カフェBOTAcoffee オーナー 佐藤英人氏「真剣に作り続けていくことだけ」「広告は出さず使うのはSNSだけ」

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今回は、山形県山形市のカフェ「BOTAcoffee」オーナー、佐藤英人さんのIKIKATA。

学生時代から「建築」「不動産」とキャリアを積み、「空間の価値」を大切にするまちづくりと店づくりを目指すに至った経緯は、どのようなものでしょうか?

コーヒーの香りが漂う心地よい空間の中で、佐藤さんの「生き方」「働き方」に迫りました。 

具体的な業務

 

「BOTAcoffee」という喫茶店(夜はBAR)のオーナーをしています。

お店には、店舗の周囲で働いている方々や、午後3時を過ぎると主婦やカップルの方々にも来ていただいていますね。

 

—普段はどのような流れで一日のシゴトをされているのですか?

一日の流れとしては、朝イチで豆を焙煎し、12時過ぎから店を営業します。そこからは一日中、お客様の対応です。午後6時からは「バータイム」で、10:30までということになっていますが、10時半で帰る方はあまりいませんね(笑)

 

—お店はおひとりでされているのですか?

昼は一人でやっていますが、夜のバータイムはバイトが6人います。基本的にうちのスタッフには、「モノづくり」ができるスタッフしかいなくて、自分で声掛けしたスタッフしかいません。

「空間を大切にする」ことを意識して店をやっていて、空間を大切にするためには(スタッフとしてはたらく)「人」が重要なので。東北芸術工科大学の学生さんに声掛けして、バイトしてもらっています。

 

—普段から、学生とのつながりがあるのでしょうか?

自分が大学生のころから、「山形R不動産」の立上げメンバーとして活動していて、社会人になってからも山形R不動産と業務の中で関わりがあったので、間接的に建築関係の学生の人たちとはつながりがずっと続いていますね。

「山形R不動産」とは?

山形R不動産とは、「東京R不動産」提携のもと、東北芸術工科大学 建築環境デザイン学科を中心とした「NPO法人 環境デザイン会議」が運営するウェブサイト。

なぜ学生とかかわっているのか、ということですが、まず学生の方は「お金に困っている人」が多いというのがありますが(笑) 具体的なスキル、「モノづくり」のスキルを持っている人が多いので。

スキルを持った学生と関わることで、店の「空間としての質」も高まるんですよ。

 

—学生自身も、スキルを実践できるという部分もありますね。

実践できるというだけじゃなく、実際にシゴトに結びつくこともあります。自分の持っているスキルで「チャレンジできる場所」でもあってほしいなということで、学生と自分が「Win-Win」の関係になれるように、ということですね。

たとえば、店においてある色んなもの(メニュー、看板)などは、モノづくりができる学生が作ったものです。それをみたお客さんが「それでどこで買ったの?」って聞いてきたときもあります。 「買ってません、作ったんです」ということで(笑)

夜6時以降はBARになる

夜6時以降はBARになる

—コーヒーに関して、「こだわり」のようなものはありますか?

僕の店で出すコーヒーは、深煎りでスッキリとした口当たりのものを使っています。

もともと学生のころからコーヒーが好きで、いろんなコーヒーを飲んでいるうちに、「自分の好きなコーヒー」というものがわかってきた感じですね。サラリーマン時代に焙煎を始めたんですが、そのときから知り合いに豆を卸す、ということはしていまして。

なので、今でも「自分の好きなものをお客様にお出ししている」ということになります。もちろん、「美味い!」という方もいれば、「苦い」という人もいます。それでもやっぱり継続的に買ってくれる人がいて、知り合いの美容室に豆を卸すようにもなっています。

 

—では、お店を営む前から顧客がいたということになりますね(笑)

その美容室に髪を切りに来たお客様が、「このコーヒーどこの?」みたいな感じになって。そうやってうちに来てくれる方は結構いますね。なかなかないルートだと思います。すごくうれしいことですね。

 

—おいしいと確信してきていただけるということですね。「お店に来る前から”リピーター”」のような。

そういった「美味しい」と思っていただけるような工夫をずっと続けてきたから、というのはありますね。

たとえばコーヒーは一杯500円ですが、当然その「500円の価値」を提供したい。そのためには、ランチをやらないで、「ほかの匂い」が入ってきてしまわないようにする。そうしないと、メインである「コーヒー」の価値が下がってしまいますからね。

 

今の仕事に就いた経緯・キッカケ

 

学生時代「建築」から「不動産」への”転向”

 

