ビジネスパーソンにとって、「歴史」を学ぶ意味とはなんでしょうか?
書店の流行本のコーナーを見ると、「もう一度読む○○」「大人のための○○」といった歴史に関する本が売れ筋になっています。それだけ、社会人、ビジネスパーソンにとって「歴史を学ぶ」必要性が出てきたことが表れています。
しかし、実際のところ歴史を学ぶ意味とはどのようなものか、私たちは実はよく分かっていません。「教養のため」とは言っても、その学びにメリットはあるのかを明確にしておかなければ、学ぶ意欲は減ってしまいますよね。
そこで今回は、ビジネスパーソンが歴史を学ぶ意味を、様々な観点から考えていきます。歴史を学ぶ動機は人それぞれですが、「なぜ学ぶ必要があるのか?」をとらえておくことも、教養の一つです。
Contens
そもそも「歴史」とは何か?
「歴史を学ぶ」といっても、そもそも「歴史」とはどういうものなのでしょうか?
イギリスの歴史家、政治学者であるE.H.カーは、その著書『歴史とは何か』岩波新書において、以下のような言葉を遺しています。
「歴史とは、現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話なのであります。」(引用:E.H.カー『歴史とは何か』岩波新書p.40)
歴史とは、そもそも客観的なことがらだけを取り出した結果ではなく、あくまでも人間の主観が入っているものです。よって、「歴史上の事実」とされるものでさえ人の心を通して表現されたものだと、彼はそれ以前の歴史家たちによる歴史の認識の仕方を批判しました。
それと同時に、歴史は完全な客観ではあり得ず、主観的なものですが、それでも現代に生きる私たちが「自らと自らを含む社会のあり方」に問題や課題を感じつつ歴史を学ぶことで、自分を客観的に認識することができるとしています。
参考記事:大谷大学教員エッセイ読むページ「きょうのことば」-[2010年10月]
私たちは、小学校から高校、そして大学と「歴史」を学ぶ機会がたくさんあります。しかし、テストのため、入試のため…と、歴史を学ぶ目的は矮小(わいしょう)化しがちではないでしょうか。
歴史とは、完全な客観的事実ではなく、そのときどきの時代に生きる人々にとってその内容を変化させる「主観的なもの」です。
だからこそ、「歴史をどうとらえるのか?」という行為を歴史を学びながら考えることで、私たちは「この時代に生きる自分がどうするべきか?」という問いを立てることができます。
政治経済、道徳、法律、科学技術、環境…様々なことについて一人ひとりがコミットしていかなくてはならない現代社会においては、歴史を学びなおし、そこから「何を学ぶことができるのか?」を考え、共有していくことが大事であるということを、E.H.カーの言葉から学ぶことができますね。
歴史とは…
1.あくまでも主観的なものであり、完全に客観的なものは存在しない
2.学ぶことで、現代社会人の問題を改めて考えることができるもの
以上2つの点を踏まえることで、歴史とはどういうものであり、歴史を学ぶ意欲もわいてくるのではないでしょうか?では、次の項目で、具体的に「歴史を学ぶことの意味」を考えていきましょう。
「歴史」を学ぶ5つの意味
(1)「アナロジー思考」を身に着けるため
「アナロジー(類推)」とは
「似ている点をもとにして他の事を推し量ること。」(引用:「類推」-コトバンク)
作家の佐藤優氏は、世界情勢や政治問題などを読み解く際は、複数の事象をアナロジーととらえて、それをもとに社会を分析する思考が大切だと自身の著作やメディアにて述べています。
参考記事:スキルを学ぶ前に、論理的に考える力を磨け-東洋経済ONLINE
アナロジーのための素材は、「小説」などのメディア作品や、「歴史を学ぶこと」で得ることができます。それをもとに様々な問題の「現状分析」をするのです。
「歴史は繰り返す」という言葉を安易に用いるのは、現代社会の問題を考える際に注意するべきことではありますが、問題、課題を考えるキッカケとして「類推」による論理的思考は大変重要です。
近代国家成立以降の歴史を知ることで、現代の世界情勢との「相違点」を明確にすることや、文化、宗教の成り立ちから、今の中東情勢を考えてみることは、ビジネスパーソンにとって決して無関係ではないでしょう。
ポイント:現代の問題を分析するために、歴史を学び「相違点」を類推する知見を身に着ける
(2)複数のファクターの関係性を分析するスキル
現代社会における問題解決を、「ビジネス」や「商品・サービス」のマーケットとしてとらえることも、ビジネスパーソンにとっては急務の課題です。
そのためには、複数のファクター(要因、要素)が複雑に絡み合う問題をしっかりと分析するスキルが必要になります。
E.H.カーの言葉の通り、「歴史は現在と過去の対話」です。過去を知り、初めて現代の「どこが問題なのか?」を知ることができます。
