QOL(クオリティオブライフ)の意味とは?使い方・評価基準・事例

QOLの意味とは?
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「QOL(クオリティ・オブ・ライフ)」とは、現代社会において若い世代から高齢者まですべての人が知っておくべき生活の質を向上させるための考え方となるものです。

「QOLが上がる」という使われ方が最近とてもされるようになってきており、人の働き方や趣味にとどまらず、様々な観点からQOLの観点が重要になってきていますよね。

でも、そもそも「QOL」とはどのような意味を持つ言葉であり、私たちの日常の視点をどのように変えてくれるものなのかを理解している人は少ないのではないでしょうか?

そこで今回は、「QOL」の意味や歴史、そして私たちの生活・ライフスタイルをよりよいものにしうる生活の質向上の方法について詳しくまとめています。

「QOLってそもそも何?」という方はぜひ参考にしてください。QOLの意味を知れば、あなたの生き方がさらに楽しく、ワクワクできること間違いありません。

QOL(クオリティオブライフ)の意味・定義とは?

QOL(クオリティオブライフ)とは何か?

QOL(クオリティオブライフ)という言葉は、主に医療・福祉分野で使われている言葉です。

中学生/高校生の頃、保健体育の授業で「クオリティオブライフ」という言葉を習った方も多いはず。

QOLの本来の意味は、「物理的な豊かさ+精神的な生活の豊かさがあって、個人が満足できる生活のこと」を表します。

QOLは、物理的な豊かさやサービスの量、個々の身辺自立だけでなく、精神面を含めた生活全体の豊かさと自己実現を含めた概念。

引用:QOL – コトバンク

また、Wikipediaでは、QOLとは、ひとりひとりの人生の「人間らしい生活」「自分らしい生活」「人生の幸福」をとらえる言葉であることが説明されていますね。

クオリティ・オブ・ライフ(英: quality of life、QOL)とは、一般に、ひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた生活の質のことを指し、つまりある人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念である。QOLの「幸福」とは、身心の健康、良好な人間関係、やりがいのある仕事、快適な住環境、十分な教育、レクリエーション活動、レジャーなど様々な観点から計られる。

引用:クオリティ・オブ・ライフ – Wikipedia

QOLとは、ほとんどの人の衣食住が充実している中、改めて仕事やライフスタイルを見つめるために大切な考え方になります。

QOLの例文・使い方

QOLは日常生活で用いる言葉としては一般的ではありませんが、近年少しずつ使われるようになってきています。

通常、下記のように「生活に潤いや活力をもたらす」という文脈で使われることが多いようです。

  • 最近の生活は、以前の悩み多き毎日と比較して格段にQOLが上がっている。
  • 医師のセカンドオピニオンなどが積極的に喧伝されるようになってからは、高齢者が自分で自分の老後を考えるきっかけが与えられるという意味で、QOLの向上に繋がっている。
  • 人生のQOLが低下することは、生活に活力が不足しており、生きがいがない状態を表す。

現代社会でQOLを見つめ直すことが必要な理由

一昔前までは「いかに衣食住を確保することができるか?」こそ、人が人生を過ごすうえでの一番の課題でした。

しかし、今では学校に通い、就職することができれば物理的な満足(衣食住)を得ることはそれほど難しくなくなってきています。

しかし、一方で人間関係が上手に作れず孤独を感じたり、お金の悩みが絶えず自殺に追い込まれてしまったり…

普通なら満足できるはずのことに満足できず、犯罪に手を染めてしまうなど、一昔前までは不思議に思えるような事件も増えてきています。

つまり、物質的な満足は簡単に満たされるだけでは、人が十分に満足できないことを知ってしまった時代が、現代であるといえるのではないでしょうか?

