記事の「3つのポイント」
・誰かを尊敬することはキャリア形成に欠かせない要素
・尊敬することはキャリアに良い結果をもたらす
・尊敬する人と「同じ土俵に立って物事を見る」ことが重要
「尊敬」×キャリア志向
皆さんには、「尊敬する人」がいるでしょうか?
普段何気なく「尊敬」という念を抱く私たちですが、この概念は自らのキャリア形成のために役立つ考え方でもあります。
gooランキングが行ったアンケートに寄れば、尊敬する人は1位が親、2位が尊敬する人はいない、3位が歴史上の偉人だと言います。職場の上司や同僚と答える人は少ないようです。
今回は、普段から抱くこの「尊敬」という概念を深堀りしていくことで、よりキャリア形成における実践としての「尊敬」の意味を探っていきます。
「尊敬する」ことの定義とは?
まず、「尊敬」の一般的な定義を確認していきましょう。
簡単に説明すると、「尊敬」とは「その人の人格をとうといものと認めてうやまうこと。その人の行為・業績などをすぐれたものと認めて、その人をうやまうこと。」
考えてみれば、私たちが誰かを尊敬するときは、この定義にまるまる収まっていることが分かりますね。
相手の人格、行為、業績…etc
「その人の要素」に、私たちは「尊敬の念」を抱くのです。
しかし、この「尊敬」というものは、扱いを間違ってしまうと、「妬み」や「嫉み」など、ネガティブな感情に転化してしまうことが往々にしてあります。
そうならないためには、「尊敬する」こととはどんなことなのか、ということを論理的に明確にしておく必要があるでしょう。
「憧れ」と「尊敬」の違い
「尊敬する」ことを論理的に明確にするために、この項目では「憧れ」という、「尊敬」と似ている概念と相対化して比べていきます。
まず、「憧れ」とは、「理想とする物事や人物に強く心が引かれる。思い焦がれる。」という定義。
参考:goo国語辞典
「尊敬」と定義が似ていますね。しかし、「憧れ」には、見逃してはならない定義がもう1つあります。
それは、「いる所を離れてふらふらさまよう。さまよい歩く。」というもの。
「憧れ」は相手に対して感情的に引っ張られており、自律性を無くしている状態であると言えます。
「妬み」や「嫉み」はその代表的なものですね。相手に対する羨望だけが独り歩きし、ふらふらとさまよう気持ちこそ「憧れ」であるといえるでしょう。
それに引き換え「尊敬」は、その人の人格や行為等を「認める」プロセスを経ている点で、「憧れ」とは異なります。「尊敬」には、しっかりとした「自律性」があると言えます。
ただ理想に引っ張られていくのではなく、自ずから理想を現実のものと受け止める。
このように、「憧れ」と「尊敬」の違いを明確にしておけば、自分が誰かの能力や人格に嫉妬する無駄な時間を減らせます。そうすることで、効率的に自分を研鑽する時間を確保することができます。
「尊敬する」ことで「同じ土俵に上がる」
では、「尊敬する」ことは、私たちの日常生活においてどのような効用があるのでしょうか?
「尊敬する」ことは先ほども述べたように、相手の人格や行為等を優れたものであると「認める」ことから始まります。この「認める」という作業を経ると、人はその「認めた相手」に親近感を覚えます。
例えば、信頼していない相手に人生相談をすることはないでしょう。
「自分のことを分かってくれている」という気持ちと同時に「この人なら、自分の悩みに『解決策』『ヒント』を提供してくれる!」と感じているからこそ、その人に対して人生相談をするわけです。
それは尊敬するときでも同じ。相手の人格や行為を「認めた」時点において、私たちはその人を信頼しています。
そして、「尊敬が信頼と結びついている」と自分が認識したときこそ私たちは理想とする人物と「同じ土俵」にステップアップすることができます。
「同じ土俵」とは相手と対等な目線で物事を見る、ということ。
尊敬する人物と同じ土俵に乗り、その人の持つ要素を得るための努力をすることが、尊敬を自らのスキルアップへと昇華させるための方法です。