お店は、「実験的にやろう」ということで始めたんです。

僕は東北芸術工科大学の「建築環境デザイン科」という学科出身なんですけど、「建築を作ること」に飽きてしまった、という経緯がありまして。

というのも、たとえば(山形県山形市の)七日町(店舗がある商店街地域)を見ても、「膨大な土地面積」があるのにも関わらずシャッター街になってしまっているんですよね。

そういった状況を改善するためには、「どういったコンテンツを作るか」が重要だと思っていて、それはたとえば「食べること」や「インテリア」ですね。そういった色々な要素が、「心地いい空間」を作るために必要なんですよ。

たとえば喫茶店一つをとっても、「おいしいコーヒー」を飲みたいのは当然として、「どんな器で」「どんなソファで」飲むかということ。

そういった「空間」を考えたときに、「建築やーめた!」となってしまって。街中の「空間資源」をどういう風に活用するかということを考えたときに、建築ではなくて、「不動産」に変えたんです。ここまでが、学生時代に考えていたことになります。

 

不動産業から「独立」まで

 

でも、そのあとに不動産を「つまらない」と感じてしまうキッカケがあって。

不動産業務の一つに、「空いている物件を埋めていく」というものがあります。つまり、「契約を取る」という業務ですね。

「この物件はこう活用したほうがおもしろいだろう」と自分は思うけど、自分ができることは「契約する業務」だけ。

それでも「こうしたほうがいいんじゃないですか?」と言ったことがありました。でもそこで相手のおじいちゃんに「いや、それはあなたがいうことじゃないから。」といわれてしまって…「確かにな。」と思いましたね。

自分はそれまで、不動産業務をすることで街が変わるんじゃないか、と思っていたんですけど、そのような経緯があって熱が冷めてしまったんですね。

業務は「営業」なので、毎月ノルマを課せられますし、数字を残す必要がある。だからクリエイティブなことばかり考えているわけにはいかない。そうすると、「目の前の客」にいかに契約してもらえるかということばかりに目が行くようになってしまっていて。

自分の”考え”のようなものが薄れていってしまうように感じられたんですね。それが「面白くないな」と思うようになったキッカケでした。

その後、「では、どんなコンテンツで街を変えることができるのか?」と考えた結果、「自分で店をやる」という選択肢に行き着いたんです。

 

「経験」を生かした”今の店”

 

学生のころにライフプランとして選んだ「不動産」というシゴトですが、結局「面白くないな」と思うようになってしまって、今の店をやるという結果になっている。

けれど、決してそのときの経験は「損」ではないと思っていますね。色々な人と会って、話して、考えて、今この店をやれているという感覚があります。

 

—自分にとってその当時の業務が適していたかどうかというところと、そこで得た経験や出会いの「良さ」は別のものだということですね。

そうですね。決して無駄ではなくて、もちろん当時はストレスや不満はありましたが、そういう経験自体がなければ、今の「空間」は作れていないわけですから。

 

 

仕事で工夫していること・考えていること(職業観・ポリシー)

 

真剣に作り続けていくこと

 

真剣に作り続けていくことですね。価値を共有できる人たちが集まる欠かせない要素だと思っています。なので、ひたすらそれを続けていますね。

そういったことをしなくても、たとえば大きな広告媒体に広告を出すと、売上や集客の効果は一時的にあると思うんです。でもそういう(広告を見た)人が来てくれたとしても、それだけで「店がよくなるのか?」といったら、そうとは限らない。

店という空間を「よく」してくれるのは、「友達の友達」のような感じと似ています。「誰々さんから聞いてきました!」という感じですね。そうやって来てくれる方こそ、店をよくしてくれるのではないかと考えています。

僕の店の原点はそこにある、と考えているので、「広告は出さず、使うのはSNSだけ」という方針をとっています。だからこそ、「価値を提供する」ことに対するプレッシャーはありますね。

 

魅力的なコンテンツのための場所づくり

 

(いい空間を作るための)魅力的なコンテンツは、「外部の人が持ってきてくれる」と思っていて。自分はアーティストではないし、そもそも「その人が表現できるもの」はその人だけのものですからね。

そこで、それ(その魅力的なコンテンツ)を自分の店を使ってやってほしいと考えているんです。

この店の二階部分は「シアタールーム」になっていて、壁は真っ白なんです。なぜ真っ白なのかという理由も、「魅力的なコンテンツをやるための場所」として、あえてそういう風にしたんですね。「この空間の色を染めたい」と思ってくれるアーティストに、自分の場所を使ってもらいたいという思いがあります。

色をつけてくれるのは周りの人たちだから、自分はそのために場所を作るということで。

そういう意味では、人付き合いって大事だな、と改めて思いますね。

 

佐藤さんのような職種・業種に必要なスキル

 

協力できる関係性

 