物質的な満足だけではなく、精神的な満足を含めた概念「QOL」は、これからすべての人々が知るべき考え方になります。自分にとってのQOLを追求する時代に突入したのです。

今回の記事では、このQOL(クオリティオブライフ:生活の質)を様々な観点からご紹介していきます。

ただ、それだけではなく、今この記事を読んでいるあなたが、どうすればQOLを向上させることができるかについても、一緒に考えて行きたいと思います。

  • 「最近マンネリした生活を送っているな」
  • 「ぼーっとしていることが多いな」
  • 「何となく”つまらない”と感じているな」

そう感じている方は、QOLを見つめ直すタイミングです。一緒に考えていきましょう。

QOLの歴史|QOLの3つの質とは?

QOLは、もともと経済学・社会学の分野で取り上げられた概念です。QOLを最初に使用したのは、倫理学者のジョセフ・フレッチャーであり、1973年に公表した「Ethics and Euthanasia」と呼ばれる論文で、倫理学の観点からQOLを説きました。

参考:「QOLとSOL」 – 海山 宏之  茨城県立医療大学紀要 第14巻 p150

また、1960年代から経済学や社会学の分野で「国民の暮らしの豊かさ」という概念として米国で使用されるようになったこともわかっています。日本では、1970年代以降に使われるようになりました。

参考:QOLを目指した医療・看護 Medical Treatmentand Nursi Toward Quahtyof Life(QOL) – 大森 武子 p197-198

その後は主に医療分野で用いられることになりましたが、関連領域である介護福祉分野でも重要視されるようになりました。

また、物質的豊かさを前提として精神的な豊かさをどう充足させるかについて語られるうえで、重要な概念になっています。

介護・社会福祉で使われるQOLの意味|ADLとの比較・QOLの事例

社会福祉・介護業界におけるQOLとは、「生活の質」とそのままの意味で使われていますが、「ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)」という概念と比較されることが多いです。

ADLとは、人々が一人ひとり行っている日常動作を指します。

介護保険制度の基準として、「この人はどの程度の介護が必要なのか?」を調べるために活用されているのもADLです。

「寝起き」「移動」「食事」「排泄」など、日常生活を送るために必要な動作のことを指しています。

介護や福祉施設に通う高齢者や傷病者の方々は、最初にADLが満足にできるかどうかが課題です。

しかし、ADLが満足な状態であるからといって「QOL」も勝手に満たされるかといえばそうではありません。

たとえば、ADLとQOLの対比として、下記のケースを見てみましょう。

ペットとの毎朝の散歩が日課だった男性

ある朝、彼が散歩途中に突然、「腰の激痛」に襲われます。結局、以前通りに歩行することができなくなってしまいました。リハビリを通して普段通りの生活は最低限できるようになりましたが、ペットのスピードに合わせて散歩することはできなくなりました。

ADLは問題なくできます。しかし、以前のように犬の散歩はできません。周囲の人々は「大事にならなくてよかった」と慰めてくれますが、誰もその男性ほど「犬の散歩」がどれほど自分の人生に活力をもたらしてくれるものなのか(QOL)を理解してくれる人はいませんでした。

介護・福祉分野では、ただADLを満たすリハビリテーションを提供するだけではなく、いかに患者や利用者の精神的な支柱を取り戻すのかまで考えなければならない時代に突入しています。

「IKIKATA」で取材させていただいた、介護事業を営む「株式会社つるかめ」代表の伊藤氏には、下記のようにインタビューで語っていただけました。

たとえば、「おじいさんの墓参りにもう一度行きたい」と願っているおばあさんがいたんです。足を悪くして車いす生活でした。おじいさんのお墓は、急な坂の上にあるから、車いすではお墓参りに行けないと。

そこで、その願いを我々がどうやってかなえることができるのかを考えました。願いや夢をかなえるために、目標という「小さな課題の階段」を見える化して、一つひとつの課題をクリアしていく、その先に自分の叶えたい夢があるんです。

