたいことをしっかりと伝えることができれば、ビジネスパーソンとして一流といえるでしょう。
人前で上手に話すスキルを身に着ければ、プレゼンや会話、スピーチ以外にも、商談や営業、電話応対など、様々な「仕事」に応用することができます。
この「人前で話す」ことに関しては、”苦手意識”を持っている方も多いでしょう。また、「苦手意識を持っていることで緊張し、失敗し、自信を失う」といった悪循環に陥っている人も多いのではないでしょうか?この悪循環を、社会学ではマイナスの予言の「自己成就」と呼びます。
そこで今回は、「人前で話すことが苦手な理由」と「人前で話す6つのコツ」をご紹介します。人前で話すスキルは才能ではなく、コツを知って、それを実践することで身につくものです。
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「人前で話すこと」が苦手な理由は?
人前で話すことが苦手な理由には、以下の3つがあります。
(1)緊張してしまう
緊張してしまうことで、本来の自分の話し方や所作が無くなってしまい、本来の自分を出せないと感じてしまう人は多いようです。
緊張する2つの理由
・自分を本来以上によく見せようとする
・完璧主義
自分を必要以上に「よく」思ってもらいたい心理と、「ここで完璧なプレゼン(スピーチ)をするんだ!」という自分へのプレッシャーが自分自身の「緊張」として跳ね返ってくるのです。
(2)不愛想な聞き手が必ず一定数いる
人前で話す以上は、「あいづち」を入れながら聞いてくれる方と、腕を組んでムスっとした表情で聞いている方の両方を同時に相手にしなくてはなりません。
特に、営業や商談におけるプレゼンでは、快い姿勢で聞いてくれる方のほうが珍しいでしょう。必ず、「不愛想な聞き手」と相対する必要があります。
そういった「敵か味方か分からない人」を相手にする状況に慣れていない心優しい人ほど、こういった状況に弱いことは確かです。なんとかして、克服すべきことであるといえます。
(3)準備の仕方が間違っている
「頭が真っ白になって、話すべきことが分からなくなった…」 苦手意識を持っている人の中で、こういった経験をお持ちの方は少なくないはずです。
緊張のせいもありますが、そもそもその場合は、「人前で話すための準備の方法」自体が間違っている可能性があります。
人前で話す機会というのは、ほとんどの場合、そのときに話すべき「議題」や「テーマ」がはっきりしているでしょう。それでも自分の話すべきことが分からなくなったということは、事前に準備しておくことのうち、何かが足りない、もしくは、間違っていると考えるべきなのです。
以上、3つの「苦手意識」を持つ理由について説明しました。いずれかに当てはまった人は、コツをつかんで、「人前で話すこと」に対する苦手意識を克服していく必要があります。
人前で話す6つのコツは?
人前で話すためには、何よりも事前の準備と細やかな工夫が必要です。
(1)不愛想な聞き手に向かって話す
苦手意識を持つ理由の一つに、「不愛想な聞き手がいる」ことを挙げましたが、あえて、「不愛想な人」を見つけて、その人に向かって話してみましょう。「笑点」で有名な春風亭昇太師匠は、高座に上がる前に「できるだけ早くウケる」ことと、「一番反応が悪い人に向かって話す」ことを心がけていると言います。
なぜかというと、不思議なもので、人間って話かけられると、どうしても反応してしまうんですよ。「自分に向けて話している」と思うと、それまで腕を組んで聞いていた人も、だんだんと腕組みをといていくんです。(引用:「笑点」で人気、春風亭昇太「人前で話す」技術-東洋経済ONLINE)
自分の自信を奪っていく聞き手のふところに入り、その場を制する方法といえます。また、「相手の目を見て話す」ということにも繋がります。おのずと、人前で話すときの姿勢も身に付くでしょう。
(2)冒頭の自己紹介は、名前を”フルネーム”で伝え、自己開示する
プレゼンにおいては特にそうなのですが、人前で話すためには最初の「つかみ」が大きな意味を持ちます。「つかみ」を成功させるためには、名前をフルネームで伝え、簡単に自分のプロフィールについて話をすることが大切です。
たとえば、あなたは友人の恋愛話と、「全く知らない人」の恋愛話なら、どちらに興味があるでしょうか?…断然、友人の話のほうに興味がありますよね。
それと同様に、プレゼンでもまったく知らない人の話は、正直それほど興味が持てないというのが人の心理なのです。それは、プレゼンやスピーチの面白さとはあまり関係なく、自然とそうなってしまうものなのです。
かといって、聞き手の一人ひとりと仲良くなるのは現実的ではありません。そこで、できる限り聞き手の「興味」を引く必要があるのです。
<具体例>こんにちは。本日はお忙しいところお集まりいただき誠にありがとうございます。今回のプレゼンを務めさせていただきます、あゆはらたけし、と申します。
