「サーバントリーダーシップ」をみにつけるための10の方法

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「サーバントリーダーシップ」という概念があります。

現代社会では、政治や企業組織といった分野を問わず、ありとあらゆる組織・集団に「リーダーシップ」が必要です。なぜなら、続々とスピードを増していく社会の中で組織を目的やビジョンをもって率いていく存在が「リーダー」だからです。

リーダーのための精神・考え方には様々な考え方があります。たとえば、皆さんがよく想像するようなリーダー像は、「みんなを引っ張っていく人」のイメージが一般的でしょう。

しかし、リーダーシップは決してそのようなタイプの人だけのものではありません。

今回は、「サーバントリーダーシップ」という考え方をご紹介し、サーバントリーダーシップを身につけるための方法について説明していきます。

この考え方を知れば、自分に適した「リーダー像」を描くことができるでしょう。また、サーバントリーダーシップを身につける方法を知れば、組織の中でどんな役回りを担うべきかを考えるヒントにもなります。

 

「サーバントリーダーシップ」とは?

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「サーバントリーダーシップ」とは?

サーバントリーダーシップは、ロバート・グリーンリーフ(1904~1990)が1970年に提唱した「リーダーである人は、まず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」というリーダーシップ哲学です。サーバントリーダーは、奉仕や支援を通じて、周囲から信頼を得て、主体的に協力してもらえる状況を作り出します。(引用:「NPO法人 日本サーバント・リーダーシップ教会」-サーバントリーダーシップとは?

リーダーシップの一つの形として、「支配型」というものがあります。この支配型リーダーシップは、一般的にイメージされる「リーダー」と言えるでしょう。「メンバーに義務を課して、役割や指示内容を伝え、行動させる」という役割も、おおまかなイメージとして持ちますね。

このようなリーダー像と反対に位置するのが「サーバントリーダーシップ」です。「サーバント(英:servant)」は、「使用人・名使い」という意味合いがあります。

サーバントリーダーシップを持つリーダーは、まず「何を実現したいのか?」という明確なビジョンを持ち、それを達成するための「行動」に移してくれるメンバーを尊重し、環境づくりを担います。

しかし、「部下のことをなんでも聞く」という意味合いは持ちません。あくまでもビジョンの達成のために行動してくれるメンバーをフォローすることに主眼を置いた「リーダーシップ」だといえます。

 

「サーバントリーダーシップ」を発揮する意味とメリット

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支配的なリーダーではなく、サーバントリーダーが必要である意味や、サーバントリーダーシップを発揮することのメリットを考えていきましょう。

このサーバントリーダーシップは、「一般的なリーダー」と言われる人びととは、大きくかけ離れているようにも思えます。

しかし、専門化、複雑化しつつあるビジネスやシゴトの現場や、グローバル化、ITの進展といった社会のスピードを早める要因が増す現代社会においては、「一人が支配するカタチ」での組織運営よりも、「(メンバーに対して)配慮と共感を持ちつつ、メンバー個々人の成長をサポートできるカタチ」で組織運営をした方が良いことが分かります。

支配型リーダーよりも、「サーバントリーダー」の方が、その部下であるメンバーがリーダーに対して抱く感情にポジティブな面が多いことも知られています。

たとえば、業務遂行のためにおこなうリーダーの行動について、「支配型」とサーバントではそのやり方が大きく異なります。

支配型では「指示」「命令」が中心ですが、サーバントリーダーはコーチングやメンタリングで部下をフォローし、メンバーの全員が最も高いパフォーマンスを発揮するように監督する役割を果たします。当然、後者の方が、部下の「満足度」が高いでしょう。

また、そのフォローのモチベーションは、「ビジョンの達成」を「組織全体で遂行する」という考えに基づいていますから、組織全体が一つの大きな方向に向かって前進する原動力になるといえます。

 

「サーバントリーダーシップ」をみにつけるための方法

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サーバントリーダーシップには、「10の特性」と呼ばれるものがあります。その特性から、「サーバントリーダーシップ」を身につけるための方法をご紹介していきます。

 

(1)傾聴

 

組織に所属する人ならだれでも感じること。それは「一人一人に特有の思惑がある」ということです。組織には階級や立場がある以上、そういった思惑は支配型リーダーによって「抑えられてしまう」はずですが、サーバントリーダーは、そういった個々人の思惑-考えや意見-に耳を傾ける必要があります。

