今回は、山形のプロBMXライダー、伊藤敬大さんのIKIKATA。
「山形にBMXを広めたい」という思いを持ち、山形でプロ活動を続ける伊藤さん。働きながら、全国選手権で好成績をおさめ、BMXが盛んな地域のライダーと競い合っています。
伊藤さんからは、BMXの魅力と結果を出す努力を通した「生き方」を学ぶことができます。努力すれば、”プロ”を勝ち取れる。そんな伊藤さんの熱意を垣間見ることができる記事となりました。
具体的な活動
—「プロBMXライダー」としてご活躍されている伊藤さんですが、具体的にどのような活動をされているのでしょうか?
「KING OF GROUND BMXフラットランド全日本選手権」への年に2回の出場(2016年度プロクラスラウンド1で3位)のほか、「KING OF GROUND」以外にもちょくちょく大会があって、それらの大会にもできる限り参加しています。
また、今年からは山形でBMXのショーを行っています。
BMXといってもジャンルがありまして、僕のジャンルは「フラットランド」という競技になります。
与えられる競技時間は1分半~3分。その持ち時間でどの程度難易度の高い技を完成度の高い状態で決めることができるのかを競う競技がフラットランドです。イメージとしては、フィギュアスケートに似ていますね。
「KOG」のクラスは「ガールズ」「キッズ」「ノービス」「エキスパート」「プロ」の4クラス。エキスパートで優勝したらプロに昇格できるといったルールです。
—練習は、どこでされているのでしょうか?
「平らな場所」ならどこでもやります。たとえば、駐車場などのコンクリートの上でもできます。でも実際はちょっとうねりがあったりとか、凸凹していることがあるので、技が決まりにくいといった影響があります。
—たとえば、大会の会場の環境ごとに、技が決まりにくいなどの違いは出てくるのですか?
「KOG」の場合は環境がいいですが、ほかの大会だと公園などを会場にして行われることがあるので、難しい場合もありますね。でも、それはほかの出場者にとっても同じことなので。
今の仕事に就いた経緯・キッカケ
BMXフラットランドとの出会い
—17歳でBMXを始めたとお聞きしました。どのような経緯があってBMXフラットランドを始めようと思ったのでしょうか?
高校生のころ、フラットランドではなく、BMXがジャンプするシーンをTVで観て「これ、いいな」と感じたんですよ。その後、たまたま「KOG」のビデオを観せてもらえる機会があったんです。
「ひとつのことに頑張っている選手の姿」を見たときの感動、「自転車ってこんな動きをするのか!」という驚きがありました。「こういう人たちになりたいな」と思ったんです。
とにかく「上手くなりたい」と思いながら、練習をし続けていました。BMXフラットランドを始めて6年目、「KOG」エキスパートクラスには出場できるようになっていましたが、出場できるだけであって決勝には全然行けていなかった。
そこで、「もっと本気でやろう」と思い直しました。もちろんそれ以前にも朝早く起きて練習とか、そういうことはしていたんですよ。でもダメだった。だからこそ、走り込みや筋トレも行いましたね。
そういった努力を始めたら、次のエキスパートクラスの大会で3位になることができて。そこで自分にはまだまだ伸びしろがある、と感じたんです。そこから本気でプロを目指そうと考えました。
働きながらの”プロ”
ほとんどのプロBMXライダーが、「働きながらのプロ」なんです。僕も高校を卒業して就職し働きつつ練習して、大会にも出場しています。
プロの中にはショーなどを行いそれだけで食べている人もいますが、ほとんどのプロの方々は、みんな働きながらプロとして活動していますね。
—それでもBMXを続けることができるのは、「好きだから」という理由なんですよね。普段はどんなお仕事をされているんでしょう?
普段は工場の生産ラインで働いています。土日はちゃんと休みですから練習できますし、今では勤め先にもスポンサーとしてついてもらっているんです。
BMXの大会は、東京、名古屋といった場所で開催されることが多いので、自分の会社がスポンサーになってくれていることで、周りの理解が得られありがたいと感じています。
—BMXが楽しいと思える瞬間は、どんなときでしょうか?
BMXもスケートボードもストリートスポーツですけど、僕がやっている「フラットランド」は一番難しいんですよ。山形でもフラットランドをしている人はほとんどいないけど、難しいからこそ楽しいというのはあります。
また、フラットランドは上手い人とそうでない人との差が凄く分かりやすい競技なんです。技の数も多彩です。普段味わえないような感覚を味わうことができますね。
—フラットランドの基礎は、どのように学びましたか?
都市部周辺でBMXをやっていると、ストリートでやっているうちに教えてくれる人に声掛けしてもらえる…という機会があるんです。しかし僕の場合は山形なので、ビデオの映像だけで練習していました。
—練習はどのくらいされていますか?
平日の仕事終わりは、5時以降から、夜の10時まで。土日は、睡眠時間も削りとにかく乗ります。
—練習されているときに意識していることはどんなことでしょうか?
とにかく上手い人のマネをして、技を覚えるということ。でも、ある程度以上になると、当然マネだけではだめで「個性」がないといけない。オリジナル技や動きを出さないといけないので。
普段やっている技を練習するのはもちろんですが、常に「新しいことないかな」と考えながら乗っています。そう考えているうちに、自分で生み出せる技もあるんです。
日本のトップ選手だと、自分の名前が入っているような技を持っている方もいます。
—「プロ」として、今後の展望は?
「BMXを広めたい」という思いが最初からあったわけではなく、「とにかく上手くなりたいな」と思ったことがキッカケなんです。だから、今の段階から次に上がることを意識しています。世界上位を目指し、2016年10月の世界大会にもエントリーしています。