現在はWebライターとして仕事をしておりまして、あまり人と話す機会がございません(笑) お聞き取りにくい箇所があるかもしれませんが、その際はご質問等よろしくお願いいたします。
(3)今日話すべきことの「最初」と「最後」を記憶する
スピーチやプレゼンなどでは、「話す内容を丸々暗記すること」はご法度です。確かに、すべてを覚えておけば大きな間違いや内容の矛盾は避けられるかもしれません。しかし、一度忘れてしまうと、その後の話がまったくつながらなくなってしまう可能性があり、大変危険です。
人前で話す場合、話すテーマはある程度決まっているわけですから、結論と理由、意見を述べるロジックなどは、もうすでに自分の中で固まっているはずです。
話す内容を決めたら、「最初のつかみと冒頭の説明」+「最後の締めくくり」の部分を暗記、デモンストレーションしておくだけで十分です。話す内容全体をあらすじ、ストーリーとして記憶する方法です。
また、理由を述べてから結論を述べるよりも、「結論→理由」というように相手に分かりやすく話す工夫も大切です。この工夫は、聞き手の状態や様子を見て判断しなければなりません。先を急いでいる様子であれば、結論を先に述べて、補足するように理由を述べるなど、臨機応変な対応が望ましいでしょう。
そのような対応は、「丸々暗記」ではできませんよね。
(4)失敗やヘマを想定しておく
「完璧主義」ですと、始まりから終わりまで、「自分の理想とする完璧な終わり方」をあらかじめ想定しておく方が多いでしょう。そして、実際にうまくいかず、その理想と現実のギャップに悩まされることも多いのです。
そういう方は、失敗やヘマをあらかじめ想定しておき、できる限り失敗やヘマの要因を消す必要があります。
たとえば、事例を3つ用意していたが、そのうちの一つはあまり説明できる自信がない複雑な事例である場合は、それを消して、ほかのもので代用するなどの「リスクヘッジ」をします。
ただ、冒頭でも述べたマイナスの予言の「自己成就」に気を付ける必要があります。この「自己成就」とは、「緊張するだろうな…」と思い込んでプレゼンをすると本番になってから、「うわ~やっぱ緊張してしまった…」と自分の緊張を意識してしまい、極度の緊張状態に陥ってしまうという罠です。失敗やヘマを感情的に意識しすぎるとこれと同じような危険があります。
ですから、「失敗やヘマをなくそう!」という意識をもって、実際にその要因を無くす準備が大切です。そして、「成功できるだろう!」と自信をもって、人前で話すマインドを身に付けましょう。
(5)今日の最低限得るべき成果を「設定」する
少しレベルの高いコツになりますが、人前で話すことの成果をあらかじめ設定しておくという方法があります。
これは、具体的には「プレゼンで3回、聞き手に話を振る」「『えー…』と言わない」といった初歩的なことや、「このスピーチで3回ウケる」といった面白い達成基準でも構いません。
このコツの目的は、なんといっても「緊張するという意識の分散」にあります。
たとえば、プレゼン資料も配布資料も何もなく、前に立っている自分自身のみに注目されている状態では、必ず緊張することが分かるでしょう。それと同様に自分の意識も、あまりに「緊張する」ことにだけ向けすぎることで、途端に頭が真っ白になってしまう要因になるのです。これを生理心理学では、「緊張への隷属」と呼ばれています。
意識を分散させるために、「人前で話すこと」に対して小目標を設定することが有効な方法です。
(6)その他の注意点(おまけ)
その他、身体的・精神的なアプローチから、事前に考えておくべきこと、しておくべきことを簡単に挙げてみました。
・深呼吸をして、(簡単な形の)物体を思い浮かべる
・体を動かし、声を出す(話す前に!)
・何よりも「ぶれない心」
これらも、人前で話す前に最低限しておきたいことですね。
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「聞き手と自分は対等である」ことを知る
今回は、人前で話すことに苦手意識を感じる理由と、人前で話すコツを6つご紹介しました。苦手意識を克服し、人前で話すことの経験を積むことには、ある程度の努力が必要です。
機会に恵まれてる方はその機会をどんどん活用し、機会が少ない方は自分からそういう機会を設けて、スキルアップを目指していきましょう。人と人の関係の中で、シゴトや生活をする以上、必ず必要なスキルです。
人前で話すことに緊張を感じない人はいませんが、あくまでも「聞き手」と自分は同じ”人”です。一人で話すと聞き手が凄く批判的で、厳しく自分を評価してくる人に思えますが、決してそんなことはありません。
着実に人前で話すスキルを身に着けていってくださいね。
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