Contens
仕事で工夫していること・考えていること(職業観・ポリシー)
真剣に作り続けていくこと
真剣に作り続けていくことですね。価値を共有できる人たちが集まる欠かせない要素だと思っています。なので、ひたすらそれを続けていますね。
そういったことをしなくても、たとえば大きな広告媒体に広告を出すと、売上や集客の効果は一時的にあると思うんです。でもそういう(広告を見た)人が来てくれたとしても、それだけで「店がよくなるのか?」といったら、そうとは限らない。
店という空間を「よく」してくれるのは、「友達の友達」のような感じと似ています。「誰々さんから聞いてきました!」という感じですね。そうやって来てくれる方こそ、店をよくしてくれるのではないかと考えています。
僕の店の原点はそこにある、と考えているので、「広告は出さず、使うのはSNSだけ」という方針をとっています。だからこそ、「価値を提供する」ことに対するプレッシャーはありますね。
魅力的なコンテンツのための場所づくり
(いい空間を作るための)魅力的なコンテンツは、「外部の人が持ってきてくれる」と思っていて。自分はアーティストではないし、そもそも「その人が表現できるもの」はその人だけのものですからね。
そこで、それ(その魅力的なコンテンツ)を自分の店を使ってやってほしいと考えているんです。
この店の二階部分は「シアタールーム」になっていて、壁は真っ白なんです。なぜ真っ白なのかという理由も、「魅力的なコンテンツをやるための場所」として、あえてそういう風にしたんですね。「この空間の色を染めたい」と思ってくれるアーティストに、自分の場所を使ってもらいたいという思いがあります。
色をつけてくれるのは周りの人たちだから、自分はそのために場所を作るということで。
そういう意味では、人付き合いって大事だな、と改めて思いますね。
佐藤さんのような職種・業種に必要なスキル
協力できる関係性
自分が開業するときは資金調達が大変でした。開業の際につまづく部分の大半は「お金に関すること」です。
でも、解決する方法はすごくシンプルで、「お金がかかるものは自分たちで作ってしまう」ということなんですね。
本当だったら、店を始めるためには1000万くらい必要だったんですけど。「これは自分でできるな」と考えて、協力してくれる人を巻き込んで開業の準備をしましたね。
お金を借りるときに、「開業するためにどのくらいのお金がかかるのか?」を銀行の担当者の方にプレゼンしないといけないんですけど、「こんなに安く済むんですか?」と言われたほどでした。それは、協力してくれる人たちがいたからできることでしたね。
そうやって行動するためには、「自分がやれることを明確にする」ということが大事ですね。僕の場合は「設計・建築」はできる。けれど、たとえば「写真を撮る」ことはできない。その場合は写真を撮れるスキルを持っている人にお願いする。
そういった「ぶつぶつ交換」ですね。さきほどの話にもありましたが、そうやって撮影した写真を見たお客さんから、「この写真誰が撮ったの?」となると、その人のシゴトになる。
そういう関係を生み出せるように、という考え方が大事ですね。
「街をどう豊かにするか?」という考え方
『ぼくらのリノベーションまちづくり』、僕にとってこの本の影響はとても大きいですね。北九州発祥で、全国で展開している「リノベーションスクール」というのがあるんですが、それに2週間赴いたことがあります。
「これから何かを始めたい!」という人にはぜひ読んでもらいたい本ですね。
—この本のどういった内容に影響を受けたのでしょうか?
著者の嶋田さんという方は建築事務所代表の方なんですけど、「新築を作る」ことではなくて、「町をどう豊かにするか?」というところにフォーカスして、そのデザインをシゴトにしている方なんですよ。その考え方に影響を受けましたね。
実は今やっているこの店も、自分が不動産会社時代に受け持っていた物件で、「この物件をどうやって活用していくのか?」をオーナーさんにプレゼンしたんですね。
参考記事:まちづくりの第一歩。20代でもできたカフェ経営-rerererenovation!
最初は、「モノづくりカフェにしようよ!」という提案をしたんですが、1年以上物件が動かなかったんです。そこで、「じゃあ俺がやろう」と。
—この本の影響を受けて、そういった行動に出るキッカケになったんですね。
「利用価値」
「ピンホールマーケティング」という考え方があって、「何かに特化することで得られる利用価値」を見出すということなんですが、この考え方が大事ですね。
似たようなものが世の中には増えすぎていて、本来は、周りの人間がそういった「均質化した価値観」に気づかないといけないんです。コンビニやショッピングモールが増えて、日本の「地域の風土」がどんどんなくなってきているのは、そもそも均質化した価値観によって日本人のお金の使い方が均一化していることが原因です。
そういった均質化した風景に疑問を持たない人たちが多いと思っていて、そこに気づくのが大事なんじゃないかな、と。そしてそういった問題を解決するのはやはりデザインだと思っています。
店のことでいうと、たとえば店で提供するテイクアウトのコーヒーのカップも、「BOTA」のコーヒーだとわかるようにカップのデザインを工夫しています。
そんな感じで、自分提供するものの「利用価値」を下げないようにすることが大事だと考えています。
佐藤さんのような職種・業種を目指す方々へのメッセージ
自分のやりたいことを掘り下げる
今からできることですが、「コーヒー屋」をやりたいのであれば、まず自分はどんなコーヒーが好きなのかということを知るところからです。
「自分がやりたい商売をいかに掘り下げるか」ということですね。
親しい人に宣言する
僕は、親しい人には「自分は店をやりたい!」と言ってきていました。それが後々店を開業するときに協力してもらえるといったようなことに繋がっています。
なので、信頼できる周りの親しい人に「こういうことをやりたい!」と話していくことが大事ですね。
もちろん、いつまでも言うだけで実行しなければ「あいつは口だけだ」という風に言われてしまいますけど、そうでもしないと、ものごとが進まないので。
一つひとつ積み上げていく
「でかいこと」をやろうとするとなかなか進まないわけですから、「できること」を一つひとつ積み上げていくことが大事です。
まちづくりという観点からも言えることで、いくら大きなビジョンがあっても、一個一個の具体的なデザインとコンテンツがなければスカスカのまちづくりになってしまいます。
「大きなことは小さく始めよ」それが点から面へと繋がっていきます。
—ありがとうございました!
<佐藤英人さんが経営する「BOTAcoffee」の情報>