Contens
工夫していること・考えていること(職業観・ポリシー)
相手の要望を”超える”
この仕事は「相手の想像を超えること」が仕事。根本的に、相手の要望を超えなくてはいけないんです。最後の1分1秒まで、妥協をしないようにしています。
妥協しないというのは、「これでいいだろう」と決めつけないこと。「面倒くさいな」「時間がなくて無理だな」と思うことをやる。「面倒だけど、やったほうがいいよな!やろう!」って感じ(笑) 時間がないなら、寝ないでやる。その分来週寝よう、と(笑)
自分は結構臆病で、常に最悪の事態を思い描いているんです。「これやったらお客さん、ガッカリするだろうな」っていつもビクビクしている。でも、その分「妥協しない」という部分が作品に出ていると思います。
「自分にはこれ以上できない!」という、今の条件でできる最大限を、最大の時間を使ってやること。そして、そういう作品を提供する。だから、「僕の作品で満足できなかったら、ほかの人でも無理じゃない?」という傲慢さもありますね(笑)
「個性」は出さない
(作品に)自分の個性は出しません。相手がいる以上、「超える」のはお客様の想像であって、自分の想像を超えることではないんです。
お客様を大事にするための表現。依頼がある以上は、自分の個性は出さない。そうではなく、「誰かの色を、自分が出してあげる」という考え方です。
お客様からの依頼なのに、自分の個性を出してしまっては意味がありませんから。
個性を出したいのであれば、自分の個展を開催すればいいわけです。もし、自分の個性を出したいと自分が思っていたら、あの竹の中に立ってますよ(笑)
プロとアマチュアの境目って、「お金を払ってもらえるかどうか」なんです。いくら上手くても、お金を払ってもらえないようではアマチュアです。もちろん、基本としての技術も重要です。
NARUさんのような職種・業種に必要なスキル
お客様を分析し「サプライズ」を繰り返す
—お客様とのコミュニケーションで大切にしていることはどんなことでしょうか?
まずは「雑談」をします。基本的なことから、出身、趣味、職業、年齢、性別。あとは「観察」して、「意外とシンプルなのが好きそうだけど、スパイス効いたのも好きそうだな」みたいな感じですね。あとは小物、時計なども全部分析していって。
直接聞けない部分が大事なので。なので、「打ち合わせが面白い」とお客様に言われたこともありますね(笑)
—「そう言えば好きだな」みたいな、自分でも気づいていないような部分を分析するということですよね。
一件一件、「サプライズ」を繰り返して、長年やってきていますね。だから、営業もしたことはありませんよ。
どこでも働けなくて、「これ以外ない」という状態の人間だったので「金儲けしてやろう」と思って独立したわけではなかったんです。それは今でも同じで。
自分の時間の過ごし方が全部作品に出るんですよ。絵でもなんでも。だから、営業するわけでもないし、自分のスタイルを貫いていますね。
座学ではなく体当たりで学んでいく姿勢
—植物の造形技術は、どこで学んだのですか?
基本的には、前職の花屋での業務で学びました。でも、そこで学べたのは、あくまでも花屋で仕入れている花のことだけ。だから、勤めている間は仕入れている花を覚えました。
独立してからは、身をもって覚えていきましたね。座学ではなくて、現実と正面からぶつかって覚えていって。とにかく体当たりでした。
自分の芯を意識する
—これまでの仕事で、「大変だったな」というエピソードはありますか?
様々なお客様がいるけど、まじめなタイプや、話しても返答が返ってこないタイプは苦手かな、と思います(笑) でも、お客様のことで悩むことはないですね。
それよりも「花で悩む」ことに時間を使います。自分の根本の強みは、「花と植物」にある。それが自分の芯なので、そこはぶれないように意識しています。何を言われたとしても、自分のペースにもっていくことが大事ですね。
NARUさんのような職種・業種を目指す方々へのメッセージ
「自分の環境を作っていく」ほうが面白い
—デザイナーを目指す方々は、自分の作ったものに対してどのように「自信」を持つべきでしょうか? また、「これで食べていく」と言えるくらいの自信を持つために、明日から何ができるでしょうか?
僕の仕事は、特定の職種ではないんです。このスタイルでやっている人はいない。
たとえるなら、「山に登るための道」を作ってきたのが僕。急に沼に入ったりしながらも(笑) でも、道を作ってきたわけですから、僕の後ろには道ができているんです。
(自分の道を通って)自分の仕事をやりたい人がいればそれは嬉しいことですし、応援します。でも、僕がこの道の最前線にいるわけですから、後ろしかない。僕を超えることはできない。
だから、自分と違う道を探してほしい。自分の道を通ってくれて、一緒に仕事ができるのはうれしいけど、それでは僕の背中しかみれませんから。
世の中に普通にある仕事ではないからこそ、自分が仕事をしていく「環境」を作っていくことが大切です。そのほうが面白いと思いますよ。
—ありがとうございました!
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