出典:株式会社つるかめ伊藤 順哉氏が語る、これから求められる介護職とその未来

利用者の「おじいさんの墓参り」というQOLのひとつをしっかり聴いたうえで、目標にしてあげるというケースは、本当に素晴らしいお話です。

また、たとえばパーソナルモビリティの生産販売を行うWHILL株式会社のWebサイトでは、QOLを向上させる手法として「電動車椅子」というアプローチがQOLの向上に役立たせることができることを解説しています。

次世代の電動車椅子WHILLは、快適な乗り心地と操作性、毎日乗りたくなるようなスタイリッシュなデザインで、そんなあと少しの行動を後押しできる存在をめざしています。

引用:QOL (クオリティ オブ ライフ)を向上させよう!その意味と評価基準 – WHILL株式会社

QOL向上のための介護・福祉は、これからさらに求められることになると言えるでしょう。

看護・医療分野で使われるQOLの意味と構成要素

看護・医療分野でもQOLが使われています。

もともと、介護・福祉分野で活用される言葉になったのも、医療分野と密接な関係があるからです。

医療のうち特に重大な疾患や進行の早い疾患では、無理やりに延命治療を施すことだけが必ずしも患者の生き方や尊厳に合致しない場合があります。

たとえば、「できるだけ苦しまず、残された時間を穏やかに過ごしたい」という気持ちを持つ患者がいることを理解してくれる人でなければ、医療従事者は務まらない時代です。

また、治療の効果や判定をするうえでも、QOLは重要な構成要素になります。

医療の現場で,患者が医師に「QOLが良い」「QOLが悪い」と言えるようになると,治療効果の判定や患者の生活がうまくいっているかどうか一言で分かるので,是非患者に覚えてもらいたい。

引用:53.QOL(キューオーエル)/クオリティーオブライフ 〔その人がこれでいいと思えるような生活の質〕 Quality Of Life – 国立国語研究所

医療における「QOL」は、医療技術を用いてできるだけ長生きさせる、というものではありません。

たとえば、患者にとって重要だと感じるものを優先し、患者に治療の選択権を与える「インフォームド・コンセント(十分な情報を得た上での合意)」も、QOLの考え方があってこその考え方です。

QOLは、がんなどの病気の治療を継続する患者の「生活の質」を言語化したものと言えます。

治療や療養生活を送る患者さんの肉体的、精神的、社会的、経済的、すべてを含めた生活の質を意味します。

引用:クオリティ・オブ・ライフ – 国立がん研究センター がん情報サービス

また、患者が何かの身体的な疾患にかかったとき、自分でQOLを低下させてしまう行動を取ることもあります。

IKIKATAで取材した理学療法士・須賀氏には、「前かがみになったときや床から立つときに痛い」という患者が、自分自身で避ける工夫に気づいておらず、自分で痛みを伴う状況から抜け出せないことをインタビューで語っていただけました。

たとえば、患者さんに対して、「どういったときに痛みを感じますか?」と聞く、そうすると、「前かがみになったときに痛い、床から立つときだけ痛い」と。

しかし「前かがみになったとき」や「床から立つ」ということだけを避ける工夫をすればいいだけなのに、ということに当人が気づいていないという場合が結構多いんです。気づいていない分、「自分で痛みが増す姿勢や動作をしている」という状況から自分で抜け出せないんですね。

出典:理学療法士 須賀康平氏の生き方から「理学療法士のなり方」を学ぶ

「医療従事者からのQOLを上げるための説明」はとても重要なものなのです。

また、医療現場では疾患の名前である「病名」が医学的に特定できないものは、あまり重視されない傾向があります。

たとえば、「何となく痛み/しびれがある」「体がだるい」という症状は、原因が不明であることが多いため、医療上大きな課題にはなりにくいです。

しかし、たとえ疾患名がついていなくても患者の生活の質が落ちている場合には、QOLの観点が重要になります。

たとえば、体の一部に病気やケガが起きたときには、それを気にも止めずに治療に専念することは不可能になってしまいます。誰でも病気の箇所は気になりますし、ときには憂うつな気分にもなります。

