理学療法士 須賀康平氏の生き方から「理学療法士のなり方」を学ぶ

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具体的な業務

 

私自身は整形外科のチームに現在所属しています。そこでは足首の痛み、膝の痛み、腰の痛み、首や肩などの痛みのある方、スポーツに関連した怪我の方など、幅広い方に運動療法を中心としたリハビリテーションの方法をお伝えしています。また、膝や股関節の人工関節術後、腰や首の術後、骨折や靱帯損傷の術後の方にもリハビリテーションを行っています。

リハビリテーションは英語でRehabilitationと書きます。その語源は「re: 再び」「habilitate: 適した状態」であり、再び適した状態に戻ることを意味します。予防的に適した状態を目指す場合はハビリテーションという言葉の方が適切といった意見もあります。その中で、理学療法士は「起き上がる」「移動する」「歩く」「走る」といった基本的な運動機能の回復をサポートする役割を担っています。実際に原因になる場所を手で触って検査した上で治療に必要な方法をお伝えし、患者さんの求めるリハビリテーションを助ける、そんなお仕事です。

具体的には、関節や患部を動かす運動療法を軸に、求める運動を邪魔する痛みや硬い場所を実際に触って治療したり、電気刺激や温熱療法などを用いた物理療法なども同様の目的で用います。基本的な運動を回復させることが核にある「理学療法士」と、作業を通じた応用的な動作や、社会適応能力の回復が核にある「作業療法士」の間には患者さんとの関わり方に大きな違いがあります。

 

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患者さんの治療のデモンストレーション

 

 

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腰痛に関連した勉強会の講師をしている時の写真

 

-料理をする場合などを例にとったとき、理学療法士と作業療法士の違いってどんな部分でしょう?

作業療法士の場合は、実際に料理をするという「道具を使った作業」を行ってもらい、その中でその方に必要な手先や腕の動きを引き出したり、具体的に効率の良い方法のアドバイスをしたりします。特別な道具がないとそれが難しい場合、その道具を作成するなどして患者さんの周りの環境を調整することも重視します。

例えば、握ることが上手くできない方のために包丁の柄を太くしたり、食材を刺して固定できるまな板を工夫するなどです。理学療法士の場合は料理を作るときにしっかり足で立て、肩や手先が料理に必要な分だけ動くように、先ほど述べたような治療を実施します。

また、作業療法士は精神科の領域を学ぶ機会が多いことも大きな違いになると思います。混同されるだけあって、実際2つの仕事も基本となる核が異なるだけで共通する部分ももちろんあります。例えば、作業療法士も料理に必要な分だけ手先を動かせない場合、そこを直接的に動かしてから実際の作業を提示することももちろん必要ですから。

 

‐理学療法士と作業療法士の区別って一般的にはあまり意識しませんが、そういった違いがあったんですね!

‐須賀さんは業務以外にも理学療法士としてのスキルを上げるために、働きながら大学院に行ったり、海外を含めた学会や研修会などに頻繁に参加していたり、執筆や翻訳、時には講師をしていたりと様々な活動されていますよね。

全てはそれらの活動で得たものを理学療法士としての仕事に繋げようと考えています。それは病院で雇われている私の最も重要な役割は、質の高い診療を提供し、知識や技術をスタッフ同士で共有して向上させていくことであると考えるからです。

 

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イタリアにおける筋膜治療の研修の時に一緒のホテルになったフィンランド人の方々

 今の仕事に就いた経緯・キッカケ

 

小学生のころからサッカーをずっとやっていました。高校2年生のときに、父親から「こんな仕事があるよ」と教えてもらったのが「理学療法士」という仕事でした。理学療法士はプロサッカーチームのリハビリテーションに関わっており、それに関わることが仕事になるのはすごく自分にとっていいなと思いました。

その後、理学療法士になるために受験をしたのですが、どこにいい先生がいるかなどはその頃は全くわかりませんでした。なので、自分が行ける中で最も難しいところに行ければいい先生に会えるだろうという思いで、全国の国公立大学の願書を取り寄せました。東京の私立大学も選択枝にあったのですが、センター試験でいい得点の取れた科目数の関係上、公立大学で唯一入れそうだった山形に来ることに決めました。他が良かったので助かりましたが、英語の点数だけが悪すぎましたので地元の国公立には全く届きませんでした(笑)。

大学では4年間、理学療法士として必要な勉強を続けていたわけですが、2年生のときに一つの授業で使用した教科書が英語だったんですよ。一番核となる「運動療法」の教科書は英語で出されているものが一番いいと大学の教授が選んでくれました。その経験から、全世界から情報の取れる「英語大事だな」と思い英語の勉強もしました。

また、その後に働きながら大学院に進学した時も英語の論文を調べて発表したり学んだりすることが多かったです。大学院卒業後に、ある研修会で「レビュアー」というものをしました。その時はたくさんの英語の論文の中から、70個ほどを選んで全て読み、必要な部分をまとめました。

今でもそれらの経験を活かして、病院内で英語の論文から最新の情報を得るような会をしていますし、院内外で英語の論文の読み方を伝えたりしています。また、シンガポールでの世界学会に参加した時や、一人で参加してきたイタリアでの研修会などでは英語が必要であったので、継続して使っています。

 

-高校で理学療法士を志すのって、結構周囲と比べて将来を考えていた、と言えると思います。

高校生のころに父親から理学療法士を紹介してもらった後、「理学療法士っていい仕事だな」と感じていました。スポーツにリハビリという方向から関わりたい、という人は結構多いと思います。なので、学費が私立の1/3~1/4の国公立大学の大学や専門学校、また有名な私立の大学では倍率が今でも高いと思います。理学療法士には3~4年でなれますが、整形外科だけでなく、神経疾患、心疾患、呼吸器疾患、がんのリハビリテーション、地域に根差した介護保険分野におけるリハビリテーションなど学ぶ内容が多岐に渡るようになってきているので3年制は減ってきていると思います。

 

 

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須賀康平(すが・こうへい)

■臨床経験 

現在は下肢・体幹の整形外科領域の術後リハビリテーション、外来はスポーツおよび痛みを中心に担当。

■得意分野

下肢・体幹の整形外科領域の治療 下肢痛に対する足底板・インソール 筋膜に対する徒手的な治療

■学歴、経歴

平成21年3月 山形県立保健医療大学保健医療学部理学療法学科卒業

平成25年3月 山形県立保健医療大学大学院保健医療学研究科保健医療学専攻修士課程卒業

平成21年4月  済生会山形済生病院入職

■執筆

  1. 舟波真一編著, 須賀康平(第11章ロッカーファンクション, 第12章感覚入力位置特異性), 運動の成り立ちとは何か,2014年5月
  2. 須賀康平, WCPT Congressに参加して-世界理学療法連盟学会2015レポート-, 月刊スポーツメディスン, 2015年6月号, 通巻171号

■翻訳

Facebook page「解剖学&理学療法学」 月曜日翻訳者

■講習会講師

  1. 公益事業推進部部内スポーツ勉強会「足部とインソール」2013年9月
  2. 第11回SPTS 外反捻挫+腓骨骨折 治療と予防セクションレビュアー, 2015年3月
  3. 諏訪湖リハビリテーション研究会「英語論文の読み方から構築する臨床展開の土台」2015年10月(長野県)

 

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