ビジネスパーソンのシゴトは「問題解決」「課題解決」であるといっても過言ではありません。
各々の職務は問題や課題を直接解決するためのものではない場合がほとんどですが、それでも目の前に「解決しなくてはいけない課題や問題」がたくさんあることには変わりないでしょう。
ビジネスパーソンは例外なく、大なり小なり「問題を解決する」ことに労力を尽くさなければなりませんが、問題に突き当たるたびに、臨機応変に対応するのはなかなか難しいものです。
そこで、今回は課題や問題解決のための基礎・基本となるような「思考法」を紹介します。いずれも、問題解決のために役立つものばかりです。
Contens
問題解決のための6つの思考法!
(1)アナロジー思考
アナロジー思考(類推)とは
「似ている点をもとにして他の事を推し量ること。」(引用:「類推」-コトバンク)
今自分が持っている課題の領域とは別の領域からアイディアを持ってきて、それを自分の領域に当てはめて考えることで、解決策を導く思考法のことです。
たとえば、あなたは「契約ノルマの達成」という課題を抱えているとします。その場合、「契約ノルマの達成」:「友人と作ること」を対応させて考えるのです。
そうすると、友人を作ることで実践していること(たとえば、「同じ時間を共有する」)をノルマの達成に応用して考えることができます。
このように、違う領域の枠組みで基本となることを自分の領域(ここでは、自分の課題がある領域)に当てはめて考えるのが、「アナロジー思考」になります。
(2)帰納法・演繹法
論理的にものごとを考えるためには、論理展開の基礎である「帰納法」と「演繹法」を押さえておく必要があります。論理的に問題に対処するためには、必ず知るべき方法です。
「帰納法」とは?
類似の事例をもとにして、一般的法則や原理を導き出す推論法のこと。(引用:「帰納法とは-コトバンク」)
今までの事例から、「今回もそうだろう」との予測を立てて準備したり、行動を起こすために必要な方法です。
「前回の事例と前々回の事例では、「A」という結果だった。つまり、今回の類似した問題も「A」という結果である。」とするのが、帰納法になります。これは、必ずしも正解を導ける方法ではありませんが、がむしゃらに行動するよりも合理的な行動をとることができます。
「演繹法」とは?
前提となる事柄をもとに、そこから確実に言える結論を導き出す推論法のこと。(引用:「演繹法とは-コトバンク」)
前提となる事柄を組み合わせ、確実な結論を導く思考法です。前提となる事柄が「正しい」と判断すること自体が難しい場合は、演繹法がうまくいかない場合もあります。しかし、問題の原因や要素があらかじめ判明していれば、適切な結論を導くことができます。
たとえば、有名な「三段論法」は演繹法になります。
【大前提】すべての挑戦にはリスクがつきものである
【小前提】リスクは事前準備ですべて回避できるものである
【結論】ゆえに、すべての挑戦におけるリスクは回避することができる
この論理の内容の「正しさ」自体を判断するのには時間がかかりそうですが、この論法自体は「余計な懸念」や「問題の複雑化」を避けて、課題で論じるべきテーマを絞っていくことができる点で、役に立つと言えるでしょう。
(3)なぜなぜ思考
「なぜ」を5回繰り返して、問題が生じる「本当の原因」を探す思考法のことです。
直面する課題によっては、「問題が起きた理由がまったく分からない」ということもあるでしょう。一度「分からない」「理解できない」と感じてしまうと、解決を諦めてしまおうという気持ちになってしまいます。
その場合は、とにかく「なぜ?」と5回問う思考法が大切です。
例「友人と不仲になってしまった理由」
1.「なぜ、あの人と不仲になったのだろうか?」→「口論になってしまったため」
2.「なぜ、口論になってしまったのか?」→「お互いの意見を尊重しなかったため」
3.「なぜ、お互いの意見を尊重しなかったのか?」→意見を尊重する気持ち的余裕がなかったため」
4.「なぜ、気持ち的余裕がなかったのか?」→「自分の意見が不十分だったため」
5.「なぜ、自分の意見が不十分だったのか?」→「このポイントとあのポイントについて根拠を示していなかったため」
とこのように、「なぜ」を繰り返し、問題の根本を探り当てるのです。どんな小さな問題でも、自問自答してその根本原因を問う思考を行えば、短絡的な解決策を選んでしまう危険性が少なくなります。
(4)仮説思考
「仮説思考」とは、問題を考える際に「仮の結論」を置いて考える思考法のこと。
仮説思考というと、「とにかくあてずっぽうで結論を急ぎ、それに向かってまっすぐ進め!」というイメージを持つ方がいるかもしれませんが、全く違います。
仮説思考を問題解決の際に活用すると、以下のようになります。
1.「問題解決のための仮説を立てる」
2.「仮説を証明するための情報を集める」
3.「集めた情報をもとに証明する」
たとえば、「企画案が受け入れられるためには、数値で示せる根拠が必要だ」と仮説を立てれば、そのために必要な情報を集めて、企画プレゼンに仮説を通して得た情報を盛り込むことができます。
仮説を立て、それを検証するということはつまり、「やってみるまで仮説が成功、正解か分からない」ということでもあります。しかし、結論を先取りして具体的な解決策を盛り込むことで、迷いなく効果的な策を講じることができます。
(5)水平思考
「水平思考」とは?