この「気になる」「憂うつ」というストレスはQOL低下に繋がるのです。

言語聴覚士の佐々木氏には、インタビューの中で、患者に対する対応は「病院の当たり前を患者さんに押し付けないこと」の重要性を語っていただいています。

絶対正解があっても、10人いたら10人目には異なることを言う

これは比喩ですが、どうしたらその患者さんにより良いことができるのか、をマニュアルがあってもその場その場で考えるようにはしています。教科書で学んだことが現場ではほぼ活きないんです(笑)

僕は今まで前職で色んな人と会ってきました。

だから外を見ているからこそ、病院の当たり前を患者さんに押しつけなくて済むんじゃないかなと思っています。

出典:水産業、花屋、そして言語聴覚士へ 佐々木 類氏の生き方

医療従事者の方々は、専門性に基づいて治療を行います。そのため、不明瞭な部分については患者にあやふやなことを言うべきではない…というのも一方で重要な判断になります。

ただ、それを見越したうえで、「病院の当たり前」を一歩ひいた目線で見れる医療従事者の方々は、今後もますます活躍する時代になるのではないでしょうか。

生活習慣病対策とQOLの関係性とは

医療とQOLの関係性においては、様々な側面、特に生活習慣病対策や日頃のストレスの解消といった観点から、QOLの向上を目指す動きも見られます。

日本生活習慣病予防協会理事長である池田義雄氏によれば、(財)余暇開発センターが行った「健康作りの意識調査」の結果から、下記を参考にQOL向上を目指すことをおすすめしています。

①人としゃべったり話を聞いてもらう。
②のんびりする時間をとる。
③テレビを見たりラジオを聴いたりする。
④趣味・スポーツに打ち込む。
⑤酒を飲む。
⑥買い物をする。
⑦寝てしまう。
⑧積極的に自分で解決する。
⑨じっと耐える。
⑩タバコを吸う。
⑪何か食べる。

引用:QOLの向上に役立つこと~心の楽しみを持つ – 大和薬品

上記はストレスを解消するための方法として列挙されているものですが、このように日々の自身の生活から、QOLを上げていく工夫も必要でしょう。

高齢者のQOLと4つの評価基準

QOLは、高齢者の生き方の文脈で語られることが多い概念です。しかし、若い世代向けのQOLにも密接に関わることであることは確かです。

高齢者も、昔は皆さんのように「身体が必要十分に動くこと」が生活(ADL・QOLの両方)の基礎・前提になっていました。

しかし、病気や加齢をキッカケにして、どんどん身体機能が低下し、QOLまで下がってしまうことが多いのです。

また、齢を取るということはつまり、職場からの退職、家族との別れなど、精神的な支柱が少しずつ失われていく過程でもあります。

だからこそ、高齢になってもQOLを発見することができ、最期まで人生を楽しむことができる年の取り方が必要になってきています。

北海道アサイ学園大学人間福祉学部・北方園生活福祉研究所の2003年研究報告では、高齢者のストレスが影響するQOLについての分析がされています。

「高齢者が受けるストレスが、生活の質(QOL)を下げてしまう? – 高齢者の住生活相談センター」のページにて分かりやすく解説されていましたが、下記の4つの評価基準があることが分かっています。

  1. 高齢によるストレス
  2. 生きていくことへの不安
  3. 人間関係に対する不安
  4. 身体的症状に関する問題

参考:高齢者が受けるストレスが、生活の質(QOL)を下げてしまう? – 高齢者の住生活相談センター

ただ、これはよくよく考えてみると、決して高齢者になってから突然やってくる問題ではないことが分かります。若い世代(たとえ10代であっても)も、このストレスは早い段階で知っておくべきでしょう。

医療分野におけるQOLの意味と研究

医療分野におけるQOLは、インフォームド・コンセントの必要性が一般の人々にも浸透してからますます重要な概念になってきています。

そのため、2017年に開催された「メンタルケア学術学会」でも、「QOLにおけるメンタルヘルスの重要性」というテーマでメンタルケア領域の方々が継続的に取り組むべき課題であることが示されています。

