「継続学習」はビジネスパーソンにとってどんな意味があるのか?
日常のシゴトに精一杯打ち込み、そこで実践的・経験的な学びを得ることは、キャリア形成のうえでも「人間力」全体の向上のうえでも必須です。
しかし、そういった「経験的な学び」に明け暮れ、新しい「業界」「学問分野」の知識を積極的に得ようとする姿勢がなくなってしまうと、自分の可能性の「限界」を決めてしまうことに繋がります。
今回は、「学び続けること」=「継続学習」の意味とキャリアの関係性、そして明日から実践できる「継続学習」の方法3つをご紹介します。
社会で活躍するビジネスパーソンの必要条件は、「継続して学び続けること」にあります。
Contens
今回のゴール
・継続学習とキャリアの関係性を知る
・継続学習が「T型人材(財)」とイノベーションをもたらすことを知る
・継続学習をするための「実践方法3つ」を知る
「キャリア」の形成と「継続学習」の関係は?
自らの「キャリア形成」を考えることは、自分の将来の可能性を見据えて、社会貢献と自己実現を同時に達成するために必要なことです。そしてそのためには、「現代社会」で求められる人材(財)となり、「思考・行動・人脈」をフル活用できる自分を構築する必要があります。
そのような「人材(財)」を考える際には、「T型人材(財)」というキーワードを知るとより理解し易くなります。
「T型人材(財)」とは?
「T型人材」とは、特定の分野を究め、その深い専門知識と経験・スキルの蓄積を自らの軸に据えつつ、さらにそれ以外の多様なジャンルについても幅広い知見を併せ持っている人材のことです。アルファベットのTの文字のタテ棒を専門性、ヨコの棒を視野の広さに見立てて、こう呼びます。
(引用:コトバンク)
要するに、「一つの得意分野」以外に幅広い知見を兼ね備えている人」のことを指す言葉です。複雑化・専門化するシゴトだけではなく、「分野×分野」による「イノベーション」が叫ばれることが多くなった現代社会においては「プロフェッショナル」的なシゴトだけではなく、分野横断的な思考と行動、そして人脈を構築するスキルを身に着ける必要があります。
たとえば、「IT×教育」。教育の長期化や高度化に伴って、教育分野へのテクノロジーの導入が叫ばれている今、この2分野間の綿密な組み合わせが、社会に対して大きなイノベーションをもたらそうとしています。
このような組み合わせによるイノベーションは、「教育分野」「IT」などといった専門知識以外にも、ありとあらゆる知識が必要になります。たとえば上記の例なら、ITや教育以外にも、「教育心理学」やIoT(internet of Things)の動向などありとあらゆる観点の検討や実践が不可欠です。また、多分野間の協力のためには、異業種・異分野の人脈形成が重要になります。
そしてそのためには、「いろんな分野を知ろう」「幅広い知見を持とう」という意欲とその実践である「継続学習」が必要不可欠なのです。継続した学習がなければ、私たちは時代の流れの最先端を行くことができないことは当然ですし、また「取り残されてしまう」かもしれません。
では、「どうすれば継続学習ができるのか?」「学ぶべきものは何なのか?」ということに悩まず、明日から継続学習を実践することができる3つの方法について、ご紹介していきます。
継続学習実践編!3つの方法
(1)学習のための「興味・関心」を持つこと
特定の分野の学習は、「興味・関心」から始まります。
継続学習のためには、学び続けるだけの「興味」を持っておく必要があります。まずは、「興味」を持ちましょう。(これが最も重要です。)
「興味を持つためには、「日常における問題解決思考」の癖をつけましょう。「あのお店はなぜ流行っているんだろう?」「あの人は、どうしてあんなに人気者なんだろう?」といった日常の関心ごとや、「なぜ世界の貧困は解決されないのだろう?」「なぜ紛争はなくならないのだろう?」という世界の社会問題まで「疑問」を巡らすことが重要です。
そうすると、自分が「何も知らない」ことに気が付きます。社会問題や身近な関心ごと1つをとってみても、自分が何も解決できないことを痛感します。自分の専門分野のみで、解決できることは極端に限られるのです。
たとえば、「なぜあのお店は流行っているのか?」を考えたとき、色々な観点があることに気が付くでしょう。「マーケティングがうまくいっているのでは?」「お店のWebサイトが見やすいのでは?」「人の興味をそそる宣伝をしているのでは?」…そこで必要な分野が絞られていきます。
経営学・マーケティング・心理学などなど、様々な分野があります。これで、「自分が興味を持つべき分野」の量に困ることはありません。
あなたの「関心ごと」は、なんでしょうか?
(2)学習を継続する期間を決めること
生活リズムに「学習」を組み込む作業が大切です。
(1)で学びたい分野を絞ることができました。その先は、実際に学び続けるだけです…とは言っても「何から手をつけたらいいのか分からない」ということが起きます。そんなときは、一気に知識欲のままに本や参考書を買いあさるのではなく、しっかりと期間を決めて学習しましょう。
経営学者のP.F.ドラッカーは、自著において、自身の記者時代を振り返りこう語っています。
”やがて私は、一時に一つのことに集中して勉強するという自分なりの方法を身につけた。(中略)もちろんそれらのテーマを完全に自分のものにすることはできない。しかし、理解することはできるようになる。”
引用:『プロフェッショナルの条件 いかに成果をあげ、成長するか』ダイヤモンド社、P.F.ドラッカー著、上田惇生編訳
自分でまだ学んでいないことを、自分で決めた期間内にすべて学ぶのは難しいことです。しかし、ドラッカーのいうように「理解すること」はできるようになります。継続学習において、自分の専門外の知識を「理解できる」ようになることは、「T型人材(財)」へと近づくための大きな一歩になるのです。
まずは、一つの分野に関する情報収集と資料集め、そして学習を「期間を決めて」行ってみましょう。まずは「一週間ごと」に区切って行うのがオススメです。
(3)学習による思考・行動・人脈の観点を考えること
「興味・関心」と「他分野への理解」を新たな観点へと持ってくる
さて、(1)~(2)を実践することで、継続学習は可能になります。
3つ目の「思考・行動・人脈」の観点とはつまり、「実際に学んだことをどう生かすか?」ということを考えるために必要な観点です。
実際に今の自分のキャリア形成に学んだことを活かすために必要なことは…
①思考
学んだ分野の観点を今取り組んでいるシゴトに応用できるか考える
②行動
応用できそうな場合、どんな案が考えられるかをリストアップする
③人脈
同じ分野を学んでいる人どうしのコミュニティづくり+や今の人脈を活用して「思考と行動」が現実可能かどうかをディスカッションする
①~③は、一言で実践方法を示すなら「分野の違う人と関わる」ことです。他の部署、組織、人材、業界といった多種多様な人と直接会う、もしくは、インタビュー記事を読んでみる。そういったロールモデルの発掘から、自分の興味・関心を落とし込める新たなアイディアが生まれる可能性があります。
あなたは、「自分の範囲内」だけでものごとを考えようとしていませんか?
だとすれば、それは「大きな損失」です。
まとめ:T型人材と継続学習の実践
継続学習が「T型人材」の条件です。そしてその条件を満たすことが、ビジネスパーソン一人ひとりの「キャリア形成」に大きな影響を与えます。
学生の皆さんにもそれらは影響を与えます。「今学んでいること」を「今学んでいることの範囲内だけで完結させる」癖がついてしまうと、既存のものを凌駕するアイディアは生まれてくることはありません。
今回は、明日からできる「継続学習」実践の方法をご紹介しました。継続学習を実践し、「幅広い知見」と「応用性」を持った人材(財)を志向していきましょう!