自分が開業するときは資金調達が大変でした。開業の際につまづく部分の大半は「お金に関すること」です。

でも、解決する方法はすごくシンプルで、「お金がかかるものは自分たちで作ってしまう」ということなんですね。

本当だったら、店を始めるためには1000万くらい必要だったんですけど。「これは自分でできるな」と考えて、協力してくれる人を巻き込んで開業の準備をしましたね。

お金を借りるときに、「開業するためにどのくらいのお金がかかるのか?」を銀行の担当者の方にプレゼンしないといけないんですけど、「こんなに安く済むんですか?」と言われたほどでした。それは、協力してくれる人たちがいたからできることでしたね。

そうやって行動するためには、「自分がやれることを明確にする」ということが大事ですね。僕の場合は「設計・建築」はできる。けれど、たとえば「写真を撮る」ことはできない。その場合は写真を撮れるスキルを持っている人にお願いする。

そういった「ぶつぶつ交換」ですね。さきほどの話にもありましたが、そうやって撮影した写真を見たお客さんから、「この写真誰が撮ったの?」となると、その人のシゴトになる。

そういう関係を生み出せるように、という考え方が大事ですね。

「街をどう豊かにするか?」という考え方

 

嶋田洋平著『ぼくらのリノベーションまちづくり』日経BP社 僕にとってこの本の影響はとても大きいですね。北九州発祥で、全国で展開している「リノベーションスクール」というのがあるんですが、それに2週間赴いたことがあります。

「これから何かを始めたい!」という人にはぜひ読んでもらいたい本ですね。

 

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—この本のどういった内容に影響を受けたのでしょうか?

著者の嶋田さんという方は建築事務所代表の方なんですけど、「新築を作る」ことではなくて、「町をどう豊かにするか?」というところにフォーカスして、そのデザインをシゴトにしている方なんですよ。その考え方に影響を受けましたね。

実は今やっているこの店も、自分が不動産会社時代に受け持っていた物件で、「この物件をどうやって活用していくのか?」をオーナーさんにプレゼンしたんですね。

参考記事:まちづくりの第一歩。20代でもできたカフェ経営-rerererenovation!

最初は、「モノづくりカフェにしようよ!」という提案をしたんですが、1年以上物件が動かなかったんです。そこで、「じゃあ俺がやろう」と。

 

—この本の影響を受けて、そういった行動に出るキッカケになったんですね。

 

「利用価値」

 

「ピンホールマーケティング」という考え方があって、「何かに特化することで得られる利用価値」を見出すということなんですが、この考え方が大事ですね。

似たようなものが世の中には増えすぎていて、本来は、周りの人間がそういった「均質化した価値観」に気づかないといけないんです。コンビニやショッピングモールが増えて、日本の「地域の風土」がどんどんなくなってきているのは、そもそも均質化した価値観によって日本人のお金の使い方が均一化していることが原因です。

そういった均質化した風景に疑問を持たない人たちが多いと思っていて、そこに気づくのが大事なんじゃないかな、と。そしてそういった問題を解決するのはやはりデザインだと思っています。

店のことでいうと、たとえば店で提供するテイクアウトのコーヒーのカップも、「BOTA」のコーヒーだとわかるようにカップのデザインを工夫しています。

そんな感じで、自分提供するものの「利用価値」を下げないようにすることが大事だと考えています。

 

佐藤さんのような職種・業種を目指す方々へのメッセージ

 

自分のやりたいことを掘り下げる

 

今からできることですが、「コーヒー屋」をやりたいのであれば、まず自分はどんなコーヒーが好きなのかということを知るところからです。

「自分がやりたい商売をいかに掘り下げるか」ということですね。

 

親しい人に宣言する

 

僕は、親しい人には「自分は店をやりたい!」と言ってきていました。それが後々店を開業するときに協力してもらえるといったようなことに繋がっています。

なので、信頼できる周りの親しい人に「こういうことをやりたい!」と話していくことが大事ですね。

もちろん、いつまでも言うだけで実行しなければ「あいつは口だけだ」という風に言われてしまいますけど、そうでもしないと、ものごとが進まないので。

 

一つひとつ積み上げていく

 

「でかいこと」をやろうとするとなかなか進まないわけですから、「できること」を一つひとつ積み上げていくことが大事です。

まちづくりという観点からも言えることで、いくら大きなビジョンがあっても、一個一個の具体的なデザインとコンテンツがなければスカスカのまちづくりになってしまいます。

「大きなことは小さく始めよ」それが点から面へと繋がっていきます。

 

—ありがとうございました!

 

<佐藤英人さんが経営する「BOTAcoffee」の情報>

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「BOTAcoffee」公式HP

「BOTAcoffee」Facebookページ

 

 

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