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今の仕事で工夫していること・考えていること(価値観・ポリシー)
本質に対する「目的的な思考」
もともとのシゴトが「コンサルタント」や「ディレクター」だったので、「本質的な課題は何なのか」というところを考えます。「本質」です。
何かについて「これはこうじゃないか?」と考える(検討する)ときに、そのテーマ設定や、本質をクリティカルシンキングという形で多面的・多角的に考える。どうしても、(議論や考えというのは)表層的な場合があります。
たとえば、広告やCMを作る場合に、コピーを書くことが「目的化」してしまうことがある。しかし、顧客とのコミュニケーションのために(広告やCMを)やっているわけなので、本来はそこありきでやっていくというようなところですね。「目的的な思考」を大切にしています。
自己同一性
「自分はこの仕事に対して誠実であるか」「自分の中にためらいはないか」というところです。企画やアイディアに関してのためらい、悩み、「お客様に対して申し訳ないな…」というところがないかを、きちんと考え「ぶれないように」しています。
「お客様にとってよくないもの」「お客様に対して(自分が)責任をとれないもの」である商品・サービスは絶対に売らない!というところですね。
それを保つことは容易ではないですが、圧倒的な当事者意識や自信につながります。
—特に、シゴトの中で自分に大きな裁量があると、そういう考えを実践していくのは難しいことですよね。
そうですね。手段として、「お客様にこれを売ればいいんだ!」という風に考えてしまうことが多いのが現実です。ですが、そこで「本当はこっちじゃないか?」など、物事を本質的に問い、自分や時にはお客様に問い、常にぶれずに「自己同一性」ある種アイデンティティともいえることを意識し、解決策を出し続けていくことが大切ですね。
歩んできた道のりを伝えること
自分自身が学び続けることも大事ですが、「(自分の)歩んできた道のり」を伝えることを通じて、若者の道を開くということを考えていますね。
自分と同じような志をもった人を10人増やせば、それが数珠つなぎ になって波及していき、いずれは社会が少し変わるのではないかと 思っています。だからこそ自分と出会い、自分と一緒にシゴトをしたことで、その経験を糧に頑張ってもらいたい。
自分が出会った人のなかで少しでもいいから、ご縁があったことで「変われました!」となってくれれば、自分がシゴトをした甲斐があると思っています。
人生で価値があるものが何かと考えたとき、それは自分が死んだ後も、そこに「何かが残る」ということではないかと思います。次の社会を切り開いて行こうとする人をいかに育て上げるのか、というところを大切にしています。
山本さんのような職種・業種に必要なスキル
「今」を知ること
—地域社会や、「教育」にコミットしたいと考えている人たちの中で、なかなか実践といいますか、「アウトプット」までできる人って少ないということがあると思います。そうならないためには、どうすればよいのでしょう?
そのためには、業界の今を知ることが大事ですね。たとえば、さきほどの教育でいえば高校の学習指導要領の話や、2020年にセンター試験がなくなるといったこと。
地域のことで言えば、その地域の産業の特徴や文化、人口の推移や予測もちろんですが、歴史的観点も踏まえてその地域の方たちの生の声をどれだけ聴くことができるか。刻々と変化していく社会のなかで、「机上の空論」にならないようにすることが大切です。
そのためには、教育や地域にまつまわる基礎知識と実体験は必須ですね。フィールドワークなどを通じて詳しい人の話を聞くのは大事です。多面的に見るためにはマーケティングなどの知識も必要ですし、冷静に物事を俯瞰し、捉えて分析するためにはロジカルシンキングやクリティカルシンキングなどのスキルも重要になります。
公益性とのバランス
「公益性」の高いものに取り組む場合、理想とのバランス感覚が重要です。特に、地域活性化や、教育支援になると公益性が高いわけなのでそのバランスをどうとるかというところに注意しなければなりません。
こうしたものを過度に崇高なものとして扱う人もおり、中には「儲けるなんてとんでもない!」という人もいるのも事実です。
しかしビジネスとしてやっていく以上は、継続的に儲けることが大前提です。明日の社会を築いていくであろう若者たちを支援しようとするのに、自分たちが明日の生活も心配しなければならないとなっては冗談になりませんからね。
そんな中で意識しなければならないのは「Win-Win」の関係です。お互いに「お金をいただかないと(払わないと)本気になれない」というのもあると思いますね。シゴトに関してきちんとした価値を提供しなければなりませんから。
行動の量を増やしていく
—地域活性のお話と、教育のお話を聞いていると、「人を巻き込む力」というものがとても大切になってくると思います。
そのためには、「行動を起こす」それも、「考えながら動く」ことが大事だと思います。よく「行動力が必要だ!」と言われますが、そもそも行動力を向上させるためには「行動の量」必要なわけですから、量を増やしていって、行動力という質の次元に上げていく作業が必要なわけです。