“こころ”の健康を保つメンタルヘルスと“こころ”のケアをするメンタルケアが、QOLを支え、 どのようにしてメンタルヘルス・ケアを行わなければならないのかを考え、研究し、成果を出していけばよいかが、 今回のテーマとなります。

引用:ご挨拶「メンタルケア学術学会第15回学術大会」 – メンタルケア学術学会

また、QOLは様々な評価法があります。詳しくは論じることができませんが、下記のような評価法があることがWikipedia等で示されています。

汎用評価法

  • Sickness Impact Profile (SIP)
  • Nottingham Health Profile (NHP)
  • Medical Outcomes Study 36-Item Short Form-36 (SF-36)
  • EuroQoL (EQ-5D)
  • Patient Generated Index (PGI)

疾患特異的評価法

  • European Organization for Research and Treatment of Cancer (EORTC QLQ-C30)
  • General [Geriatric] Oral Health Assessment Index (GOHAI)
  • Kidney Disease Quality of Life Short Form (KDQOL-SF)

日常生活動作

  • Barthel Index of Disability (BI)

参考:クオリティ・オブ・ライフ – Wikipedia


QOLの概念や意味を知るうえでは、介護・福祉分野や看護・医療分野での定義を覚えておくべきです。

いつかは必ず訪れる高齢化には、今のうちから向き合うことが大切になります。

あなたは、どんな老後を贈りたいですか?…そして、どんなことを今から始めれば、良い老後を送ることができるのでしょうか?

次は、QOLのもうひとつの側面「政治」「労働問題」の観点から、QOLの意味や内容について触れていきましょう。

政治(国家)トピックで使われるQOLの意味とは

政治や国家の問題として扱われるQOLは、3つのポイントで整理することができます。その3つのポイントとは、下記の3つです。

  • クオリティ・オブ・ライフ インデックス
  • クオリティ・オブ・リビング
  • 国民総幸福量(GNH)

それぞれについて解説していきます。QOLと政治・国家には、どのような関係性があるのかについて知っておくことも、QOLの概念を理解するうえで重要です。

クオリティ・オブ・ライフ インデックスとは?

クオリティ・オブ・ライフ インデックスとは、国別に「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット」が発表する「生活の質指数」のことです。

クオリティ・オブ・ライフ インデックス、または生活の質指数とはエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(Economist Intelligence Unit)が製作し発表する、国々の「主観的な生活に関する満足度」と「客観的な生活の質の決定要因」を結びつける指標である。世界111の国と地域で2005年に行われた。

引用:クオリティ・オブ・ライフ インデックス – Weblio辞書

「健康」「離婚率」「コミュニティ参加」「物質的豊かさ」「政治的な安定性」「機構と地理」「失業率」「政治における自由」「男女平等」などの幾つものトピックに関する調査をすることで、国ごとの指数が測られます。

日本は調査対象国の111カ国のうち、2005年時点で「17位」となっています。

クオリティ・オブ・リビングとは?

クオリティ・オブ・リビングとは、「マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング」が実施している調査から分かる、世界218都市の住みやすさを測る基準です。

クオリティ・オブ・リビングによる都市順リスト(クオリティ・オブ・リビングによるとしじゅんリスト)は、マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング(Mercer Human Resource Consulting)による「クオリティ・オブ・リビング調査」[1]を基に、世界218都市のクオリティ・オブ・リビングを数値化したものである。ニューヨークが基準値として100で表され、それと比較する形で各都市の数値が計算される。

引用:クオリティ・オブ・リビングによる都市順リスト – Wikipedia

「政治・社会」「経済」「文化」「医療・健康」「教育」「自然」「公共サービス」「レクリエーション」「消費財」「住居」などのポイントから調査・計測されます。

2008年調査では、日本の東京都が「35位」となっています。

国民総幸福量(GNH)とは?