意思決定の責任を担うリーダーにとって、部下やメンバーの声に耳を傾けるのは、言うほど簡単なことではありません。しかし、「傾聴する」ということに関していえば、スキルの一つととらえて向上させることができます。

参考記事:「聞く力」-人の話を聞くためにおさえておきたい2つの技術

 

(2)共感

 

共感とはつまり、「思いやり」のことです。では思いやりとは何か? それは、誰しもが完ぺきではないこと、得手不得手があることを認識し、根気強く相手を支える忍耐力を持つことです。

そういった共感のチカラを身につけるためには、何よりも親密なコミュニケーションをとる必要があるでしょう。親密なコミュニケーションはまず「相手の承認」から始まります。

つまり「思いやるためには相手を承認する」必要があります。これでは堂々巡りになってしまうようですが、そうではありません。相手を承認するとは、「相手の失敗を認める」ことと、「相手の必要性を考える」ことでしょう。

そのためには、いつも自分のことを考えるために費やしている時間の一部を、「他人のため」に使う必要があります。「あの人はなぜあのときにああいう行動を取ったんだろう」「あの人の意見はどんな考えに基づいているのだろう」と熟慮する時間が大切です。

 

(3)癒し

 

癒すことは、ただ単に「人に同情する」「優しくする」ということだけではありません。もちろん、そういったことも大変重要なことですが、それ以上に、「相手に欠けている部分」をいかに具体的なフォローにできるか、ということが大事です。

「メンバーのできないこと、不得手なことは何か?」ということに対して、「なぜできないんだ!」と責めることなく指摘する。そのためには、「客観的なフィードバック」を相手に施す必要があるでしょう。

参考記事:【あなたはできていますか?】正しい”フィードバック”6つの方法

 

(4)気づき

 

「気づき」は、主に「発想力」「想像力(創造力)」という言葉に変換されます。クリエイティビティという言葉に置き換えられることもあるでしょう。

参考記事:「クリエイティブ思考」とは何か?-みにつけるための前提条件2つ-

しかし、それだけではなく「ものごとをありのままに見る」ということが重要で、サーバントリーダーシップを身につけるためには、この点が非常に大切な要素になってきます。

ものごとをありのままに見るためには「固定概念」「偏見」を捨てる必要がありますが、それはものごとを単純化するということを意味しません。むしろ、ものごとを疑うクリティカルな思考が重要になってくるでしょう。

参考記事:【問題山積み?】ビジネスパーソンが知るべき問題解決6つの思考

 

(5)納得

 

部下、メンバーをフォローし、ビジョンに向けて行動を促すサーバントリーダーにとって、メンバーに「納得」してもらうことは第一の課題です。リーダーとしての権限をかざすだけでは、メンバーは「承諾」しても「納得」してくれません。

納得してもらうためには、「相手に理解してもらう」ことを第一とした「説得」が必要です。

参考記事:【すぐ実践】説得力は「いかに相手に分かりやすく伝えるか」で決まる

上記参考記事では、説得して相手に理解してもらうための方法について解説していますが、組織内でリーダーがメンバーに向けて「理解を示す姿勢」も重要になります。

説得するコツだけではなく、(5)以外の項目についても実践を重ねる必要があるでしょう。

 

(6)概念化

 

「大きな夢」「ビジョン」は、具体的なものではなく、あくまでも「概念」です。しかし、メンバーの行動を促すためには、具体的な目の前の「すべきこと」以外に、「現在やっていることの未来にあるもの」を示す必要があるでしょう。

リーダーは組織あるいはチームのトップ。よって、「すべきことは多い」ものです。人間関係からトップとしてのマネジメント、それ以外にも様々なすべきことがあります。概念的なことを考えているだけでは、前に進むことはできません。

しかし、世の中を見てみると、具体的に行動することと合わせて「概念的なこと」を考えることができているリーダーこそ、社会に影響を与え、「活躍している」のではないでしょうか。

メンバーに概念を共有するためには「分かってくれるだろう」とメンバー任せにするのではなく、「概念的なことについて話す機会を設ける」ことが大切です。実際にメンバーと概念を共有することで、リーダーとして持つべきビジョンも、より明確になることもあるでしょう。

 

(7)先見力

 

先見力は、組織の行く末を見据え、組織全体としてこれからどんなことをすべきかを考えるために必要なスキルです。

しかし、確実な先見性と言えるものは実際にはほとんどありません。歴史や理論に沿って進むものごともありますが、”絶対”とは言い切れないのです。

では、先見性はどうすれば磨くことができるか。キャリア理論の一つに「プランドハップンスタンス理論」と呼ばれるものがあります。

プランドハップンスタンス(計画的偶発性)理論 とは?

スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授によって提唱されたもので、「個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される」とし、その偶然を計画的に設計して自分のキャリアを良いものにしていこう、というポジティブな考え方です。(引用:All About-「計画的偶発性(プランドハップンスタンス)理論とは?」

偶然は、いいこともあれば悪いこともあります。しかし、そのどちらもあらかじめ知っておくことはできません。しかし、良い偶然をもたらすための”計画”を立てることはできます。

それは例えば、リスクマネジメントを徹底することや、PDCAやTEFCASといったフィードバックのためのフレームワークを組織で活用することでしょう。日々こつこつとした積み重ねをどれくらいメンバーで構成できるかがカギとなります。

参考記事:チャレンジングな人になるための「リスクマネジメント」

参考記事:【PDCAより効果的】目標達成にはTEFCASの法則を活用しよう

 

(8)執事役

 

「自分の利益よりも、相手に利益を与えること」 執事役のイメージは、そういった利他的な人物像です。

リーダーは、組織メンバーが日々現場でどのように思考し、行動するかをつぶさにとらえておく必要があります。現場で行動するメンバー個々人をサポートするためには、必ず必要なことであるといえるでしょう。

具体的に「執事役」をリーダーが演じるためには、「自分一人の方がいい」という意識を持たないこと。自分一人で行動する方が、利益を得られると確信してしまった時点で、そのリーダーの行動は利己的になります。

よって、「チームマネジメント」に関する知識が必要であるといえるでしょう。チームをうまく統率するマネジャー的な役割をすべて担う必要はありませんが、マネジャー的視点こそ、サーバントリーダーシップを持つうえで必要不可欠な特性です。

 

(9)人々の成長への関与

 

自分や組織のビジョンを達成するための行動には、「メンバーの成長」を促進することも含まれています。

メンバーの成長といっても、「目先の業務ができるようになる」ことだけを主眼においたものではなく、継続的に「理念的」なところまでをサポートすることを意味します。

つまり、コーチングやメンタリングなどをメンバーにおこなうこと、自分ができなくてもそういった仕組みをメンバー相互にできる仕組みづくりが必要です。

「シゴト以外のことは関与しない」という関係性ではなく、仲間の一人としてメンバーをフォローしていくことが重要でしょう。

 

(10)コミュニティづくり

 

最後は、コミュニティづくり。しかしここでいうコミュニティとは、「仲の良さ」というような感覚的なコミュニティを意味しません。

「ビジョンの共有」と「情報、知識の共有」が同時になされ、一つの目的に向かって行動できる組織を「作れる」ことを意味しています。

よって、サーバントリーダーは支配型のリーダーとしてではなく、トップでありつつ「仲間の一人」であるという協調性が大切でしょう。

しかし最も重要なのは「ビジョン」を明確にしたコミュニティを創ることです。ビジョンに共感し、ともに行動してくれる。そういった仲間を集めること、ビジョンを多くの人に共有してもらうこと。そういったところから、「コミュニティづくり」は始まっています。

まずは、あなたのビジョンを明確にして、誰かに伝えるところから始めましょう。

 

サーバントリーダーシップを身につける

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サーバントリーダーシップは、一般的なリーダーとは印象の異なるリーダー精神です。しかし、冒頭でも述べたように、社会の変化のスピードが速い現代社会で「生き残る組織」には、サーバントリーダーが必要です。

なぜなら、速いスピードで動く社会においては、異なる能力や素質を持った人財が協働して”革新”を起こす必要があるからです。どんな組織でも、それは変わりません。

サーバントリーダーシップは、組織運営に携わったり、チーム作りをおこなう方々にとって必要不可欠です。まずは、今回ご紹介した10の特性から、身につけるべきスキルを一つ一つ確認して高めていきましょう。

 

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