そのためには、常に「ポジティブ」でいなければなりませんし、お客様があきらめても自分はあきらめないというコンサルタントのシゴトの前提みたいなものが、重要になってきます。
「自分のビジョンを作る未来志向と、質を伴う行動量」ですね。
最初から効率を求めないこと
一度失敗するだけで、「自分はこれに向いていないのかな…」と諦める人がいますが、それはほとんどが早合点です。たとえば、小学生の野球少年がリトルリーグで一度試合に負けてしまって、「自分は野球に向いていないのか…」と言い出すようなものです。
—たとえばさきほどの行動量のお話にしても、「結局それは効率が悪いだろう」といった意見もあると思います。
新卒の段階で、シゴトに関する効率を求めること自体が間違っていると思っています。もちろん意識すること自体は悪いことではないんです。しかし自ら失敗し、どれが効率的でどれが非効率なのかを「理解」する。これが重要です。効率を意識し過ぎて試行数が少なくなっては意味がない。
「これはいらなかったな」「これは必要だ!」という風に判断していく。数回の失敗で効率を学ぶというのが間違っています。今は最初から答えを求める人が多い。私も前職時代では、自分で考えてこないゼロの状態で「どう思いますか?」と聞かれることがありましたが、これは良くないですね。
まずは、自分なりの「完成」というものを持つ必要があります。
もちろん、それは全て個々人のせい、というわけではなく、今の社会がどこか「失敗を容認できない社会」であることにも問題もあるのだと思います。そういう社会の中で、失敗から何を学んだのか、失敗した原因は何か、ということをしっかり反省することが大事です。
その過程を経て、ようやく行動力という質的なものが伴うと考えています。
山本さんのような職種・業種を目指す方々へのメッセージ
就活で悩む学生へ
学生で直面するのは、「就活」という大きなライフイベントですが、私から言えることは「社会に一度出てしまえば、なんとかなるよ」ということです。何ともならなかった人はいないと思います。
だから、今の時間を最大限楽しんでほしい。それは遊ぶという単純なことだけでなく、面白いこと、楽しいことをしながら、挑戦や失敗もしてほしい。これらは全て糧になるからこそ、その後の人生が何とかなる。
そうした悩みや喜びを知る人ほどヒューマンスキルというような人間性が磨かれ、人をテーマとしたコンサルタントや教育、地域に関する仕事に活かされるはずです。
また、自分なりの「メンター」となるような人を見つけてほしいですね。そういった人を見つけて、自分の不安を取り除きながら、社会に出る準備をしてほしいと思います。
メンターはちょっと先輩という感じだと、いいと思いますね。例えば大学生なら30歳前後でしょうか。
なんでも学ぶ「探求心」
学生の皆さんは、好き嫌いせず、選り好みせず、なんでも学んでみてください。そういった「探求心」が大切です。本を読み、普段会えない人、自分と違う価値観の人と話すことです。
本を読むことも大事ですが、たとえば「旅」は、自分の発想力を活性化することができますよ。ルーティンだけではどうしても発想がストップしてしまいます。
旅先で見つけたふとしたサービスや人との会話に気づきを得ることもありますからね。それらを学生生活でどの程度やってきたかが、社会人になってからの伸びしろになります。周りの人との「差」というものは、学生のうちはあまり感じられませんが、社会人になり5年~10年経つと大きな差が出ます。
一生勉強
社会人も、シゴトやプライベートの過ごし方を考えて、学んでいくことが大切です。一昔前ならそうしなくてもやっていけましたが、これからの時代はそうはいきませんからね。
それに、大学と違って、「社会人の学び」には終わりがありません。「一生勉強」ということになりますし、「完全な正解がない」問題も多くあります。そこで納得解を求めるためには、勉強をし続けなければなりません。
「足るを知る」
「幸福ってなんだろう?」と考えたときに、「足るを知る」という考えを持っていない、知らない人が多いですね。
昔は、経済成長で、同じ会社でずっと働き続けるということが普通でしたが、今はそうではありませんよね。しかし、社会の風潮を見てみると、まだ、旧来型の幸せの在り方につられてしまっているところがあります。
そして、今の若者も例外なくそういう風潮に翻弄されています。そういう旧来型の思考を抜け出すためには、「足るを知る」ということが大切です。
たとえば、「年収750万以上になると、それ以上は年収増加に比例して幸福度は上がらない」ということが海外の研究で報じられていますが、極端な話、お金が増えることで得られる幸せは、1000万でも1億でも相対的に大差がないようです。
今のは、年収についての幸福度の話ですが、「本当は自分の幸せを得るための方法として相応しくない」とわかっているのにも関わらず、社会の風潮に「自分の本当の幸せ」が翻弄され、「自分らしい 幸せ」を見失ってしまっている。
正解はないわけですから、そういった風潮に惑わされず、人生の軸 といえるお金や仕事、生き方に対する自分だけの”納得解”を見出し てほしいですね。
—ありがとうございました!
<山本さんの諸活動に関する情報>