水平思考(すいへいしこう、英:Lateral thinking)は、問題解決のために既成の理論や概念にとらわれずアイデアを生み出す方法である。(引用:「水平思考-Wikipedia」)
具体的な水平思考の方法は以下の注意点に従ったものになります。
1.常識にとらわれない
2.前提を疑う
3.ゴールを定める
水平思考については、有名な問題があります。
二人の赤ちゃん
二人の赤ちゃんが、同じ時間に同じ病院で同じ母親から生まれました。
でも双子ではありません。なぜでしょう?
この問題は、常識にとらわれないこと、前提を疑うことで「双子ではないとはどういうことか?」を導くことで”正解”が分かります。(答えは記事の最後に掲載)
これは簡単な例ですが、前提や常識を一度外してみることで、問題を解決するためのヒントを見つけることができる点で「水平思考」は有用です。
また、「議論」や会議をするときに水平思考を応用した方法として「6ハット法」があります。こちらは、議論で水平思考を応用する際に有効です。
参考記事:【アイデア創出に役立つ!】6ハット法で会議のやり方を変えよう!
(6)クリティカルシンキング
クリティカルシンキングとは?
判的思考(ひはんてきしこう)またクリティカル・シンキング(英: critical thinking)とは、あらゆる物事の問題を特定して、適切に分析することによって最適解に辿り着くための思考方法である。(引用:「批判的思考-Wikipedia」)
方法としては、下記のようになります。
1.問題を「事実」と「解釈」に分けたうえで「事実」をとらえる
2.事実をとらえたうえで、問題を「原因」と「結果」に分けたうえで「結果」をとらえる
問題に対する自分の解釈を抜きにして、その「事実」だけを問題としてとらえなおします。そのうえで、「結果」つまり「何をすれば解決できるのか?」を考えるのです。
”健全な批判精神”を持った本質的な問いを進めることによって、問題解決をスムーズにおこなうことができます。
クリティカルシンキングは、これまで紹介した(1)~(5)を組み合わせて問題を考えることでより一層の効果があります。また、クリティカルシンキングのためには基本的なロジカルシンキングをおさえておく必要があります。ロジカルシンキングについては、下記を参照してくださいね。
参考記事:ロジカルシンキングはなぜ大切か?-身に着けるための方法2つ!
問題解決はシゴトの基本である
今回は、問題や課題を解決するための6つの思考法についてそれぞれご紹介してきました。課題や問題は、小さなものから大きなものまで、あるいは、単純なものから複雑なものまで、様々なものがあります。
しかし、基本となる思考の枠組みは変わりません。それらを応用して、動じずに効果的な思考をめぐらす必要があるのです。
特に、「初の試み」や「チャレンジ」を積極的に行うビジネスパーソンであれば、この思考法をおさえておき、あらゆる課題や問題に適切に対処していくことが求められるでしょう。
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「二人の赤ちゃん」の答え
「三つ子だった」