国民総幸福量(GNH)とは、国家の国民全体の「幸福度」を数値化する尺度のことです。つまり、国民全体のQOLがどの程度向上しているのかを知るてがかりになるものになります。

国民総幸福量(こくみんそうこうふくりょう)または国民総幸福感(こくみんそうこうふくかん)とは、「国民全体の幸福度」を示す“尺度”である。

精神面での豊かさを「値」として、ある国の国民の社会・文化生活を国際社会の中で評価・比較・考察することを目的としている。特徴は、国民総生産 (Gross National Product, GNP) や国内総生産 (GDP) との大きな違いである。

引用:国民総幸福量 – Wikipedia

GNHは、心理的な幸福度合いを様々な聞き取り調査をもとに調査することで判明します。

たとえば、GDP(国内総生産)では経済的な豊かさや個人消費や設備投資の動向を知ることはできますが、人の幸せを客観的に分析することはできません。

GNHにはいくつか批判があるものの、経済的な豊かさを説明するのとは異なるアプローチで国民の幸福度を調べることができます。

QOLが問われる政治の問題は?

ここまで見てきたように、政治や国家のシステムからみても、人々の生活の質を向上させるための取り組みには様々な観点があることが分かります。

行政サービスは平等性を前提として提供されますが、ハード面・ソフト面の両方で、大多数の人々が同じクオリティのサービスを受けるための施策が求められています。

たとえば、政治や行政の問題と関係のあるQOLのトピックは下記のようなものです。

  • 過疎地域問題
  • まちおこし・まちづくり
  • 地方移住・Uターン・Iターン
  • 年金問題
  • 生活保護・ベーシックインカム
  • 超高齢化社会
  • 国家の安全保障問題
  • 教育
  • 医師不足
  • 保育園待機児童問題

さきほど解説した、クオリティ・オブ・リビングなども、社会インフラ整備、行政サービスのムダなき提供、国民・市民が安全に生活するためのシステムを構築するためのひとつの測定法です。

また、「国民総幸福量」という概念があるのも、「物質的な豊かさだけでは人が満足できないこと」が分かっているからこそ、出てきているトピックであるといえます。

政治離れや政治への信用失墜などが問題になっていますが、人々全員が個人の生活の質を見直していくことで、政治への関心も醸成されていくのでしょう。

反対に、目先の利益や施策として有効ではない減税(または増税)、規制(もしくは規制緩和)などは、やればやるだけ世論の反対を受けることになります。

また、政治への参画に興味を失ってしまうのも当たり前のことと言えるはずです。

そうなる前に、国民一人ひとりが毎日のQOLを上げるべく自分の生き方を見直すところから始めなければなりません。

ビジネス・労働問題で使われるQOLの意味とは

労働問題では、より私たちの身近にある問題として考えられるQOLの問題があります。労働問題とは、「働き方」の問題です。

私たちが抱く仕事に関する悩みも、QOLの観点から整理することができます。QOLに関わる労働問題は下記の2つです。

  • ワークライフバランス
  • ブラック企業(過労死・過労自殺などの労働災害)

それぞれについて解説します。QOLを考えるためには、どうしても労働問題を避けることはできません。私たちの日々にも密接な関係があるため、一度労働の観点からQOLを見ていきましょう。

ワークライフバランスとは?

「ワークライフバランス」とは、直訳すると「仕事と生活の調和」を意味します。

具体的には、「一人ひとりが『やりがいと充実』を感じながら仕事をすることができるとともに、プライベートも充実していること」を指します。

ワーク・ライフ・バランス(英: work–life balance)とは、「仕事と生活の調和」と訳され、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を持ちながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる」ことを指す[1]。

引用:ワークライフバランス – Wikipedia

つまり、「仕事と趣味」「ビジネスとプライベート」などのように、生活の中の2つの要素の両方が満たされている状態のことを指します。「働き方改革」もそのひとつでしょう。