たとえば、最近の中東情勢の悪化と複雑化は、イスラム教、民族、国家といった様々なレベルのファクターが相互に影響しあって、問題を構成しているといえます。
世界レベルの話ではなくとも、ビジネスシーンにおける「課題解決」や「解決策の考案」に際しても、様々なファクターをとらえてものごとを考えなくてはなりません。
そういった複数のファクターの関係性を知るためには、「歴史を学ぶ」ことが最も効率的です。マクロレベル、文化圏レベルでどのように歴史が動いたのかを知ることで現代の複雑な問題を要素分解するスキルが身につくでしょう。
ポイント:現代の複雑化した問題を分析し解決するためには、歴史の複雑な事象を知ることが必要である
(3)分野を超えた「情報と知識」を得るため
中学や高校で使った教科書には、歴史学的知見以外にも、「考古学」「言語学」「文化人類学」などの様々な分野の知見、情報が詰まっています。
歴史とは、それだけ学際的な視点を担う分野であるということなのです。また、現代に生きる私たちにとっては実感がわきませんが、今も「歴史の渦中」であることに変わりはありません。
だとすると、現代だけではなく、「過去」も含めて学ぶことで、私たちはより深く広く様々な分野を学ぶことになるのではないでしょうか。
特に、古代ギリシャの哲学者や中世以降の西洋の歴史や、古代中国の諸子百家の思想は、現代のあらゆる文化圏の発展の「基礎」になっています。現代をとらえるためには「基礎・基本」としての過去を学ぶことが欠かせません。
ポイント:「歴史」は、様々な分野の情報や知見が詰まっている。よって、現代だけではなく「過去」を含めて学ぶことは、現代に生きる私たちの「基礎・基本」になるということ
(4)”背景”を理解するため
どんな問題・課題にも、「背景」があります。
背景を知らないまま決断してしまって、いざその背景を理解できたとき、その決断が間違っていたことに気づくこともあります。
そういった決断の間違いを犯さないようにするためには、「背景をとらえる練習」をしておく必要があります。歴史的事実の記録は、その起こった出来事だけではなく、何らかの「ファクター(要因)」を同時に示しています。
その要因こそが「背景」です。それを残された文献や研究から無尽蔵に知ることができる点で、私たちは恵まれているといえるのではないでしょうか。
たとえば経営者の「経営判断」「意思決定」というものは、ある程度以上の経験や場数を経て失敗を回避するレベルにまで上がります。
しかし、人生を生きる私たちの時間は限られていますし、だれでもそのような経験に恵まれるわけではありません。だからこそ、私たちは「背景をとらえる練習」を歴史を学ぶことを通しておこなう必要があります。
ポイント:ものごとには背景があり、それをとらえるためには経験や場数が必要。よって、歴史を学ぶことから、背景をとらえる練習をする必要がある
(5)「歴史を作る」ため
この記事を読むあなたは、何のために「歴史」を学ぶのでしょうか?
冒頭で、「歴史とは現在と過去の対話である」という言葉をご紹介しました。この言葉の通り、現代に生きる私たちも、現代の分析と問題解決を通して歴史を作る義務があります。
もちろん、後世に名を遺すことだけが「歴史を作る」ことではありません。一人ひとりが学んだ歴史から自分の行動や考えを構築して、社会にどう活用するかを考えること自体が「歴史」であると言えるのです。
これまで起きたことをただ情報として残しておくだけであれば、人を介してそれを記憶させることには何の意味もありません。それはすでに情報革命によって意義を失っているからです。
だとすれば、歴史を学ぶ意味とは「歴史を通して自分の行動や考えを導くこと」であると言えるのではないでしょうか。
そのためには、「主体性」「アントレプレナーシップ」「コミュニケーション」というようなスキルを得ることも必要です。「覚えるのではなく、学ぶ」この歴史への取り組み方が、社会と個人の両方を変えるキッカケになります。
ポイント:私たちは歴史を”覚える”のではなく”学ぶ”ことが大切。学ぶとは「歴史を通して自分の言動を導いていくこと」 史実をとらえ、ほかのスキルと同じように「自分のこと」として身に着けていくことが重要
歴史を学んで事象をとらえる重要性
今回は、そもそも「歴史とは何か」という大きなテーマから掘り下げ、ビジネスパーソンが歴史を学ぶ意味を5つに分けて掘り下げました。
歴史を学ぶ重要性が説かれることが多い世の中で、「はたして、本当に必要なのかどうか?」と懐疑的になるのは、一見無駄なことかもしれません。流行にまかせて学ぶかどうかを決めればいいからです。
しかし、歴史とは流行に乗せられて学ぶものではなく、自分から必要性を感じて学ぶべきものです。その必要性をとらえるための視点として、「5つの意味」を自身でとらえなおしてみてくださいね。
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