また、リモートワークやノマドワーカー、フリーランスの働き方を語る文脈でも、ワークライフバランスという言葉が使われることがあります。

今、現代社会は労働力不足の時代を迎えているため、専門性を持ち自分が志向する業界・職種/業種を目指したり、これまでにはなかった肩書で仕事をする人々も増えてきています。

それだけ、働きやすい世の中へと進歩していると言うこともできます。

ただし、今後AI(人工知能)が発達したり、ロボット工学の分野で実用化されるものが増えてくるようになると、今ある職業の多くが代替されてしまうという研究もあります。

参考:機械に奪われそうな仕事ランキング1~50位!会計士も危ない!激変する職業と教育の現場 – ダイヤモンド・オンライン

つまり、生活と調和される仕事そのものが無くなる可能性があるのです。

しかし、悲観的な方向に考えるのではなく、それでも十分人生を楽しめるように、今から考え方を変えていくことのほうが重要ではないでしょうか?

たとえば、筑波大准教授の落合陽一氏は、著書「超AI時代の生存戦略 ―― シンギュラリティ<2040年代>に備える34のリスト」の中で、「ワークアズライフ」という概念を提唱しています。

「ワークアズライフ」とは、「睡眠以外の時間はすべて仕事であり、その仕事が趣味である」という働き方・生き方のことです。

引用:https://www.amazon.co.jp/

一見単純なハードワークのようですが、そうではありません。

「人生における仕事が趣味であり、趣味が仕事である」という人生を送る時代がやってくるということを見越して、働き方を変えていくということなのです。

現代はまだワークライフバランスに注意する程度で済むものの、今後の社会では、仕事が趣味であることを前提として働かないと、人生そのものが無味乾燥になってきます。

だからこそ、「ワークアズライフ」の考え方が重要なのです。

ただし、「働く場所がなくなったら食い扶持がなくなる」「生活していけない」という気持ちを持つのは当然です。

「衣食住の安定」を達成しないことにはQOLは上がりませんが、QOLを上げようという行動を取っていけば、自然に仕事が人生に溶け込んでいくことになるでしょう。

QOLとブラック企業(過労死・過労自殺などの労働災害)

人材不足が叫ばれる一方、人々の生活の質を大きく落としているのが「ブラック企業」の存在です。

労働法違反を繰り返して従業員を不当な残業に従事させたり、人材コスト削減を一義的に掲げて労働者を不当に搾取するやり方は、昨今かなり取り上げられ、是正されるようになってきました。

Twitterの投稿などでも、ブラック企業の問題は何度も繰り返し「バズり」ますよね。

ただ、ここで冷静になって考えるべきなのは、「ブラック企業がなぜ生まれるのか?」ということです。ブラック企業は中小企業に限った話ではありません。

大企業でもブラック企業と呼ばれる会社がありますし、社風や職場の雰囲気からブラック認定されることもあります。

つまり、「コスト削減」「経営者の怠慢」だけがブラック企業の温床になっているわけではないということです。

それを踏まえたうえで私たちは、ただ「ブラック企業が悪い」とだけ話題にするのではなく、そういう職場が淘汰されるように、一人ひとりが生活の質を見直すことが求められています。

「こんな会社に勤めなくても生きる方法はあるよ」「生活している方法があるよ」ということを考えられることができれば、ブラック企業で搾取され、苦しむ人も少なくなるのではないでしょうか?


ここまで、政治や労働問題の観点から、QOLについて考えてきました。ここまで解説してきたことで、QOLが私たち自身と社会を取り巻く様々な問題に関係することがわかったのではないでしょうか?

でも、QOLに関するトピックを知っただけでは、私たちが本当にQOLを見つめ直すキッカケをつかむことはできません。

QOLを上げていくにあたっては、実際に私たちが行動できることから始めることが重要になります。

次からは、QOLを上げるための6つの要素を紹介し、その6つをどのように毎日の生活に落とし込んでいくべきかについて解説していきます。

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